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『OZAKI30 LAST STAGE 尾崎豊展』 福岡会場

尾崎豊さんが亡くなられてから今年で30年。

10年ごとに開催されてきた企画展が今年も全国で開催され、今週末まで福岡で開催中です。

ぼくと尾崎豊さんの楽曲との出会いは中学生の頃でした。同じテニス部で家も近く仲の良かった友達が尾崎豊さんの大ファンで、ライブビデオを見せてくれたりテープレコーダーに「シェリー」をダビングしてくれたりしました。

尾崎豊 シェリー 歌詞付き / Yutaka Ozaki - Shelly (Cover)
https://youtu.be/Eedpi8xPcuk

尾崎豊さんの魂の叫びは、思春期で複雑な思いを抱えていた自分にとてもダイレクトに響き、テープに合わせて何度も歌いました。

また、時同じくして、少し年上の従兄弟もやはり尾崎豊さんの歌を聴いていました。その頃ぼくが持ち歩いていたウォークマンに従兄弟のカセットテープを入れて、尾崎豊さんの楽曲を聴かせてくれました。

夜に暗い部屋で横になって聴いた「15の夜」や「十七歳の地図」は歌の情景が浮かんでくるようでした。詩的な世界観、そしてロックンロールのビートに乗せて表現される歌声や繊細なバラードに、思春期のなにかがとけていくのを感じました。

その後は自ら数々の楽曲を聴くようになりました。高校になりピアノ弾き語りをするようになると、「OH MY LITTLE GIRL」や「I LOVE YOU」のカバーを練習しました。

また、「ダンスホール」などのどこか哀愁漂う楽曲にも惹かれ、心の隙間が満たされていくような感覚を覚えました。それは“癒し”というものだったと思います。世の中とは大多数だけで構成しているのではない。誰にも大切にされないような場所にいても、そこに投げかける眼差しがあること。この歌で歌われているような少女への眼差しは、そのまま、満たされない想いを抱えていた自分を含めたリスナーにも投げかけられていたのではないでしょうか。

尾崎豊さんの魅力は詩、曲、歌声、ライブパフォーマンス、カリスマ性など、すべてにあると思いますが、現実社会の矛盾や理不尽などに対しては退廃的な世界観や怒りとして表現される。また、人を愛することの美しさに際してなど、人間が関わるあらゆる場面や感情に対して、常に率直であり責任を負わずにはいられない誠実さが、高い芸術性とともに多岐にわたる歌として昇華されていると感じます。

だから、時に激しく、時に哀しく、時に壊れそうなほど神秘的で優しい楽曲を生み出し残されたのではないでしょうか。自分が向き合うことにも、社会が向き合うことにも、常に本気にならずにはいられない、その人間性が数々の唯一無二の楽曲を生み出し、そしてあまりにも早く逝かれてしまったことにもつながったようにも感じてしまいます。

展示会場では、尾崎豊さんが信頼されたプロデューサーの須藤晃さんとやりとりした直筆の手紙なども公開されています。手紙の冒頭ではお互いにいつも世界情勢などの時事に対する憂いや怒りなどが書かれていました。

その上で、チャーミングな冗談や、最後には必ず相手に対して優しい言葉が添えられていました。「お身体を大切に。」と言った一言が必ず添えられていたのが印象的でした。

音声ガイドもオプションで付けることができますが、その内容は今まで知らなかったことなどもあり、とても意味がありました。尾崎豊さんのBSなどでの特集番組や特別ドラマなどは必ず観てきましたが、「そうだったんだ」と思う発見が展示会場ではたくさんありました。

また、自分も今は同じシンガー・ソングライターとして、尾崎豊さんの楽曲制作の環境が再現された展示や、愛用のピアノ、ステージのセットリストや手書きの譜面などなど、とても参考になったり刺激になる場面も多々ありました。音楽の仕事などに興味がある方にも大変興味深い内容だと思います。(会場には撮影OKの箇所が数箇所ありました)

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現代では、当時からは想像もできなかったようなテクノロジーで便利に創作ができるようになっていると思います。ですがその根本や根底で楽曲を生み出す部分は何も変わらないと思います。

会場では大画面で尾崎豊さんのライブ映像を楽しめるコーナーもあり、それがステージ上で流されるため、本当にライブを観ているような臨場感もあり、とても高まりました。

さっと見るだけなら30分〜1時間の広さかもしれませんが、ぼくはじっくり堪能していて気づけば2時間以上があっという間に過ぎていました。

スケジュールに余裕があれば3時間くらいいたかったほどです。

展示を楽しんだ後のグッズコーナーも充実していました。

日常や音楽活動のなかで実用したいアイテムを購入するとともに、改めてデビューアルバムなど数枚のCDを購入しました。

今はスマホでなんでも聴いたり観たりできるような時代ですが、改めてCDでじっくり聴きたいと。

尾崎豊さんも思春期の悩みのなかでギターと出会い歌を紡ぐようになられたそうです。(転校がきっかけだったそう)

その足跡は、世代を越えて、思春期の抱えきれない想いを音楽で、歌で昇華するというひとつのお手本のような存在にすらなっていると思います。

ぼくも、尾崎豊さんの楽曲や存在がなければ、思春期の想いを、詩を紡いだり歌うことで昇華するという選択肢に気付けなかった可能性もあります。

尾崎豊さんが歩んだ轍を歩んだ人は、もちろんぼく以外にもたくさんいるでしょう。

それがもしかしたら、「魂を受け継ぐ」ということなのかもしれません。

誰かが自分の人生と向き合いながら葛藤しながらも生き切ったとき、その人生は他者にも影響を与える輝きを放ち続ける。

尾崎豊さんが灯した光は未だに消えていません。

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尾崎豊さんの展示を見ながら、ぼくは20年前に歩み始めて憧れた、シンガー・ソングライターという職業に、いま就いているのだなとふと感じました。

その日々は容易いものではありませんが、やはりそれはとても幸せなことだと感じるとともに、そのなかにおいて尾崎豊さんの存在が大きかったこと、その感謝を感じました。

シンガー・ソングライターとして歩み始めた頃のように、日々抱えた想いをノートに書きなぐり泥臭く向き合いながら、これからも歌として昇華させていきたい。そしてそれを届け続けたい。

非常におすすめな展示会です。秋以降にはまた大阪など他県でも開催予定があるようです。

https://www.ss-live.ws/yutaka_ozaki_exhibition/

尾崎豊さんファンの方はもちろん、音楽や歌が好きな方、心になにか刺激を感じたい方、ぜひぜひこの機会をお見逃しなく、週末に足を運ばれてください。

このタイミングで尾崎豊さんの展示会を体験できたこと、来週には二年半ぶりに福岡でのオープンな大ホール公演に立てること、喜びと感謝を爆発させて歌で届けたいと思います。

尾崎豊さん素晴らしい作品を、関係者の皆さん素晴らしい企画展を本当にありがとうございました。

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