見出し画像

「推しの子」〜承認戦争で、本当の愛は得られるのか

「推しの子」のOP、YOASOBIの歌う「アイドル」が頭をぐるぐる回っている。美少女アイの笑顔は可愛いのだけど、メロディや歌詞は、なんか病的で危機迫っている感じで怖い。


「歌い踊るわたしはマリア そう嘘はとびきりの愛だ」「誰かに愛されたことも、誰かのこと愛したこともない そんなわたしの嘘がいつか本当になることを信じてる」という歌詞がね。切ないというか。
芸能界の目立つところにいるけれど、本当に欲しいものが得られない寂しさが見えてしまう。


SNS上で輝いている人を見ると、アイと重なる。
映えを競ってフォロワーを増やすことに熱中しているけど、見せたい自分を演じているだけで、本当に理解や共感が必要な、コアな部分は語らない。こういう子は多いんだろうな。
どんなに素敵な投稿をしても、フォロワーが増えても本音を見せられない。それなのにフォロワーを増やすことをやめられなくて、自分を飾ることをやめられなくて、どんどん寂しくなっていく人。

ただ目立ちたいがために投稿された写真が、後から後からタイムラインに流れてくると、虚しい気持ちになって、いいかげんSNSを離れたくなってくる。

だけど今の若い子たちにとっては、SNSで承認を勝ち取ることが人生の勝ちだと信じてるんだろうな。


私たちが十代の頃はSNSなんてものはなくて、また別のところで承認を得る奮闘をしたものだけど、鎧のなまま戦いに突っ込んでいく魂の勇敢さは美しさと切なさの両方を感じる。
戦うこと。全力を出し切ること。それに意味があるのだ。

承認戦争に勝ったから人生の勝ちとは限らない。結果で何を学ぶか。学んで生き延びて欲しい。生き延びることこそ、本当の勝ちなのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?