いなくなった男の子。

小学6年生の頃の私は、仲の良い男子が何人かいた。

その中の男子の佐藤君とはとても親しかった。

ハッキリいうと、傍目ではベタベタしてるように見えたかもしれない。

佐藤君は体が華奢で、色白で、髪の毛も目も茶色がかって…

ソバカスが鼻と頬にかけてたくさんあった… 

少しハーフっぽい感じがする子だった。

私は当時佐藤君を好きと言う感情は無く、ただ心穏やかにお話が出来る仲の良い男子の一人だった。

女の子同士の仲良しみたな感じだったと思う。

佐藤君と私は昼休みに、向かい合わせに座ってお話してた。

それは、今思うとベタベタしてるような事で…

佐藤君の髪型を変えて遊んだり…

私はケラケラ笑って、佐藤君の髪型を弄った。

何度も頭を触って、二人で笑ってた。

佐藤君は全然嫌がらずに、私にされるがまま笑顔でいた。

実は佐藤君とは、小学3年から6年まで同じクラスだった。 

私の人生で一番嫌だった3.4年の暗い私を知ってたはず。

女の子達グループに虐められ、一部の男子からも虐められると言う…嫌な時期だった。

その時期に佐藤君は、私をどう思っていたかも分からない…

でも、取り立てて仲良くは無かったし… 

私にとっても、佐藤君は特別じゃ無かった。

私はその3.4年の辛い時期に、すっかり暗くて人間が大嫌いな子になってた。

ただ私は…

5年生になってから、とてもクラスメイトに恵まれた…

先生は鬼のように怖かったけど、同じグループの男子がとっても皆優しかった。

おとなしくて、笑顔が無い私を笑わせてくれる人達がそこにはたくさんいた。

だから、3.4年で一緒だった嫌な奴だった人も、私が仲良くしてくれた男子達によって手出し出来なくなった。

時々からかいはするが、私が仲良くしてる男子や女子が増えた事もあり、あの辛かった3、4年生時代は嘘のように消えた。

佐藤君もある意味…

嫌われてた時期の私を好ましいと思っては無かったのでは無いかと思う。

でも、席が近くになって佐藤君と沢山のお喋りし、仲良くなった。

それから佐藤君は、いやに親切になった。

わたしが転びかけた時にはすぐに駆け寄って「大丈夫?!」と言ってくれた。

私は恥ずかしさと驚きで…

苦笑いしながら…

「え!?何、どうしたの…!?」と言った。

すると…

「お前のことが心配だからだよ!!」

そんな風に、大切に思って貰えるなんて思っても見なくて…

「あ、ありがとう。」

と、ぶっきらぼうに答えてしまった。

私は元来の明るくて面白い子に戻ってから…

クラスの女子達、男子達とも皆と仲良くなった。

好きだった男子も居た。

好きな男子はシンヤ君。

運動神経が良く、頭も良く、顔もスッキリしてて、背も高く…面白かった。

だから、彼はとても競争率が高かった。

佐藤君は大人しくて、おっとり系の男子だったけど、足がとても早かった。

女子から人気があったかは分からないけど、いつも佐藤君が仲良くしてたのはおっとり系男子だった。

私は佐藤君に限らず、口喧嘩するような男子もおり、今でも付き合いのある男子もいる。

あの頃髪の毛を触るほど仲良くしてた男子は他に誰もいないけど…

あんなに私を心配して駆け寄って来た人も居なかった。

私達は中学校に入って、8クラスに分かれた。

彼がどのクラスになったかは判らないが、入学してすぐに佐藤君の仲良しの男子達が私のクラスに来た。

「どうしたの?」と聞くと…

「あれ?このクラスって俺達のクラスだった男子がいないな」と言った。

私は改めて見返すと、本当に女子以外に同じクラスだった子は誰もいなかった。

暇なことをしてる男子達だな…と思った。

それから、中学では佐藤君を見かけた事も無かったし、色々な事が多すぎて暫く忘れていた。

すると…

口喧嘩する仲だった杉君からある話を聞いた。

「佐藤君学校ずっと休んでるらしいよ」

私は驚いた。

「肺炎か何かで入院してから、来てないと言う話だよ」

そう聞いた。

佐藤君は前に喘息があると言ってたし、体が白くて痩せてて…いかにも病弱そうな繊細な感じがあった。

私は途端に心配になった。

「俺はお見舞いに行くよ」というので…

「私も誘ってよ。」と言うと…

男子と女子が仲良くするのはその頃はあまり良く思われないと言う感じがあり、「無理!男だけでいく!」と断られてしまった。

だから、杉君から情報を得るしか無かった。











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