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1人目のデザイナー社員が複業の「カイコク」をリニューアルするために、会社のブランドコンセプトから提案した話

株式会社BLAMでデザインをしているひらやまです。
このnoteでは、複業マッチングサービス「カイコク」というサービスに対してデザイナー自身の私が感じた違和感や世の中の変化から、リニューアルすることで違和感をとりはらった経緯を書きました。
特にインハウスデザイナーで、業務内容やキャリアの不満や不安思うところあれば、一つの解決方法としてみてもらえたらなと思います。

改めて、10/20にカイコクのリニューアルで、下記の変更を行いました。

・ロゴ
・フォントやカラーなどデザインガイドの一新
・クリエイティブ領域拡大の受入を想定したUXの変更
・使いやすさを考慮&運用保守が長く続くことを想定したUIの変更

つまり今後より一層カイコクの強化を図るため全部を見直しました。
これを社内に説得するためには、人件費もかかりますし、今まで築いていたものも一度破壊する可能性があります。
その危険を抱えた中で、メンバーを巻き込んでどうリニューアルしていったのかを話していきます。


今回のデザインリニューアルの背景

話が相当それるのですが、まず私が「カイコク」に出会ったきっかけの、新鮮なユーザーだった頃の気持ちを振り返ります。
「マーケター」を除けば、一番自分がターゲットで、これからのストーリーに大きく重なると考えたからです。

カイコクは、友人がBLAMの人と仲が良く、カイコクリリースのツイートを拡散していたことで偶然知りました。
当時、会社員からフリーランスに、そして会社員時代もコツコツ借金をし(...)、終わらない自転車操業から、ひそひそと副業をした結果、金銭面だけでなくスキルアップもできたため、副業に味をしめていたところでした。

そんな時にいいサービスがきたなー!と思ってカイコクへ会員登録した段階で、マーケター特化とは知らず、「マーケティング」の「マ」の字も知らない私はマーケティングスキル診断で挫折し、あのサービスいいのに、私はそのターゲットじゃなかったのかー;;と自己肯定感を削られました。

その後、その診断結果も忘れたくらいに友人に誘われたカタン会で偶然BLAMのCOOの浅川と出会いました。
その日の帰りにBLAMで、カイコクをもっとよくしたくてデザイナーを探していると聞き、ちょうどフリーランスになる私と条件が一致し、連絡をすることに。
そして、面談時、ポートフォリオも見せないまま判断してもらい、きっと強力なリファラルのおかげでよろしくとなりました。(→やる気がないのではなく、面談を知らなかったという異常例です。)
やはりリファラル最強だなと味をしめながら宮益坂を自転車で爆走した日を鮮明に覚えています。


この経験や今までの経験から、
1.いつか必ず自分自身がターゲットになる状態をカイコクで実現したい
2.たまたま数少ない友人が優秀だったおかげで受かったが、社会的な共通リファラルがあればもっとワクワクする人が増えるはず

と、このサービスにかける想いを勝手に膨れ上がっていきました。

特に2において、人脈を増やすことも重要なスキルですが、デザインでやれることは、知恵や技術で課題設計から課題解決するべくアウトプットを出すことで、そのスキルに時間を割くことが1番の貢献です。
なのに、人脈を増やすための時間から、スキルの時間が足りなくなってしまう状況があり、それを打破したいと切に自身の経験から思いました。


BLAMには最初フリーランスのジョインからでしたが、その後BLAMの社員となり、カイコクをよくしたい一新で今までデザイン・開発に携わってきました。

ですが...その中で日々進化していくカイコクをみて違和感を感じ、デザインがどうしてもうまくできず「?」まみれになる自体が発生しました。

それはカイコクのデザインが点になっていて、線が抜けきっていない状態が原因でした。
なぜその状態へなってしまったのか紐解くと、リニューアル前のデザインとサービスのむかうべき姿への乖離が生じていたからでした。

デザインで違和感が感じた理由


1.ターゲットのずれ
サービス当初の、明るく、誰にも開放されているというよりは、信頼を普段から勝ち得た優秀な人がさらに手にする切符or将来そうなろうと想い、努力を惜しまない人が利用していること。
わくわくさより、真剣になることを楽しめる人がターゲットに変わっていったこと。
また、マーケターだけではなくデジタルに関わる人材がいないと会社の課題解決というニーズに100%答えられなくなっていること。

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↑助けを必要とする企業がたくさんいたこと、予想以上に優秀で将来を考えている方がたくさん力になってくれたことが要因かなと。



2.ストーリーの不明瞭さ

「複業」はあくまで手段であり、社内のビジョンを通したハタラクことを幸せにしたい、というストーリーがカイコクの目的であったことが浸透していなかったこと。その結果、「カイコク」というサービスがそのストーリーにうまくのせられていないこと。

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↑実際に問題提起した際の資料。フォーマットは「ロゴデザインのロジック」を参考にしました。


3.今後の拡張性
後にチームメンバーで会話を進む中で整理したら発覚した、今後副業のみならず働き方を変えていくサービスであることを考えると、チーム構成も、開発基盤も足りていない状況、デザインや開発の属人化が起きていて大きくなると破綻する将来がやってくること。

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↑ヒアリングした中で複業も一つの手段であり、拡大する予定だということ、その拡大はビジョンに基づいていることを改めて認識


これらを解消するため、デザインやブランドに会社として免疫が少なかったため、いちから話していく必要がありました。
前職がクリエイティブ関連ばかりで、デザインとはそもそも必要なものであると認識していたため、改めてデザインの意義はなんだろか、を言語化できるまで考えたことがなかったのですが、デザイナー当時1人だったのでやるしかねえ...の状況となりました。
(このへんの馬力は自分がサービスのターゲットで一番のファンだという自分ごと化がどれだけできるかによると思うので、無理する必要はないです。)
ここからおおよそ1年進めていくのです...


どういうプロセスでリニューアルにいたったのか?(説得編)

まず、新参者デザイナーが、新しいデザインにしましょう!というのは、あまりにも無謀な冒険だと思われ跳ね返される可能性が高いため(事実跳ね返されました)、アウトプットにお金をかける必要がない、会社の根幹にコンセプトを用いることでどう変わるかをみせたいと思いました。
って言葉で言ったけどどうしたらいいんだ?から始まり、ブランディング等の勉強を一からはじめるわたくし。(圧倒的度胸)

今度また書きますが、一番最初に行ったことは、BLAMという会社のコンセプトを決めるところからでした。
この時BLAMには、目指すべきビジョンやミッション、守るべきバリューがすでにありました。また、言葉で言い伝えられているような大事な企業文化も数多くありましたが、人数が急に増えたことで認識齟齬や伝播できていないことが見受けられました。

会社全体に対するブランドコンセプトを作るため、役員から当時インターンだったメンバーまで全員にヒアリングを行い、BLAM「らしさ」のあるコンセプトを提案しました。

そこで、ブランドコンセプトは「らしさ」が重要なのであり、現状のBLAMのメンバーとの乖離がある状況は、今後もますますストーリーが語られなくなってしまうことをアラートしました。そこで、カイコクのロゴも同様だから変更したい意図を織り込ませることで無事プレゼンを成功しました。(ちゃっかりとも言えます)

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↑実際の資料、ブランド力がなぜ必要なのか、コンセプトがない時ー!を説明


どういうプロセスでリニューアルにいたったのか?(道筋編)


次に行ったことは、ストーリーの明確化です。
同じ旗をみて進めないと、結局雰囲気だけ良くなったなんの解決もしないデザインが完成するからです。
デザインにはロジックが必要だという話を改めて伝え、カイコクストーリーを明確にするため、みんな当然知っているだろう、という認識の部分から、改めて何度も話し合いを重ねました。
また、今後どうしていきたいか、という方向性の話も実際WFまで作成し、こうなるためには、これからどうするべきか、という話し合いをしました。
その結果、将来のカイコクを描くにはサービスのリニューアルが必要だ、ということに。
みんなで洗い出したことで、合意を得た形ですっきり全力投入することができるようになりました。

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↑実際に出した資料。ひらやまの圧倒的タスク。


自分がこの提案をしたことで得たことは、自分自身がデザイン(課題設定〜課題解決の意)がとても重要であることに気がつけたことです。

(その後のロゴの決定に向けて、改めてブランドプロミスやパーソナリティを設定したお話もまた今度...)

というわけで、いざリニューアルをしようとした時に盛り込みたかったターゲット拡大を次は挑みました!

カイコクはクリエイター強化を絶対絶対したい!


カイコクはクリエイティブ人材のターゲットへの拡大が大きなリニューアルの背景となりました。
これについても、BLAMという代理店事業でデザインとマーケティングは切って切れないものだ、という自身の経験からメンバーに伝えました。

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↑切っても切れないの図。マーケティングの施策ではほぼ全てデザインが関わる。(青字がデザイン必須)


下記は、当時言語化うまくできていませんが伝えた内容です。
(to:BLAMのみんな、これを一発で言えたらよかったよね)

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営業やマーケが強いと、特にデザインの力は貢献度が低く思われがちです。確かに短期的な視点で見ると低いので、何も考えず広告をガンガン出した方が効果が出るのかなと思っています。

ただ、長期的に見ると、デザインの強い会社が長く続いたり、表にたくさん出ていられたりするように、営業で得られる、1=1(変わる可能性は能力であるけど)ではなく、デザインには、1=100,10000...nという可能性がある、投資のようなものだと思っています。
お金があるからデザインをしているのではなく、お金がないうちからデザインを考えられていた会社が投資の結果成功したのかなと。

その力を借りずに推進してしまうのは、継続するサービスや商品を持つ上でもったいないし、悲しい結果(価格競争でしか戦えない)が待っていると思っています。

いくら広告文が優れていたとしても、デザインがいかにもな感じの色煌びやかでギラギラしているものは怪しい...と思うような感想を抱いてしまいます。
またもし仮に、とても商品が優れていたとして、そのような広告から購入したとしても、感情的な部分ではなく理性的な部分で判断されているため、今後も購入するか否かでいうと、好きで買っているわけではないので新しい優れた商品が出るor安くて同等な商品が出るまで、と期限つきなものになります。
最近よく言われるCXも、今後人口が減る中で、LTVを重視することがとても大切だから注目されている言葉なのかなと思っています。
デザインの力を借りないと、短期的な1=1の施策を永続的にやっていく必要がある...
なので、今こそ、マーケティングとクリエイティブはより一層タッグを組むべきたと思い拡大しませんか?

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説得材料としては、上記の世の中の流れを語ったこと、カイコクの案件で実際にデザイナーさんやデザインスキルを持つ人がほしい、という要望があったため、今回に関しては、ほぼ相違なく進めることができました。
世の中が変わってきてくれていてありがとうと言いたいです。上場されたグッドパッチさんの上場という形も後押しになりました。(圧倒的感謝...)

というような感じで今回のリニューアルにいたることができました。


最後に、今回クリエイター人材に拡大したと言いながらクリエイティブならではの診断を設けず(設けたい気持ちはある)、マーケティングスキル診断の導線を作った背景を自身のキャリアから伝えたいと思います。

デザイン〜○○のキャリアな意義

私は元々職を転々としていたところから、デザインだけでなく横断的なスキルが結果的についてきたおかげで自分自身の世の中のニーズが増えたのかなと思っています。
また、自分がエンジニアとして面接をした経験や、最近はデザイナーとして面接をした経験からすると、デジタルに携わる人材を縦に割ってしまうことはとてももったいないことであると考えています。


例えば、グラフィックデザイナーが、アウトプットを担う印刷会社のことを考慮し、アウトライン化したり、トンボをつけたり、紙を何にするか考えるように、
Webデザイナーが、アウトプットを担うエンジニアのために、コーディングをしやすいようにガイドラインを作成したり、component化したり、codeを取りやすくするためにグループ化することは私は必須だと思っています。
そのためにはエンジニアの領域を少しでもいいから知る必要があります。

また、マーケターやディレクターが、デザイナーの要望によって文字数を制限された中で広告コピーを考えるように(いい例えもっとないかな...)、デザイナーがマーケターが設定したKGI/KPIを共有し、それに沿った素材探しをすることは必須なのではないかと思っています。


そのため、マーケティングの知識がどれくらい自分に必要そうか、知っていないかを俯瞰的にみるためにマーケティングスキル診断を受けて欲しいと思い、デザイナーに対しても診断の導線を入れました。

私もBLAMに入るまでは、マーケティングは分断されている制作会社にいたため、冒頭にある通り全くわからなかったのですが、今や全くわからなかった中でどうやってデザインができるのかわからない状態になりました。(いいパスをたくさんマーケターさんが渡してくれていたことにも気づかず...)


上記から、タッグを組む前提だとしても、デザインの力を発揮するには、自分自身が他領域をみていく必要もあると思っています。
いつもWin-Winでお返しし合う関係がチームとしてもとてもいい関係になりますので、自身のストレス軽減のためにもぜひチャレンジしてほしいです。


まとめ

そのような結果でカイコクはこのようになりました。
Webサイトで4隻の船が推進しているのでぜひのぞいてみてください。(4隻が来航したお話に沿っています)

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総じていうと、自ら動くことが大切な1年半でした..!
カイコクでぜひ動くきっかけを提供し、ハタラクことを幸せにしてもらいたいので、今後もどんどん推進し、進化していきます!

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