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都議会第4回本会議ー代表質問解説(後半)


R4/12/8 都議会代表質問
後藤なみ都議の演説を聞く小池百合子都知事

🍀アート文化支援


●ライブハウスや小中規模団体への新たな支援策を

<後藤都議>
文化支援については、小規模な芸術文化団体等がコロナ禍で大きな影響を受けており、私たちはそうした団体等の行動を支える新規の支援策の創設をかねてより求めてまいりました。例えば、ライブハウスや小規模の劇団などは、独創的な作品を生み出すポテンシャルがあるものの、資金調達に困難な面があり、新たな公演の開催をちゅうちょするような不安定な環境に置かれています。
(問21)コロナ禍を乗り越え、意欲をもった芸術文化団体の活動が存続できるよう、 ライブハウスや小規模の劇団など中小規模の団体等を支える、新たな支援策を講じるべき ですが、知事に見解を伺います。

(答弁21 小池百合子都知事答弁)
○ 芸術文化都市である東京では、劇場やホール、ライブハウスにおいて多種多様な演劇や音楽、ライブエンターテインメントの公演が行われている。
○ 都内に多数存在する個性豊かな小規模な劇団や音楽グループなどはクリエイティブで実験的な公演を展開し、東京ならではの芸術文化の魅力を発信。
○そこで、今後の国内外の人流の活発化やインバウンドも見据えて、中小規模の団体による幅広い芸術文化、エンターテ インメント活動を後押しする支援を検討する
〇中小規模の団体ならではの困難な状況も踏まえ取組を進め、東京の芸術文化の多様性を さらに進化させるアーティスト等の活動環境の整備について。

都民ファーストの会東京都議団の代表質問に答弁する小池百合子都知事


●芸術文化分野:ハラスメントやフリーランスの課題に解決策を

<後藤都議>
芸術文化の業界においても、性別や年齢によるハラスメント等や、フリーランスならではの課題があると聞いています。

(問22)芸術文化をより一層振興していくためには、事業に対する支援だけではなく、担い手であるアーティスト等の活動環境についても支援していくべきだと考えますが、見解を伺います。

(答弁22 生活文化スポーツ局長)
○ 芸術文化はアーティストや制作スタッフ等による幅広い活動によって支えられてお り、安心して活動できる環境整備が重要。
○ 現在、制作の現場におけるハラスメントや、書面によらない不明確な契約など、例えば女性やフリーランスなどの弱い立場にあるアーティスト等が多くの課題に直面 。
〇ハラスメントなどへの対応や、外部の専門家を活用した契約や税務に関する法律相談など、アーティスト等の活動環境向上に寄与するサポートセンター設置について検討 。

代表質問に登壇した後藤なみ都議

🍀医療・介護

そして、二つ目の私たちが掲げる重点領域は医療、介護分野であります。

 少子高齢化が進む中でも、医療や介護の質を維持するために、私たちは生涯を通じた医療データ、いわゆるライフコースデータを医療、介護の関係者と共有していくべきだと考えています。


●医療分野ーデジタル活用の新しいサービス導入を進める

 コロナ禍により医療業界にもたらされた変革として、スマートフォンを使った往診や医師が自宅に行く往診など、新たなサービスとして拡大をしています。こうしたデジタルを活用した新しいサービスは、感染症対策において、対面の発熱外来の逼迫や、一般診療へのしわ寄せを軽減しただけでなく、地域包括ケアにおいても不可欠な二十四時間体制につながる取組であると考えます。

(問23)医療分野における新しいサービスの導入が進むよう、ユーザーである都民の視点を取り入れて、医療提供体制を構築すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

(答弁23 小池知事)
○ 都は、これまで、医療を取り巻く環境の変化に対応し、がん・救急医療・災害医療・ 在宅療養など、都民の安全・安心の確保に向けた医療提供体制の整備を進めてきた。
○ 東京の医療は、更なる高齢化の進展や、激甚化する自然災害、新興・再興感染症への対応など、様々な課題に直面している。
○ 一方で、デジタル技術を活用した医療と介護の関係者間の情報共有や、新型コロナウイルス感染症の流行下におけるオンライン診療の活用、24 時間の往診など、都民の安心を支える取組も広がっている。
○ こうした取組を都民の視点に立ちながら充実し、誰もが住み慣れた地域で質の高い 医療を受けられ、安心して暮らせる東京の実現を図っていく


●24時間往診対応の在宅療養の整備を

(問24)地域の病院、診療所に加え、往診も組み合わせた地域の医療・介護の環境整備に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。

(答弁24 福祉保健局長)
「在宅療養」を更に充実させていくためには、地域の医療・介護関係者が相互に連携し、切れ目のない支 援体制が重要。その整備に当たっては、24 時間対応往診可能な仕組みづくりや病状変化時の受入病床の確保といった課題がある。
○ 今般の新型コロナの流行下で、在宅医療のみを実施する医療機関の活用や 地区医師会の輪番制などによる夜間・休日等の自宅療養者への往診や、デジタル技術を 活用した健康観察などの取組が広がっている。
○ 今後、こうしたコロナ禍における取組も取り入れながら、24 時間対応往診可能な体制整備に積極的に取り組む地域を支援するなど、在宅療養体制の更なる充実を図るとともに 次期保健医療計画改定の検討に反映していく。

(現在の東京都保険医療計画の期限は、令和5年まで。そのため令和5年度は次期計画の策定がされます)


🍀子育て・子ども

そして、三つ目の重点領域は、子供、子育て、教育分野です。

小池都知事は私たちの質問をいつも良く聞いてくださっています

 私たちはこれまで、待機児童対策の推進、そして不妊治療の助成、赤ちゃんファースト事業の提案など、「子供を産み育てやすい東京」の実現に向けた政策を推し進めてきましたが、コロナ禍における出生率のかつてない落ち込みに対し、取組の一層の加速が求められています

 また、今までの延長線上にはない未来を生き抜く子供や若者のためには、学びをアップデートし、時代に応じた環境整備と一人一人の個性を伸ばす教育や、学びへの一層の投資を行う必要があります。


●東京出産支援「赤ちゃんファースト」継続、国制度と効果的に併用を

 「出産支援」については、平均的な実費に比べ、出産一時金や妊婦健診の助成額が不足をしていたことに対し、今般、ようやく国が10万円相当の出産準備金制度を創設したということは、遅きに失するものの、大いに歓迎するものです。

 一方、都で先行していた東京都出産応援事業「赤ちゃんファースト事業」は、私たちが重点要望として提案し、昨年度から実現をいたしました。この事業で10万円相当額を提案した背景は、東京都内の出産費用が全国に比べて10万円以上高いという実態に基づいたものです。

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/tokyo_shussanouen.html


赤ちゃんファースト事業は10万円分の商品やサービスをカタログから選べます


(問25)そうした背景の違いも鑑み、東京都出産応援事業「赤ちゃんファースト」は、今後10万円規模の予算を確保し、継続するとともに、今般導入される見込みの国の制度と効果的に併用できるよう、支給の時期や使い道など、ユーザーである子育て中のパパママが使いやすい仕組みとすべきと考えますが、知事の見解を伺います。

(答弁25 小池知事)
〇都は、コロナ禍で不安を抱えながら出産・育児に臨む方々を社会全体で後押しをするため、東京都出産応援事業(赤ちゃんファースト)を実施している。
〇都民の皆様からは「子供が産まれることが世の中から歓迎されている応援されていると 感じられた。」「都の子育て施策に非常に助けられている。」など高い評価を頂いている。

〇今般、国は総合経済対策として、妊娠及び出産時を通じて計 10 万円相当を支援する 事業を創設した。この事業の実施に当たっては、都の「出産応援事業」を先行例として取り上げ、都道府県と区市町村とが連携した広域的な取組が推奨されている。(東京都の事業が国に参考にされたものです)
現在、広域連携の実施について区市町村の意向を確認しており、国の事業も活用し、 子育て家庭のニーズにより即したものとなるよう、継続的に支援していく仕組みとして 本事業の更なる充実を検討していく


●卵子凍結の支援創設を求めます

 私たちは、かねてより、東京で働く夫婦の実態を踏まえ、不妊治療の負担軽減等の取組を国に先駆けて進めてまいりました。一方、海外では、妊孕性を高め不妊治療の短期化も期待される取組として、卵子凍結についても選択肢として普及しており、従業員に支援策を講じている民間企業もあります。また、不妊治療に至る前に、自身の体のことを知り、将来設計を促す取組として、AMH検査の推進も重要です。(問26)妊孕性を高め、不妊治療の短期化も期待される取組として、海外では既に選択肢として普及している卵子凍結に対しても支援を創設すべきだと考えますが、知事の見解を伺います。

(答弁26 小池知事)
○ 子供を産み育てたいと望んでいるものの、様々な事情によりすぐには踏み切ることが できない方にとって、卵子凍結は将来の妊娠に備える手段の一つである。
〇都は、若年がん患者等が、治療に伴う負担や将来への不安を軽減できるよう、生殖機能温存にかかる費用を支援している。
○ こうした医学的適応とは別に、女性従業員のキャリア形成支援として、福利厚生に 卵子凍結への助成を導入する企業が現れるなど、健康な女性の間で、将来の選択肢として の卵子凍結への関心が高まっている。
○ この、いわゆる「社会的適応」については、関係者間で様々な議論がなされているが 都としては、子供を望む方に対する支援の充実という観点から、対応を検討していく

<後藤都議>
また、体に残された卵子の目安を知り、妊活、不妊治療に生かすことのできるAMH検査に対して、不妊治療に至る前に若年世代が受診できるよう、支援を拡充するよう求めておきます。加えて、女性の体と健康を守る観点から、子宮頸がん検診の受診啓発やHPVワクチンの接種促進に向けた取組についても、さらなる対応強化を求めておきます。

※この質問に関しては、令和5年度の予算要望の重点項目にも入れ、実現に向けて働きかけを続けています↓

都民ファーストの会東京都議団の令和5年度予算要望


●男性の育児支援(鬱予防)

育児に関わる男性の10%が鬱になるという指摘を受け、私たちは専門家を招いた勉強会を開催いたしました。そこで、知識や経験がないだけでなく、支援も薄い男性が、実は子育てで孤立しやすいということ、復職後の過重労働や責任感など、社会的要因も鬱の原因になることなどを伺いました。

 男性育児の先進国フランスでは、普及促進だけでなく、父親学級や育児支援を展開したことで、育児休業の取得率が大幅に増加をしていると聞きます。

(問27)男性の育児休業取得の推進とともに、都は育児に関する男性の鬱について、幅広く普及啓発と相談支援の充実を図りながら、「育業」についても推進していくべきだと考えますが、見解を伺います。

(答弁27 子供政策連携室長)
改正育児・介護休業法の施行を契機として男性の取得率を高めることが重要であり、 その中で男性の鬱についても理解を図ることが必要。

参照:厚生労働省

〇育業の推進に当たっては、関係局と連携し男性に対して家事・育児に役立つ情報を伝え、企業に対してセミナー等を通じ、育児との両立支援の重要性を啓発。
〇その中で今後、育児を行う男性が鬱になるリスクや家族・職場の理解と協力の重要性も伝えていく
〇男性の育業支援に取り組む企業・団体等の好事例を発信するとともに、育児に悩む父親 への相談支援の充実に向け区市町村に都の補助事業の活用を促す。
〇こうした取組を通じて、誰もが安心して働き 育児ができる社会を目指していく。


●認証保育園の役割の転換を

<後藤都議>
 待機児童解消に伴い、保育所ニーズを補完する役割を担ってきた認証保育所も、役割の転換期を迎えていると考えます。
 一方、在宅子育て家庭では、コロナ禍での孤独な出産、育児が増えており、子供の育ちの意味からも、孤立防止の意味からも、保育園等の社会につながることが重要です。
 また、医療的ケア児や発達障害を持つ子供たちを受け入れる保育園が現状少なく、受皿の確保も急務であります。

 待機児童が解消されつつある今、認証保育所は、子育て家庭を誰一人取り残さず包括する、子育て家庭の課題解決拠点としての役割が求められています。

(問28)保護者の就労状況や障害の有無等にかかわらず、誰でも利用しやすい、認証保育所の新たな仕組みを構築すべきだと考えますが、見解を伺います。

(答弁28 福祉保健局長)
○都は、保護者と事業者との直接契約により、事業者の創意工夫を生かし、都民の多様な保育ニーズに対応する認証保育所を平成 13 年度に創設した。
〇その後、育児休業制度が充実してきたほか、テレワークなど働き方が多様化することに伴い、子供と家庭を取り巻く状況は変化している。
○ こうした状況を踏まえ、必須としていたゼロ歳児保育の要件を緩和し、1 歳児の受入れを促進するとともに、短時間利用や学齢児の受入れなど新たな仕組みを設け、利用者の ニーズに対応できるよう制度を見直した。
今後、認証保育所が子育て支援の拠点として、子育て家庭の様々な課題に対応できるよう、必要な支援や制度の更なる見直しについて検討していく


●所得によって制限されない子育て支援を

<後藤都議>
 少子化に伴って進行する人口減少は、まさに静かなる有事であり、国家の根幹に関わる喫緊の課題であります。その課題解決のため、私たちはこれまでも「とうきょうママパパ応援事業」や「赤ちゃんファースト事業」等について提案し、実現をしてまいりました。

東京都福祉保健局HPより

 少子化の主要な原因は、教育費など子育てにかかる費用が重く、希望する子供数を諦める夫婦がいるということです。

 ある調査では、夫婦が理想の子供数を持たない理由の一位は、「子育てや教育にお金がかかり過ぎるから」となっており、三十五歳未満の八割近い夫婦が理由として挙げている現状があります。

国立社会保障・人口問題研究所参照

https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/report15html/NFS15R_html10.html#h3%203-1-4


 国は、今年十月から、親の年収が一定以上の場合には児童手当の支給を廃止いたしました。しかし子供を望む人が希望する数の子供を持てる社会を実現するためには、親の所得に制約されない子育て支援も重要だと考えています。

(問29)全ての家庭が希望する数の子供を持てる社会の実現に向けて、今こそあらゆる 支援を講じていくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。

(答弁29 小池知事)
○ 次の世代を担う子供たちは未来そのものであり、生まれた家庭の環境にかかわらず、 全ての子供の成長は等しく応援されなければならない。望む人誰もが子供を産み育てやすい環境を整えることが、少子化に直面する東京、ひいては日本の夢と希望にあふれる明るい未来の実現につながる。
○ 都はこれまでも、妊娠・出産・子育ての切れ目ない支援の充実や、家事・育児の負担 軽減に向けた取組、経済的負担の軽減など、子育て世帯に寄り添った政策を多面的・複合 的に推進し、国をも先導 。
○ 少子化とそれに伴う人口減少は「静かなる有事」でもあり、社会の存亡に関わる危機 に直面する今、あらゆる手立てを早急に講じる必要がある。
子供を望む人が希望する数の子供を産み育てやすい社会となるよう、対策の充実について具体的な検討をおこなう

※この質問内容については、都民ファーストの会の令和5年度の重点要望にも入れて、本腰を入れて取り組みを進めています↓

都民ファーストの会東京都議団令和5年度予算要望


●子どもの遊び場確保を

<後藤都議>
 子供、子育てにおいて、遊び、遊び場は非常に重要な要素です。さきの定例会において、私たちからプレーパークなどのソフト面の取組を支援するよう提案し、知事からは、「プレーパークなどの遊び場やプレーリーダーの育成支援に乗り出す」との答弁があったことを高く評価しています。

一方、子供の遊び場の確保についても取組の強化が必要です。公共施設に限らず、例えば駅ナカや大型施設などの民間の中核的な施設における遊び場の誘導、また商店街等における空き店舗のリノベーションや空き地の活用、都有施設、未利用都有地や都営住宅の空き地や空き駐車場の活用など、様々な場所を活用していくことが重要であると考えます。(問30)子供の遊び場確保にどのように取り組むのか、知事の見解を伺います。

(答弁30 小池知事)
〇遊び場は、多彩な体験・経験ができる学び舎。子供たちは、そと遊びを通じて友達同士で関わりながら、実社会で生きる力を育んでいく。子供の笑い声であふれ、思い切り遊ぶことができる環境を創っていくことは、私たちの果たすべき「未来への投資」。
〇今後、遊び場づくりという政策課題に真正面から取り組んでいくため、公共空間や施設等の地域資源を活用した、区市町村における遊び場創出を後押し。創出にあたっては子供の意見を反映させることにより、子供を主体として捉えた象徴的な取組にする。
〇地域における遊び場づくりを促進し、子供の笑顔であふれる東京を実現 。


●子供を笑顔にするプロジェクトの継続を

<後藤都議>
 新型コロナは、子供たちの学校生活にも大きな影響を与えました。休校、オンライン授業で実際に顔を合わせる機会が失われ、学校に戻っても多くの制約がありました。そんな環境が子供たちの成長に大きな影響を及ぼすと考えます。だからこそ、子供たちに体験の機会を通じて、笑顔になれたり、コミュニケーションを図り、前向きな気持ちで学校生活を送ってもらいたいと私たちが強く要望し、実施されたのが「子供を笑顔にするプロジェクト」です。

https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/content/children_smile_project.html


(問31)「子どもを笑顔にするプロジェクト」について、今年度都内公立学校の約 8 割が参加申込をするなど好意的な反響を得たことは伺っていますが、今年度の総括をしっかりと行い、意義・効果の高い体験を精査した上で、来年度も取り組みを実施すべきと考えますが、見解を伺います。

(答弁31 東京都教育庁 教育長)
〇都内公立学校の約 8 割から参加申込があり、各地の学校で、子供たちを笑顔にする多様 な体験活動が展開されている。
○ プロジェクトを活用した学校から、プログラムの選択理由や期待する効果、評価等を 順次アンケートにより集約しており、体験学習や子供の心理の専門家など、外部有識者の知見も活用しながら、プロジェクトを総括していく。
○ こうした総括を踏まえ、積極性、協調性、他者理解など、豊かな心の育成に効果が 高いと考えられる体験活動が引き続き実施できるよう、調整を進めていく


●子どもが芸術文化に触れる環境を

<後藤都議>
 未来を担う子供たちが、変化の激しい社会においても、生きる力を高め、豊かな人生を切り開いていくためには、科学的な知識や考え方だけでなく、コミュニケーション能力や創造力の醸成が重要です。アメリカなどで既に定着しつつあるSTEAM教育でも、これからの時代を生き抜く五つの力として、科学、技術、ものづくり、そして芸術、数学を掲げ、重視する教育方針が取られています。

 子供たちがコミュニケーション能力や創造力を高めるためには、幼い頃から芸術文化に触れることが重要であり、それらを子供たちみんなが享受できる環境づくりが不可欠です。

(問32)子供たちの豊かな感性を育むため、エンターテイメント等も含め多様な芸術文 化にすべての子供たちが主体的に親しむ機会を提供していくべきと考えますが見解を伺い ます。

(答弁32 生活文化スポーツ局長)
○ 子供たちの感性を磨き、創造性を育むには、日常から離れた芸術文化の体験を通して 多様な価値観に触れ、リアルな魅力を体感することが重要 。
○ 東京には、多彩な芸術文化、エンターテインメント資源が集積し、東京の魅力の要素の一つ 。
○それらを活かし、ミュージカルやダンスなど幅広い芸術文化の鑑賞と、その背景に触れる機会を子供たちが選択できるよう、教育庁とも連携しながら検討


●学校で「朝食」支援を可能にー子供食堂の拡充

<後藤都議>
 子供の貧困や居場所の不足などの課題が顕在化する中で、都がフードパントリーや子供食堂への支援を強化してきたことは重要です。子供食堂の運営経費の補助は、29区市、269か所に実施したと認識をしています。
 今年度は、子供食堂に調査を行い、立ち上げ時に活用できる補助金や運営ノウハウの提供などが要望されていると聞いており、今後の支援拡充を求めます。また、継続的に役割を果たしてもらうためにも、例えば基金を積むなどの年度の変わり目の懸念が少ない仕組みを求めておきたいと思います。

 一方、成長期の子供たちにとって、朝食は成長のために重要であり、脳の活性化についても必要な取組であります。学校で朝ご飯という取組を実施している自治体もあります。 
(問33)多様化する働き方や生活習慣・家庭の経済状況等を踏まえ、こども達の食生活 を支える観点と食育の観点から、子ども食堂やフードパントリーの支援策を拡充し継続的 な取り組みとすると共に、学校なども活用し、地域で子供に朝食を提供できる取組につい て都として支援すべきですが、見解を伺います。

(答弁33 福祉保健局長)
〇フードパントリーや子供食堂は、地域における食の支援として重要な活動である。 ○ 都は、フードパントリーの設置に取り組む区市町村へ立上げに要する経費を支援するほか、今年度からは食料等の価格高騰の影響を踏まえ、フードパントリーを運営する事業者に食料調達費等を補助している。
○ また、子供食堂に対しては、区市町村を通じ、朝食の提供を含む会食の開催や配食・ 宅食の実施に要する経費を支援しており、今年度は物価高騰対策として新たに、事業の立上げに要する経費も補助している。
○ さらに、区市町村が地域の実情に応じ、学校施設等を活用して食事を提供する場合も包括補助で支援している
○ 今後、事例集を作成し、朝食にも活用が可能なことを、区市町村を通じて周知するなど、本制度を活用した子供と家庭への食の支援の充実を図っていく。


●子供の安全対策

<後藤都議>
 さきの定例会において、私たちは、保育園等のバスへの置き去り防止の取組で、センサー等の導入費補助を行うべきと提案し、迅速な対応を行うため、本定例会の補正予算に計上したことを高く評価するものであります。

 一方、自家用車における置き去りや子供がマンションから転落する事故なども相次いでおり、家庭における安全対策も重要な課題であります。子供は日々成長し、行動範囲も広がるため、家庭で思いがけない事故に巻き込まれることがあり、見守りや注意喚起だけで事故を防ぐのは難しいのが現状です。

(問34)乳幼児の家庭内での事故予防策をはじめ、CDR:チャイルドデスレビューとの 連携や科学的な手法も取り入れながら、子供の状況に応じた効果的な安全対策を講じてい くべきと考えますが、知事の見解を伺います。

(答弁34 小池知事)
〇子供は、様々な挑戦を通じて、成功や失敗を繰り返しながら成長。 成長・発達段階に応じて、子供たちが思い切りチャレンジできる安全な環境を創っていく ことが何より重要。
〇一方で、乳幼児の家庭内での不慮の事故が依然として発生する中、従来の注意喚起にとどまることなく 効果的な予防策を講じていくことが急務 。

○ 庁内各局等が保有する死亡事例を含む子供の事故情報や検証内容を収集・分析し、 子供の行動特性について AI 等の最新技術を活用して解析。その上で成長発達段階に応じ た、エビデンスベースの事故予防策を開発・考案さらに、予防策を関係機関にフィード バックし、社会全体で事故予防に取り組む仕組みを構築
○ これらの取組を通じて、都庁一丸となって家庭内での事故を予防し子供に優しい安全な社会を実現 。

<後藤都議>また、今後、家庭における子供の安全対策を講じることを推奨するため、例えば、落下防止ネットや子供の見守りカメラ、クッションマットや指挟み防止、感電防止など、安全対策グッズ購入などの支援と啓発をセットで取り組むことも求めておきます。

🍀教育


●教育データ活用でエビデンスベースの価値創造・課題解決型の学び

<後藤都議>
 これからの時代を生きる子供たちに大切だとされる資質として、従来の学力に加え、主体性、協働性、自ら学ぶ力、探求心、課題設定力などが挙げられています。

 これらを伸ばすための教育は、これまでの延長線上にはなく、児童生徒一人一人に向き合う、画一的ではない取組が教育現場には求められています

 教員不足も差し迫った状況において、これらの課題を解決するための重要な方策が教育に関わるデータの利活用です。

(問35)児童・生徒ひとり一台端末や高速通信網、大容量のクラウド等、必要な ICT 環境が整備されたことから、今後は教育データを、学力の向上や新しい授業スタイルの構築等に役立てていくことが重要であると考えますが、見解を伺います。

(答弁35 東京都教育庁 教育長)
〇都教育委員会は、本年四月から都立高校に、成績や出欠などのデータを一元管理する システムや、定期考査の採点業務を効率化するシステムを導入した。 それらのデータを分析して授業改善等に取り組む実証事業に参加している教員からは、 定期考査の結果を解析したデータが生徒の弱点を指導する根拠になる、 授業科目ごとの出欠状況の詳細を把握して指導することができ、生徒の学習に向き合う態度の改善に繋がったなどの声が上がっている。
〇今後は、これらの取組を全校に周知するとともに、データを可視化して、教員がより分析しやすくなる教育ダッシュボードを令和五年度に向け構築し、エビデンスに基づいて 価値創造・課題解決型の学びを充実させていく


●教員不足問題ー社会人の採用拡大を

<後藤都議>
 学校の教員採用において、近年、倍率の著しい低下など、担い手の不足が顕著であり、未来を担う子供たちの教育の基盤となる教員の数と質の確保は非常に重要な課題であります。
教員確保のためには、新卒者だけでなく幅広い層の受験を促していくことが必要です。
(問36)都教育委員会では、今年度から社会人を対象に、採用選考合格後に免許取得を目指せる制度を始めましたが、社会人受験者の増加に向けて、さらに取組を充実させる必要 があると考えますが見解を伺います。

(答弁36 東京都教育庁 教育長)
〇都教育委員会では、今年度から、「新たな社会人向け特例選考」を導入し、選考時に免許取得見込みがなくても、合格後二年以内に免許取得すれば教員として採用することとした。 今後、より多くの方に教員を目指していただけるよう、更なる受験要件の緩和を検討して いく。

○ また、教員免許取得後、企業等に就職し、実際に教壇に立ったことが無い方々に安心して受験してもらえるよう、着任前の支援策を検討していく
○ これらの取組により幅広い層が受験しやすい環境を整え、教員の確保を図っていく。


●経済格差を学習格差にしないー都立学校内で学習塾ノウハウ活用

<後藤都議>
 未来を担う子供たちが希望する進路を選択できるよう支援することは、経済格差を子供の学力格差や将来の所得格差につなげないためにも極めて重要であり、私たちはこれまでも予算要望の最重点項目として、学びを支える塾代支援、受験生チャレンジ支援貸付事業についても対象拡大を求め、実現するなどしてきました。

 一方、経済環境の観点のみならず、学力の向上や大学受験等に対応するには、学校教育の場だけでなく、ノウハウのある民間事業者を活用することが重要であることも、これまで指摘してまいりました。

(問37)都立高校において、学ぶべき学力や人間形成についての取組を強化すると共 に、特に大学進学を希望する生徒が経済的な環境に左右されずに学習塾等の民間事業者の持つノウハウを活用し、進学に向けた準備ができるよう支援すべきですが見解を伺いま す。

(答弁37 教育長)
〇都立高校において、生徒が自らの経済的環境にかかわらず、希望する大学への進学を 実現できるよう、支援の充実を図ることは重要。
○これまで、都教育委員会は、模擬試験や英語検定の受検に係る経費等について、給付型奨学金の対象とするなど、都立高校の生徒の進学に向けた支援を行ってきた。

今後は、複雑化する大学入試問題にも的確に対応できるよう、予備校等と連携し、校内で効果的な受験対策を実施できる新たな仕組みを構築するなど、受験勉強を支援する方策の検討を進めていく
〇こうした取組は、 都立高校の魅力向上に向けて、当面三年間に集中的に実施する施策を取りまとめた「実行プログラム」を今後策定する中で具体化。

https://news.yahoo.co.jp/articles/154f7460f99ece3e896c53b837b58708396431f3

https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20221225-OYT1T50198/


●フリースクールへの支援拡充へ向けて

 <後藤都議>
 私たちでは子供たちの多様な学びの場を確保すべきとの観点から、フリースクール等に通う児童生徒やご家庭の負担を軽減する支援を提案してまいりました

 都がそれに応え、今年度は、フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業として、都として実態の把握を強化する仕組みとともに、調査協力金により負担の軽減に寄与することを全国でも先駆けて構築したことは高く評価するところであります。

 一方、事業に参加しているのは対象の児童生徒の約三割から四割程度と聞いており、より調査に協力しやすい制度となることが重要であります。

(問38)今年度の「フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業」で出 てきている声を確認すると共に、特に十分に支援が行き届くよう事業を更に継続し、未だ 事業に参加できていない児童生徒・保護者の利用が促進されるよう取り組むべきですが、 見解を伺います。

(答弁38 教育長)

〇本年 9 月末時点で調査協力者として登録がある不登校の子供の人数は 418 人であった。 現在までの調査の中で、保護者が学校やフリースクール等に期待することとして、「登校することだけが全てではないことを教員に理解してほしい」、「子供の本来の良さが活かせる環境が欲しい」 などの回答があった。
〇更に多くの方に調査に協力していただけるよう一層の周知を図るとともに、年度内に本年度の調査経過について取りまとめを行う。今後、フリースクール等に通う子供やその保護者の実態やニーズについて分析を行い、不登校の子供に対する効果的な支援の在り方 について検討していく

<後藤都議>
 また、対象となる児童や保護者は、様々な負担や学校とのやり取りにも支障があるなど、事情がある場合も多く、今後の当該調査事業に当たっては、調査内容を事前に明示したり、学校長の捺印を必要とする書類をなくすなど、できる限り参加のハードルを下げる工夫もしておくべきと指摘をしておきます。

※ 都民ファーストの会東京都議団では、保護者らへの費用負担支援のみならず、「認証制度」を創設することでフリースクールへの助成の創設を求めています。令和5年度の予算要望の重点項目に位置付けています↓


●不登校の児童生徒「メタバース学習」を可能に


<後藤都議>
 また、不登校の子供たちの状況は様々で、フリースクールや教育支援センターであれば学びを継続できる子もいれば、家から一歩も出ることができない子供たちもいます。
 既に一部の自治体では、インターネット上の仮想空間、いわゆるメタバースを不登校の子供たちの新たな居場所として活用しており、我が会派でヒアリングを行った熊本県熊本市教育委員会では、前年に不登校児だった児童生徒のうち、オンラインによるやり取りに参加できた児童は五割以上であったという結果も出ています。

(問39)東京都としても、フリースクールや不登校特例校などリアルな場での支援に併せて、メタバース等の ICT 技術も活用してオンラインで子どもたち一人ひとりが、自分に 合った環境を選び取ることができる仕組みを構築すべきだと考えますが、見解を伺いま す。

(答弁39 東京都教育庁 教育長)
〇仮想空間などのデジタルも活用し不登校の子供たちの学びの環境を整えることは有効 。 都教育委員会は、子供たちがネット上で相談や学習ができる空間など、新たな居場所や 学びの場となる「バーチャ ル・ラーニング・プラットフォーム」を構築し、区市町村に提供する。令和四年度は新宿区と連携して検証
〇今後は、他の自治体の取組やメタバース等の最新の技術動向等も踏まえながら、子供たちに応じた学びの環境を充実していく。

東京都教育庁参照

https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/press/press_release/2022/release20221202_01.html

🍀その他

●福祉保健局の組織改正

<後藤都議>
 「未来への投資」を積極果敢に進めていくに当たっては、都庁組織の実効性の高い運営体制や事業の効果検証を行い、PDCAサイクルを回していく仕組みづくりも重要であります。

 今回、福祉保健局の組織の見直しについて、保健医療と福祉の二部門に独立させていく旨の表明がありました。私たちはこれまでも、子供政策連携室の機能強化などの必要性を述べてきたように、組織の実行力を高めていくためには、子供、子育てや高齢者、健康長寿など、解決すべき課題に対応させていくことが重要であると考えています。(問40)今回の福祉保健局の組織改正に関わる考え方について知事の見解を伺います。

(答弁40 小池知事)
〇東京の福祉・保健・医療を取り巻く社会経済情勢は、変化のスピードを早めている。 新型コロナウイルス、少子高齢化、共生社会の実現に向けた機運の高まりデジタル化の潮流など、都民ニーズや社会的課題は、高度化・多様化。
〇今般、福祉・保健・医療サービスを、将来に渡って盤石なものとするため、福祉保健局の組織再編の準備を開始
〇「保健医療」と「福祉」の部門に独立させ、新たな組織へ変革またこれまで局が培ってきた知見 やノウハウなど、多くの財産も引き継ぎながら行政分野を跨ぐ政策課題への連携にも取り 組む 。
〇来年七月の組織改正に向け、健康危機管理に関する科学的知見や最新技術の活用促進な ど、専門性と機動性を兼ね備えた体制について、検討を深めていく。


●政策連携団体の評価制度

<後藤都議>
 また、都民サービスの最前線を担う32ある都の政策連携団体については、個々の事業について不断の見直しと、PDCAサイクルを回しながら、政策の実効性を高めるためのチェック体制が重要です。

 (問41)都の事務事業に関しては、昨年度から予算編成過程において政策評価と事業評価を一体的に実施することとなっていますが、そこで、政策連携団体の評価制度についても、団体の個々の事業に着目し、政策評価、事業評価の取組と一体的に運用するなど、これまで以上に都民がその成果を実感できるような仕組みへと進化させていくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。

(答弁40 小池知事)
○ 都政には、強靭で持続可能な都市の形成、人への投資の強化、子供政策の充実など、 課題が山積している。こうした諸課題の解決に向けて、都庁グループの総力を挙げ、大胆な施策を積極的 に展開していくことが重要である。
○ こうした中、政策連携団体への評価制度について都庁グループとしてのアウトカム都民のQOL 向上を重視し、個々の事業のブラッシュアップへつながる仕組みを構築することは有益である。
○ 現在、一つひとつの事業を検証し、効率性・実効性を向上させる「事業評価」と、 施策単位で事業の方向性を評価する「政策評価」を適切に運営している。 これらに加え、都と政策連携団体が協働して実施する事業に対する評価を一体的に実施するなど、評価制度全体の更なる進化に向け、早急に取り組んで参りたい

<後藤都議>
以上、私たちは、変化やあつれきを恐れることなく、あるべき東京の未来を想定し、未来への投資を積極果敢に進めていく都政のパラダイムシフトを牽引していくことを改めてお誓い申し上げ、質問を終わります。ありがとうございました。