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訂正される真実

3層構造の脳は間違い

仁徳天皇陵古墳大阪・堺市にある日本最大にして世界最大の陵墓が仁徳天皇陵古墳ではなく、大仙陵古墳と呼ばれるようになったのは、少し前のこと。
昭和の時代に長くお札の肖像となっていた聖徳太子の絵も、伝厩戸皇子とされている。歴史は書き換えられるものであるが、子供の頃に真面目に教科書で勉強したコトが変わる時には、もっと大ニュースとして取り上げていただきたいものである。

変わるのは歴史だけではない。先ごろ読んだネットのニュースはショックだった。

人間の脳が3層に分かれているという「三位一体脳説」はなぜ長い間信じられていたのか(GIGAZINE 2021年03月08日 07時00分)

人間は猿(的な姿)から進化をしてきたが、その前はネズミサイズの小動物で、さらにその前は爬虫類っぽい姿だった。だから、人間の脳の一番中心部分は「爬虫類脳」と呼ばれ、ホメオスタシスなどの恒常性を司る。その周辺に原始的な哺乳類脳があり、さらにその外側に新哺乳類脳があり、言語をはじめ高度な機能を司る…、といわれてきた。

図で示すとこのようになる。

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この図は2005年に出版された本にある。

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難しいことをやさしく説明してくれる本、それもたった15年前のことが、実は間違っていた。しかも表紙でも「古脳、新脳」と煽っているから、今となっては監修された横浜市立大学の先生は、どのような思いをされているだろうか。

間違っていた根拠は、

三位一体脳説が信じられていた背景には、脳を詳細にスキャンするのには多額の研究費用がかかるということが原因としてあったとバレット氏は説明します。(GIGAZINE 2021年03月08日 07時00分)

ということである。上記図中に「P.D.マックリーン 1977」とあるので、脳の3層構造仮説は40年以上前の説のようだ。要は、現在のような脳スキャンができない時代に、「たぶんこうなのだろう」という仮説が、広く受け入れられてきたということである。
本に書いてあることが、今でも正しいとは限らないのである。

人間の肺は魚の浮き袋が進化した

人間の祖先をたどっていくと、爬虫類っぽい姿であったことは間違いない。それをさらに遡ると、海の中にいた。これも間違いない。
そんなこともあり、人間の肺は、魚の浮き袋が進化したもの……と小学校で教わった。しかしこれも今や間違いである。

2000年に発売された下記の本によると、生物がまだ陸上に進出していない頃、水面から顔を出し、空気を吸うことで酸素を取り入れる魚類が現れたという。現在も生き残る肺魚に近い生物である。これが、水辺から陸上へと進出したと考えられているのが、最新の学説である。

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大半の魚類にある浮き袋は、陸上に進出しなかった種が、同じように肺呼吸をしようとしたが、陸上に進出した種が、鳥類や翼竜となり、海に生きる種を狙ってきた。その攻撃から生き延びるために、肺を潜水できるよう浮き袋として進化させた、というのである。

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仮説の落とし穴

生物はそんなまっすぐには進化してこなかったのだ。今地球上最大の生物であるクジラは、カバ(っぽい姿をした種)が海にまた戻ったといわれている。太古の魚類が陸に上がろうとした種と、海に生きる道を選んだ種と分かれたように、みんな結構行ったり来たりしているのだ。

「人間の肺は魚の浮き袋の進化形」や「人間の脳は3層構造」という説は、人間の進化の過程に基づいているので、どちらも素直に受け入れやすい。ここに仮説の落とし穴がある。もっともらしい学説、いかにもな仮説。とりあえず信じるしかないとしても、疑問点は常に持っておくべきという教訓である。

ちなみに、パンダは白地に黒なのか、黒地に白なのか。これは白地に黒である。和歌山・アドベンチャーワールドで先ごろ生まれたばかりの(まもなく命名される)赤ちゃんパンダの成長を見ればわかる

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