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1月中旬にあったベトナムの政治変革での国内マーケットへの影響は?

 ベトナムは、社会主義政権による一党独裁体制で、中華人民共和国と、共通点が多くあるように思います。
第二次世界大戦後、自力で独立を勝ち取った、というところはその後の政治体制の維持に大いに役に立っているかと思います。
中国のケースですと、第二次世界大戦後、アメリカの支援する国民党と戦い、毛沢東率いる共産党が勝利し、そこから中華人民共和国の建国に成功します。
ベトナムの場合も、南ベトナムをアメリカが支援していましたが、国民の圧倒的支持にも支えられ、ホーチミン率いる北ベトナムが内戦に勝利し、ベトナムの統一に成功しました。

その後、中国もベトナムも社会主義体制を維持しつつも、80年代後半あたりから市場経済の導入も行ない、それにより国全体での経済発展を試みてきました。

また、歴史的に中国と隣接してきたことで、文化的に中国の文化が多く入ってきている(漢字や料理など)一方で、中国からどう独立するために戦い続けてきた歴史があります。戦後も中越戦争などで、中国と対立しつつ、ソ連(現在ではロシア)との関係性を重視してきたところがあります。
ベトナム共産党メンバーや、コングロマリット系のCEOらがロシアに留学などをしていたのはそういったところもあるかと思われます。

ベトナムの権力体制としては、以下のような形になっているようです。

①書記長(共産党トップ)・・・任期5年、原則連続2期10年まで、
②国家主席(国家元首)・・・任期5年、不在の場合は次期国家主席選出まで国家副主席が職務を代行する。首相の任免権を持つ
③首相(行政のトップ)
④国会議長(立法のトップ)・・・5年ごとに国会議員選挙が行われる。直近で行われたのは、2021年5月23日

2021年の1月で①の部分で、グエン・フー・チョンは異例の3期目に突入することになりました。この時は、パンデミックに対応する、といった意味合いがあったとされています。

その後、2023年1月中旬までは、
①グエン・フー・チョン
②グエン・スアン・フック
③ファム・ミン・チン
④ブオン・ディン・フエ

という体制でしたが、
1月17日には、②のグエン・スアン・フックらが法令違反だとして、辞任することになりました。
これにより国家主席の職は、ボー・ティ・アイン・スアン国家副主席が職務を代行することになりました。

グエン・フー・チョンは、いままで汚職の撲滅のため、今回のように要職についていたメンバーを罷免するなどしてきたようですが、逆に言えば、チョン氏への権力集中という側面もあるかと思います。

実際、中華人民共和国では、2022年の10月にこちらも異例で、習近平が3期目の総書記・国家主席を務めることになりました。
また、習近平の前任者であった胡錦濤側と近かった李克強は2022年3月の任期満了をもって政界を引退することとなりました。
さらには、習近平は建国者であり、文化大革命を主導した毛沢東をモデルとしているとされています。毛沢東は市場経済を導入しようとする劉少奇らと対立し、権力集中を図りました。
毛沢東をモデルにするということは、権力を習近平自身に集中させ、共産党本来の社会主義経済への逆行を意味し、また2022年末あたりから発生しているコロナへの対応なども要因となり、アップルがiPhoneの製造工場を順次インドやベトナムに移動することを表明し、また投資家も中国の株式市場から距離を置きつつあります。

しかしながら、そのベトナムも権力集中という形になれば、共産党政権の安定ということになると、半市場経済的な体制を作るのではないか?という懸念が自分の中ではあります。

一方で、中国が権力集中という形になれば、中国周辺への領土拡大、つまり台湾への対応やさらには隣国のベトナムへの対応も強気に成る可能性もあるかと思います。

その点において、ベトナムの政情が不安定だと、対中国での対応に遅れをとる可能性もあり、それで体制を固めたという見方もあるかと思います。

ベトナムマーケットじたいは、17日以降大きな影響はない(ベトナム指数に下落は見られない)ようですが、引き続き、ベトナムの政治体制に関する動きには注意を払う必要はあるかもしれません。

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