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空を縫う職人

幾千年の昔、空を縫う職人がいました。職人は万物の声を聞くことができ、町の田畑の作物が水を欲していると雨雲を縫い、雨を降らせ、村の豊作を祈る祭の際などは晴天を縫い、太陽を迎えました。


とある年の祭の日、職人は青空を縫い、空は晴れ渡りました。そんな時、空を縫う職人の噂を聞いた隣山の山賊が職人を訪れて言いました。


「お前か、噂の職人は。気に入った。今日から俺達の村へ来い。」


職人はこれを拒否しました。すると、山賊達は無理やり連れて行こうとしました。職人は抵抗しましたが、力ずくで連れて行かれました。


山賊達の村へ着くと、一人の山賊が言いました。


「この頃晴天続きで雨が全く降らない。これでは作物が上手く育たず、俺達の村の民は飢餓で苦しむだろう。だから雨を降らせてくれ。」


職人は言われた通り山賊達の村に雨をもたらしました。すると空が カッ っと一瞬光り輝きました。雷です。山賊達は家屋へ避難しました。しかし職人は激しい雷雨の中、ひたすらに雨雲を縫い続けました。

すると、巨大な雷が職人を打ちました。職人は死んでしまいました。はじめ、山賊達は雨が降ったことに歓喜し大喜びしましたが、次第に気づき始めました。職人が死んだ今、一体誰がこの雷雨を止ますのだろうか、と。


それから数百年、雷雨はその山に降り続けました。

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