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デジタル庁からみる、ミッションの重要性

2021年9月1日、デジタル庁が新たに発足しました。デジタル庁発足の前後に大臣である平井卓也氏がメディアに出演し、庁の宣伝を行っているのを何度か目にしました。そこで感じたのは、大臣の言葉からデジタル庁が何をするところか、というのが曖昧でどうにもはっきりしないということです。本来であれば、デジタル庁のミッションがどういうことで、国民の皆さんにはこれだけのメリットがあるのです!ということをアピールすべきかと思うのですが、大臣の言葉はどうも歯切れの悪いものが続いていました。そこでデジタル庁は本当に何のためにあるのか気になって、公式サイトを確認してみました。

・デジタル庁ホームページ

公式サイトによると、デジタル庁のミッションは

「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を。」

ということのようです。

しかし、これでは何をするのかがはっきりしません。人に優しいデジタルってどういうことなのでしょうか。とてもニュアンスがぼやけています。

私は、

「ミッションとは、選択肢が生じたときに、どちらを選ぶかを決定するための指標となるもの」

だと考えています。

なぜなら、組織では選択を迫られることの連続であり、その際に何を基準に選んでいくのかをメンバー全員が共有しておく必要があるからです。

例えば電気自動車で有名なテスラのミッションを見てみましょう。

・テスラの公式サイト


"Tesla's mission is to accelerate the world's transition to sustainable energy."

日本語にすると、「世界を持続可能なエネルギーへ。」

というミッションを掲げています。

このミッションは何をするのかが明快です。テスラの電気自動車やテスラルーフが、このミッションのために作られているのだということがはっきりと分かります。(イーロン・マスクは度々このミッション以外のことに手を出したりしていますが‥笑)

このように、ミッションは全員が共有できて明快であるのが理想だと思います。

しかし、デジタル庁のような「人に優しいデジタル」といった解釈が人によって曖昧な言葉を使ってしまうと、何を基準に判断したらよいかがわからなくなってしまいます。

例えば「FAXを廃止すべきか」という議論について考えてみましょう。

今のままのミッションだと「FAXは人に優しいデジタルと言えるか」という議論が必要になってきます。昔からFAXを使っている人にとっては、確かに親しみやすくて、優しいと言えるかもしれない‥。このような不毛な議論をする必要があるのです。

しかし、デジタル庁がやるべきはそのような議論ではないことは明確です。

私が考えるデジタル庁のミッションとは、

「霞が関の古いインフラを一新し、次の時代のためのデジタル化を推進する」

ことだと思います。

もしもデジタル庁のミッションが上記の通りであれば、「FAXを廃止すべきか」という問題については、議論する必要がなくなります。なぜなら「FAXは古いシステムであって次の時代に残しておくメリットは一切ない。即座に廃止すべき」であることは疑いの余地がないからです。

何か成果を出すためには、明確なミッションが必要です。ミッションがぼやけているデジタル庁に大きな成果が出せるのかどうかは、正直難しいところがあると思います。あちこちからの反発にあって結局中途半端なものしか作れませんでした‥とならないことを祈るばかりです。


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