アラサー女が痔ろうの手術をした話②

まずは①からどうぞ。

10年も痔を患っているというのに肛門科へ行くのは初めてだった。

駅などで看板を見かけていたので自宅から数駅のところに専門のクリニックがあることは知っていたのでそこに目星をつける。
ホームページを見てみるとそこそこ大きな病院のようだった。院長のコラムがわかりやすく、手術にかかる日数や金額の目安も記載されていたのでそこへ行くことに決めた。

予約は必要なかったので、受付時間内に病院へ行く。
明るくて綺麗な病院だ。
問診票を書いてから周りをそっと窺うと、待合室には女性もいることに気付いて安心する。痔ろうについて検索しながらしばらく待っていると診察に呼ばれた。

中に入るとまだ医者の姿はなかった。診察室に患者が座る椅子はなく、代わりにベッドがあった。
看護士にズボンとパンツを下ろして右肩を下に横になるように言われ、そのようにしていると医者の先生がやってきたようだった。
私は背を、というより尻を向けた状態だ。顔も見ないまま問診票の内容をもとに会話を始めたが、先生は明るそうな感じで印象がよかった。
結構グリグリと触診がありびっくりしたが、ほんの少し痛いだけだった。

「はい、いいですよ」
そう言われ立ち上がり、パンツとズボンをはき、やっと先生の顔を見る。

「まぁ、痔ろうですね。前の医者の診断通り。酷いかっていうとそんなにじゃないけど、長年放置してたから固くなっちゃってる。そうすると肛門が狭くなって、便がしっかり出ないの。10年経ってるっていうから、まぁ急がなくても良いけど、予定立てて手術はした方がいいですね!入院は1週間から10日くらい!」
何やら紙に絵を描きながらテンポよく説明してくれた。私は違ったらいいなと思っていたけど、そんなに甘くはないよな、と思いながら
「ですよね~」
と返事をして診察室を後にする。

どうしようかなと悩みながら待合室で同居人にラインすると『仕事も休みなんだし今の内にやっちゃいな!』と返信が来た。今がその時だよな、と思い、そのまま10日ほど後の手術の予約をした。

手術一週間前

術前に検査が必要とのことで二回目の来院。
診察ののち、心電図、血液検査の為の採血、血圧測定、レントゲン。それから持病などの確認があった。
喘息がある旨を伝えると
「喘息の人は強い痛み止めは使えないんだよね……」
と言われ恐怖を感じた。でも、膿みを抜くときの処置より痛くないと言われ少し安心した。

受付では手術の説明の他、
「術後2日はお風呂に入れないので、当日お風呂に入ってから来ることをおすすめします」
と教えてもらった。

入院1日目(手術前日)

「朝昼は消化のいいものを食べて15時ごろ来てください」と言われていたので、昼前に起きてシャワーを浴び、素うどんと卵豆腐を食べてから病院へ向かった。
病院へ着くと、施設内の説明があり部屋に通される。
個室は高かったので相部屋だ。二人部屋で部屋には洗面所とトイレもついていた。
椅子には真ん中のへこんだクッションがおいてあり、さすが肛門科!と変なところで感心してしまった。

荷物を片付けていると看護士がやってきてコップ半分ほどの下剤を渡された。酸っぱかったが汗をかいていたので難なく飲めた。
特にやることもなく、病院着に着替え水分のみを補給してトイレと往復しつつ過ごした。

入院2日目(手術当日)

7:00頃起床。検温や血圧測定。
点滴をさした後、人生初めての浣腸をする。
8:25 歩いて手術室へ向かう。
パンツとメガネを預けて手術台に腰掛け、心電図などを測る機械をとりつけられた。腰のあたりに麻酔の注射をされたが、想像ほど痛くはなかった。
うつぶせに寝るかたちになり、足の間で作業するようだ。意識はあるまま手術は始まった。
痛みはないが、何かされている感覚はある。多分切られてるんだろうな、というのも感じた。
「膿溜まってるね。最近痛かったんじゃない?」
「そういえばそうですね……ちょっと」
とか、
「結構見た目より深いし広がってるなー」
「そうなんですか……」
などと会話しながら作業は続く。
そのまま20分ほど経った後だろうか。お尻に何か大きな布のようなものが当てられた気がした。手術が終わったようだった。
先生が顔の方までやってきて取った部分を見せてくれたが、メガネがないのでどういうものかはよくわからなかった。それでも存在は認識できたのでそれなりに大きかったのかもしれないが。

下半身は麻酔が効いていて動けないので、手伝ってもらいながら転がってストレッチャーに乗り移り病室へ帰される。自分のベッドにまた転がって移る。
「12時過ぎたら水分とっていいですよ。16時からトイレに行けますからそれまでにオシッコしたくなったら管で採りますからコールで呼んでくださいね」
という看護士に返事をし、同居人に手術が終わった旨のラインを入れた。すぐに「おつかれさま」と返事が帰ってきてホッとする。

なんだか急激な眠気が襲ってきた。麻酔が切れることへの恐怖を感じながら眠りについた。


~③へ続く~

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