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東京都議会代表質問「防災対策編」

令和 6 年第 2 回定例本会議が開催され、代表質問に都民ファーストの会東京都議団の総務会長の村松 一希都議が登壇しました。質問内容をご報告します。(読みやすいよう、実際の質問の順番を一部入れ替えてお届けします)

都議会代表質問に登壇する村松一希都議

小池都政の命を守る政策

 小池都知事の2期目は「コロナ禍」で始まりました。未知なる感染症に対して、国が緊急事態宣言の発出を躊躇する中、いち早く(医療機関の)病床確保や、協力金制度(営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金)を打ち出すなど、医療と経済双方から都民の命を守るべく対策を打ち出しました。国に先んじた施策を、東京都庁の全庁を挙げて取り組んでこられました。

 昨年5月の新型コロナ5類への移行に伴い、今年3月の訪日外国人数は過去最高を記録するなど社会経済は本格的に再開していますが、日本の出生数は過去最低を記録(前年比5.1%減の75万8631人)、歴史的な円安の進行や止まらない物価の上昇は、都民の生活を圧迫し、先行きへの不透明感や閉塞感を払拭するには至っていません。

 
このような中で東京都に求められるのは、ワイズスペンディング(賢い支出)の徹底を継続し、都政をさらに加速させることであり、都民の生活を守り、果敢な将来への投資を止めるわけにはいきません。

 小池都知事は、そのリーダーシップにより、「仕事と子育ての両立」や「子育て支援」「デジタル化」など、古い政治で永らく置き去りにされてきた領域に光をあて、(保育所の)待機児童対策をはじめ切れ目のない子育て支援、行政のデジタル化、男性の育児参画を含めた女性活躍など、国に先んじた施策を次々に実現してきました。引き続き、都民・国民の暮らしや生き方の多様性、そして望みが反映された「都民ファーストの政治」に知事が取り組める状況を作り上げることこそ重要であると申し上げ、質問に入ります。

【防災対策:「100年先も安心」な強靭な東京】

 1) 中小河川における洪水対策

 今年も梅雨入りし、集中豪雨や台風に備える時期になります。近年、全国で甚大な豪雨災害が起き、都内でもいつ大規模な水害が発生してもおかしくない状況です。今後、気候変動の影響による降雨量の増加や海面上昇、台風の強大化など、風水害リスクの増大も懸念されています。都はこれまでも護岸工事や、豪雨時に大きな効果を発揮する調節池等の整備などを進めていきますが、中小河川の洪水対策を一層推進していくことが重要です。

Q. 気候変動により激甚化・頻発化する豪雨に対して、大きな効果を発揮する調節池等の整備を推進すると共に、私たちの重点政策である「グリーンインフラ(※)」の導入も拡大するべきと考えますが、知事の見解を伺います。

※グリーンインフラとは
社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある都市・地域づくりを進める取り組み。

<小池百合子都知事>
 都民の命と生活を守ることは、都政を預かる者の最大の使命 。激甚化・頻発化する豪雨に対して、平常時から「備えよ、常に」の精神で準備を万全にしておくことが重要 。
 都は、これまで 27 か所の調節池を整備しており、記録的な大雨となった令和元年の東日本台風では21 箇所で取水し下流での溢水を防止。現在は、城北中央公園調節池など八か所で工事を進めております。さらに、気候変動への備えとして、環七地下広域調節池等を連結し東京湾まで繋げる、 いわば「新しい川を地下に一本作る取組」を推進。
 「河川でのグリーンインフラ」については、 旧河川敷等で雨水の浸透効果を確認し、整備場所の特性に応じた浸透施設の導入を図る。
 
こうした取組により、強靭な都市、東京の実現に向けて河川施設の整備を推進。

答弁する小池百合子東京都知事

2)  「マンション防災」のさらなる強化

約7割の都民がマンション等に居住し、地域とのつながりが気薄になりつつある首都東京ならではの実情に応じて、知事は東京都地域防災計画 震災編」に、新たに「マンション防災」を盛り込み、マンション等における備蓄や訓練、地域との連携強化により地域全体の防災力を高める重要な取り組みを進めてきました。

東京都地域防災計画 震災編 令和5年修正ポイント

 都は、私たちの求めに応じ、地域の防災対策を進めるにあたり、これまでの町会・自治会を中心とした防災施策に加え、マンション住民に向けた取り組みを大幅に強化し、一定の防災の基準を満たしたマンションの名称を「東京とどまるマンション」とわかりやすく変更するとともに、防災備蓄資機材の購入補助など支援も拡充してきました。今年度、さらに私たちの提案を踏まえ、町会等と連携して訓練を行った場合の助成率を高めるなど、事業を強化したことを高く評価します。

 本事業について、より多くのマンション居住者に知っていただく必要があります。例えば、都内のマンションでは多くの防災訓練が実施されていますが、マンション側の求めに応じて東京消防庁が訓練の指導にあたっています。さらに地域防災力を高めるためには、「東京とどまるマンション」のさらなる拡大と、(マンションと)町会等との連携の促進が必要です。

Q. 昨年度の「東京とどまるマンション」の実績と、補助事業について、例えば東京消防庁と連携することなどにより周知を強化するべきと考えますが、見解を伺います。

<住宅政策本部長>
地域の防災力向上には「東京とどまるマンション」の登録の拡大と、防災活動の地域への波及が重要。都は昨年度(2023年度)より、防災備蓄資器材の補助を開始し5 万戸超の登録があった 
登録拡大には、消防法等に基づく訓練の活用も効果的。今後、東京消防庁と連携し、実際の訓練等の機会に、(東京とどまるマンションの)PR キャラクターが登場する動画等による登録促進のほか、町会等と合同防災訓練を実施した場合に資器材を全額補助する制度を紹介

3) ボランティア活動への支援

 都は、対口支援として輪島市を中心に支援活動を展開してきました。インフラの復旧をはじめ、(避難所運営や行政手続きの支援など)多岐にわたる取組を行っている全ての方々に敬意を表します。

 一方で、多くの被災者が未だ避難生活を送っています。

 都は、東京ボランティア市民活動センターとの連携によって、被災者の交流などの活動を開始しました。輪島市や穴水町にサロンを設け、都民によるボランティア支援を行っており、報道もされています。人と人をつなぐ取組は、今後もぜひ継続することを要望します。

 これから住宅の公費解体が本格化し、多くのボランティアの力が必要となります。

Q. 被災地の復旧復興に向けて、都として「ボランティア活動の支援」をしっかりと進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

<生活文化スポーツ局長>
 被災地の復旧、復興にあたり、ボランティアが果たす役割は大きく、活動を後押ししていく必要がある。都は、東京都社会福祉協議会などと連携して、能登半島地震の被災地に独自に"宿泊拠点"を設置これまで延べ 95 名の都民をボランティアとして派遣し、住民同士の交流のための「サロン活動」等を支援している。被災者の方からは、久しぶりに住民同士で話ができて嬉しい、地元の自治体からは状況が把握できて助かるといった声をいただいている。 引き続き現地の状況やニーズを踏まえながらボランティア活動の支援を進めていく。

4)  ペット同行避難

 避難所におけるペット同行避難について伺います。能登半島地震では、ペットと共に避難したものの、ペットの飼育スペースを充分に分けることができず、ペットの飼育者が常に気を遣いながら過ごすことで、多くのストレスを抱えながらの避難生活を余儀なくされました。

  避難所には、動物が苦手な方や、動物アレルギーがある方もおり、全ての避難者の安定した避難生活維持のための「ペット同行避難」が必要です。

Q. 今年度、都が新たに実施する避難所開設訓練においては、ペットの専門家である獣医師会の方々や実際に避難をするペット飼育者を含む住民の方々が参加する、より実践に即した訓練を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。

< 総務局長>
避難所において、ペット同行避難の受入れ体制を整えておくことは重要。 このため都は、新たに今年度(令和6年度)の総合防災訓練で、板橋区と連携し避難所開設訓練の中で、地元獣医師会の監修のもと作成したマニュアルに基づき、ペット同行避難も実施。こうした取組により、誰もが安心して避難所を利用できる体制を整備。

参考:令和5年度東京都・東村山市合同総合防災訓練

5) 防火防災訓練等の推進による地域防災力の向上


 町会や事業所等での防火防災訓練は、コロナ禍を経て大きく減少しています。
 Q. また、 町会等への加入率が低いなか、町会等が主体となった防火防災訓練だけでなく、町会等未加入者や訓練実施を知らない方々に向けた防火防災訓練を実施するなど、防火防災訓練の新たなアプローチで防火防災訓練を推進することが必要と考えますが、東京消防庁の見解を伺います。

<消防総監>
 新たなアプローチによる訓練の推進についてですが地震等に被害軽減には、より多くの 都民が防火防災訓練に参加し、防災行動力を高めておくことが重要です。このことから、多くの人が集まる場所に消防が出向くプッシュ型の訓練、マンション居 住者向けの防災対策動画を活用した訓練、国際交流協会等と連携した外国人向けの訓練など、様々なアプローチで、より多くの人に訓練参加を促していきます。
 加えて、消防署がつなぎ役となり、町会や事業所等が一体となった訓練を実施し、地域の共助体制の構築を図ってまいります。今後、関係部局や区市町村と連携を図りながら、これらの取組を推進し更なる地域防災 力の向上に努めてまいります。

6)東京強靭化プロジェクトの推進

 阪神淡路大震災の被災者でもある小池知事は、「備えよ、常に」を座右の銘として、東京の安全・安心に向け多くの実績をあげてきました。

 私たちは、耐震化・不燃化や無電柱化などハード面の整備の推進に加え、コミュニティ強化の重要性を主張してきました。知事は、従来の町会・自治会への支援に加え、都民の7割が居住する「マンション防災に対する事業を創設」するなど、ハード・ソフト両面から取組を強化してきました。その結果、知事就任後、首都直下地震の想定死者数、建物被害想定は実に約35%減少しており、都民の命と暮らしを守る災害対策は大きく前進しています。

 また、リニューアルした「防災ブック」には、社会の多様性や居住形態の変化などを踏まえ、マンション等に関する記載の充実が図られました。各家庭に配付され、いつでも手軽に読むことができ、停電時にも活用できるなど、都民の防災対策に有効です。とりわけ、スマホに慣れない高齢者からは、ありがたいと多くの声が寄せられています。

 年始に発生した能登半島地震では、「備え」の重要性はもとより、地域で助け合う、人の「絆」が大切であると改めて認識しました。こうした教訓も踏まえながら、TOKYO強靭化プロジェクトを更に進めていかなければなりません。

Q.そこで、都民の生命・財産を守る、世界に誇る安全・安心な都市の実現に向け、どのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。

<小池百合子都知事>
 私は知事就任以来、「都民の生命と財産を守ること」に全身全霊を傾けてきた。あらゆるリスクに対し大きく構え、万全の備えを講じることこそ、安全で安心な都民生活や、円滑な 企業活動の礎となると確信している。
 ハードとソフトの両面で「強靭化プロジェクト」を進め、百年先も災害に揺らぐことのない東京を創り上げる。
 
大規模な風水害には、地下調節池のほか、発想を広げ、雨水浸透力を活用した「グリーンインフラ」を積極的に導入していく。生活に必要な上下水道や建物の耐震化も加速する。多くの都民が暮らすマンションでは、災害時にも暮らし続けられるよう、電気や水の確保に向けたサポートを強化する。加えて、マンション住民が周囲の町会等と協力して行う防災訓練を通じて、つながりを創出し地域を挙げた防災力の向上を図る。
「備えよ、常に」の精神で施策を不断に見直し、多様な主体とも連携しながら、「百年先も安心」を目指して、強靭で持続可能な都市を実現して参ります。

→「経済編」に続きます。