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ディズニープリンセスに見る恋愛心理学 パート3

こんにちは。
臨床心理士のとみーです。

さて今回はディズニー史上おそらくナンバーワンのとんでもない恋愛を経験しているプリンセスの話をします。
その名はラプンツェル。

18歳まで母親によって塔の上に閉じ込められて育ったラプンツェルは、たまたま忍び込んだ泥棒と仲良くなって塔から脱出します。実は母親だと思っていたのは自分をさらった誘拐犯でした。ラプンツェルは本当の両親の元に戻り、泥棒と結婚して幸せに暮らしました。
というお話です。

いやいやちょっと待って・・・どこから突っ込めばいいかわかんないけど、まぁひとまずラプンツェルが18年間どんな風に育てられてきたのかを考えてみましょう。

18歳になるまで学校にも習い事にも行かず、 母親(と思っていた誘拐犯)としか会話をせず、外部との接触を一切断ち切られているのは、明らかに劣悪な養育環境ではあります。
しかしながら、この母親は育児放棄をするわけではなく、彼女なりにラプンツェルを育ててはいるのです。
そのおかげで18歳になったラプンツェルは平均的な体力、語彙力とコミュニケーション力、掃除や洗濯などの家事をこなす能力を持ち、読書やチェスやギターや編み物や絵画などたくさんの趣味も持っています。
小学校も中学校も行かずにこれらの能力を全て身に付けることができたのは、母親が教えこんだのでしょう。
暴力で脅して無理やりやらせる方法ではここまでできるようにはなりません。母親が褒めたり叱ったり、時には手本を見せたり一緒に楽しんだりしながら、18年間一生懸命に育てた努力の結果がラプンツェルのハイスペックなのです。

そもそも子供を育てるというのはすごく大変なことなのです。子育てを体験したことがある人はわかりますよね。
赤ちゃんのうちは夜中でも授乳して、授乳したらゲップさせて、少し大きくなってきたら離乳食あげないといけないし、さらに育ったらご飯あげないといけないし、オシッコやウンチが出たらオムツかえないといけないし、すぐ泣くしすぐ吐くしイタズラするしワガママ言うし、だからと言って放置してたら死にます。それが子供です。

物語の中では母親(と思っていた誘拐犯)はラプンツェルの髪の毛が目当てだったかのように描かれていますが、彼女なりに母性愛はあったのかなぁと思います。
歪んだ愛ではあるけどね。

そんな歪んだ愛によって育てられたラプンツェルは重度の愛着障害となり、他者との心の距離が適切に保てなくなっています。

ちょっと自分のことだと思って考えてみてください。
18歳まで育ててくれたお母さんが、実は血のつながりはなく、自分をさらった誘拐犯だった。本当のお母さんは別にいた。・・・となった時に、
「なんだと!誘拐犯め!やっつけてやる!あぁ本当のお母さん!会いたかったわ!愛してる!」って思えますか?

私は無理です。
まずすぐには現実を受け入れられないし、なんで誘拐なんかしたのって怒りももちろん感じます。
だけど小さい頃に自分のオムツを替えてお世話をしてくれて、運動や言葉や家事のやり方を全て教えてくれて、本やチェスを買ってくれて、18年間ずっと一緒に過ごしてきたお母さんです。
そんな簡単に嫌いになれるわけがありません。

しかしながらラプンツェルは簡単に育てのお母さんと別れ、出会ったばかりの泥棒や血のつながったお母さんと家族になることを選びました。
もうね、心の距離感がバグりまくりです。

全員がそうというわけではありませんが、愛着障害を持つ患者さんの多くは、気持ちのコントロールがうまくできなかったり、自尊心が低く周りの人に物事を決めてもらわないと不安になったりすることがあります。
ラプンツェルはどうだろう。
物語はラプンツェルが結婚したところで終わっていますが、果たしてその後の結婚生活はうまくいったのでしょうか。
子供が生まれたら? 子供に適切な愛情を注ぐことができたのでしょうか。
気になるところです。

さて次回はアラジンとジャスミンの恋愛について考えてみたいと思います。
今回も読んでくださりありがとうございました。

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