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出演舞台延期についてのお知らせ

こんばんは。


日が増すごとに、
映画で見たことあるような最悪なシナリオに向かっているような、
まるで夢を見ているかのような、深い深い闇のなかに沈んでいくような
よくわからない日常へ加速していく感覚を覚えます。

そんな日常でも、当たり前に春がやってきて
花が咲く姿には心が躍って、
唯一の癒しと言っていいほど桜が美しく
そして、優しく街を行き交う人々を見守ってくれています。


昨日、4月に出演予定だった舞台「志乃の鬼子」の公演延期が決定しました。

主催の能登さん含めみんなで話し合って、能登さんが決断を下してくれました。

こんな残酷な選択肢はあるのかと

実際に自分たちもこの壁にブチ当たるのかと

正直戸惑いを隠せません。

状況が不安定な中、告知を先日させていただきましたが、
世の状況が日に日に悪化していく中で“開幕”を目指して稽古をしてきました。
稽古場への行き帰りは正直生きた心地のしない現実の時間を過ごしていましたが
稽古中は唯一、それらを忘れられて
それぞれが持つ[信念]だけで闘っていたような状況でした。

今回は一応、“延期”というかたちを取り
予定していた日程での公演は控えさせていただくこととなりました。
楽しみにしていてくださった皆様にはなんと言葉にしたらいいか正直わかりません。

何故なら、この決断がもしかしたら皆様には“救い”になるかもしれないから。

いくら万全の対策をして公演に臨んだとしても、劇場に足を運んでいただくということはかなりのリスクが伴います。

もしも、今回の公演がエンターテイメントだとしたら
そんな大きなリスクを背負って劇場に足を運んでもらうという事実が
それは違うのかもと思ってしまった自分がいるからです。

「演劇で一人でも多くの人に勇気や元気を」という思いで
僕自身、そしてきっと誰もが
演劇を愛し、劇場を愛し、お客様やスタッフの皆さんや沢山の方々の協力のもとでお芝居を楽しんでいると思います。

だからこそ、今回の決断に少しホッとしている自分がいます。

もちろん、悔しい思いの方が強いですが。


東日本の震災の時も(それから数年間も)大きな不安と闘いながら、魂を削りながら
舞台に立つことに意味を求めて様々な役を生き抜いてきました。

今回も最初はそうでした。

舞台に立つことで、劇場に足を運んでくださる方を元気にしたい!勇気付けたい!
この作品を通して何かメッセージを届けたい!
だから、負けずに舞台に立ち続けたいんだ!

そういう思いが自分を支えていました。

でも、どんどん日本が、そして世界が
混沌とした正解不正解もわからない状況に陥っていく姿を見ていると
自分の中にある矛盾に気づかされることとなりました。

今回とあの時がはるかに違うのは

“劇場に来ていただくこと自体がリスクになる”ということ。

出演者、スタッフ、お客様、一人一人に家族や友達や大切な人がいて
守らなくてはいけない存在があって
それを壊すわけにはいかないんだって思いました。
あくまでも可能性の話ですが、その可能性がある以上
今回の決断にはそれに勝るものが見つかりませんでした。

でも、これ以上の決断もありませんでした。

公演するにも、中止するにも、延期になろうとも
今エンタメに生きている人は毎日毎時間決断や不安と闘っていると思います。
そこにどんな答えがあろうとも、誰にも否定してほしくないし、そこに関わっている人たちの思いに寄り添って欲しいと願います。

SNSで流れてくる批判ほど安易な考えはないと思います。
何に対しても。
みんな必死に生きてるんだ。

なんて、思ったりもします。

こんな状況でもご縁にはいつも救われます。
出演者のみんなとは、またこの作品を通して板の上に立つ願いを語りました。

その願いが今は叶うように、そして早くこの状況が収束して
1日でも早くみんなが元気に笑いあって好きなことをシェアし合える世界になるように祈っています。


表現に生きる者として

エンターテイメントに生かされている者として

芸術を生きる糧にしている者として

常に“届けたい”っていう思いを無くすつもりはありません。

何を届けたらいいのかわからない自分もいます。でも。

「負けんな!」って心の中で何度も響いています。

まだまだ諦めずに、この先の自分の役割について考えて生きていきたいと思います。


頭の片隅にでも良いので
「志乃の鬼子」というキーワードを覚えていてくれたら嬉しいです。

そしていつか出逢えるように。


今年は負けずに演劇に立ち向かっていきたいと思っているので

どうぞあたたかく見守っていてください。


そして、皆様が少しでも安心・安全に過ごせますように。
感謝を込めて。


あ!!決して暗くなっているわけではありません!!

ちゃんと次に向かって進みます。

読んでいただきありがとうございました!!

富田大樹

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