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独裁者(と、彼らを支持する人々)は『銀英伝』を見る(読む)べき。

『銀河英雄伝説 Die Neue These』第十九話「ドーリア星域の会戦」(日テレ)5月21日(火)放送分が、特によかった。
5月29日(水)1:28 まで、TVerで見ることができる。

クーデターを起こした救国軍事会議の司令官、ルグランジュがこう言う。

「全将兵に告ぐ。救国軍事会議の正義、祖国の興廃はこの一戦にかかっている。各員は全身全霊をあげて自己の責務を全うし、もって祖国への献身を果たせ。各員の祖国愛と勇気に期待するや切である。──努力せよ。」

19.ドーリア星域の会戦

それに対する、われらがヤン・ウェンリーの弁は以下の通り。

「さて、みんな、もうすぐ戦いが始まる。わが艦隊の初陣だ。ロクでもない戦いだが、それだけに勝たなくては意味がない。勝つための算段はしておいたから、無理せず気楽にやってくれ。かかっているものは、たかが国家の存亡だ。個人の自由と権利に比べれば、たいした価値のあるものじゃない。それでは、みんな、そろそろ始めるとしようか。」

Wikipedia「ドーリア星域会戦

民主主義国家の軍隊司令官は、こうでなくちゃ。
第19話では、この戦いで圧勝した直後に、ヤンの旧友で、親友の婚約者だったジェシカが反戦集会で斬殺される。(Wikipedia

TVerは国内限定だから、プーチンも金正恩も見られないと思うけど、彼らの思想を支持する人は見た方がよい。あ、習近平とネタニヤフもね!!

現在放送中の朝ドラ『虎に翼』では、日本国憲法第14条がそのテーマとなっているが、ヤンの思想には第13条※の精神が見事に反映されていると思う。

※「すべて国民は、個人として尊重される。 生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」
>この条文は、政府の行為によって戦争の惨禍がもたらされた反省を背景に制定され、個人の幸せが何よりも優先され、社会や国家はそのために存在するとしているのが根幹の理念です。また、国民の私生活上の自由も警察権などの国家権力の行使に対しても保護されて…

同上リンク先から

優れたSFの未来史というものは「既に起こった未来」を叙述するものだが、富野由悠季の「宇宙世紀」も本作の「宇宙歴(帝国歴)」も、それに値しているな。



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