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IQの幻想

(この記事を読む目安:5分)

こんにちは、とみやまです。

みなさんは「頭がいい人」と聞いてどんな人を想像するでしょうか。
クラスで勉強ができる人、学生時代成績がよかった人、いろんなアイデアを出せる人、いろんなものを発明する人、研究者、医者、などなど、いろんな人を想像するでしょう。
私は、テレビでいろんな人に話を振って場を盛り上げながら番組をスムーズに進行している司会者や、話を振られたときにユーモアのある返しができる人を見たときに、「この人頭の回転はやいなぁ」と感じます。麒麟の川島さんや元SMAPの中居くんは言葉のチョイスや進行がうまいなと思います。

さて、「頭がいい人」と聞いて「IQが高い人」とイメージした方もいるのではないでしょうか。

IQとは“Intelligence Quotient”の略で、日本語でいうと「知能指数」のことです。
ヒトの知能を数値で表そうとしたのがIQです。

テレビのクイズ番組でも、出演者紹介時に「IQ 〇〇!」と言っているのを聞いたことがありますが、このとき私がいつも疑問に思っていることがあります。

それは、「その数値、sdはいくつなんだろう」です。
“sd”というのは“standard deviation”、つまり「標準偏差」のことです。
標準偏差とはデータのばらつき具合を数値で表したものです。この数値が大きいほど、高得点の人のIQと低得点の人のIQの値の差(ばらつき)も大きくなります。
正式なIQテストでは必ずこの標準偏差がセットになっています。

よくわからないと思いますので、具体例で見てみます。
「IQ115(sd15)」と「IQ124(sd24)」実はこの二つ、同じことを言っているのです。
 IQで最もよく使われるのはsd15のものですが、sd16やsd24のものもあります(検査方式によって異なります)。
IQの平均値は100ですが「100±sdの値」が正常なIQといわれています。
「IQ115(sd15)」と「IQ124(sd24)」はどちらも中の上といったところでしょうか。
中の下も同様に「IQ85(sd15)」と「IQ76(sd24)」と表すことができます。
ここで、sd15とsd24で「(中の上)ー(中の下)」を見てみると、
sd15のほうは「115ー85=30
sd24のほうは「124ー76=48
となり、sd24のほうが高得点のIQと低得点のIQの差が大きいですよね。
このように、sdの値が大きいとばらつきも大きくなるのです。

つまり何が言いたいかというと、sdが示されていないIQは意味不明ということです。
「IQ124」と言われたとき、これがsd15の値であれば「おぉすごい!」となりますが、sd24の値であれば「まあ正常の範囲内だよね」となります。

テレビなどのメディアではインパクトをもたせるために、あえて大きめの数値が出るsd24の値を使うことのほうが多いイメージです。

テレビで高IQ団体のMENSA(メンサ)の人が出るときに、「IQ148以上!」という紹介のされ方をしているのを見たことがある人もいるかもしれません。もしくは「IQ130以上!」という紹介のされ方をしているのを見たことがある人もいるかもしれません。
もうおわかりだと思いますが、「148以上」と言われているほうは「sd24」、「130以上」と言われているほうは「sd15」での値で表したものです。どちらも全人口の上位2%の数値だと言われています。
ちなみに、「以上」となっているのは、メンサの入会テストを受けただけでは自分の正確なIQ値はわからないからです(といってもIQなんて日々変動しますから「正確な値」なんてものはないんですけどね)。

「上位2%」と聞くと「めっちゃすごいやん」と思うかもしれません。かくいう私もメンサ会員です。あまり口外はしていませんが、私がメンサ会員だと知っている人からは「めっちゃすごいやん」的なことは実際に言われたことがあります。
でもですよ。よく考えてみてください。「上位2%」ということは言い換えれば「50人に1人いる」ということです。学校のクラスに1人いる程度のことなのです。
もちろんメンサ会員の中には、1000人に1人ほどのIQを持った人もいるでしょう。でも全員が全員そういうわけではないのです。
それに、本当にIQが上位2%以内なのかも疑問です。多分多くの人がイメージしているIQテストと実際に医療機関で行なわれている知能検査はだいぶ違うからです。メンサの人たちは知能検査でいうところの「行列推理」は得意かもしれませんが、知能検査にはほかにも言語の能力を測るものやワーキングメモリーを測るものもあるのです。

あと、たまに「ふつうの人とここ違うなって思うことある?」と聞かれます。
私はこの返答に困るのです。なぜって、この質問に対する回答は“Yes”であり“No“でもあるからです。

先日、電車の中の広告に「井口」という文字があるのを見つけました。
私は電車に揺られながら、「井」の真ん中にある四角い部分は「口」の中に3×3入るんじゃね? などと考えていました。意味わからないと思うので図で示します。

頭の中でシミュレーションした結果、「2.5×2.5入る」という結論に達しました。実際に測ってないのでなんとも言えませんが。(笑)

多くの人は電車に乗っていてこんなことおそらく考えないと思います。別に私にとっては頭の中で図形を動かすことは苦ではないですし、そういうことを考えているという面では、上の質問の答えは“Yes”でしょう。

しかし、私からしたら世の中の人はみんな変わり者です。当たり前ですよね。育ってきた環境も違えばDNAも違うんですから。「ふつうの人」と言いますが、「ふつう」ってなんでしょう。逆に本当に「ふつうな人」がいるとしたら見てみたいです。
みんな変わり者なんだから、違って当たり前なんです。みんな違っていて、自分も違っているのですから、自分もみんなと同じ「違う人間」です。みんなと同じなんですから上の質問の答えは“No”となります。

おかしいですね。一つの質問に真逆の答えが2つあるんですから。だから困るんです。

と、ここまでいろいろと語ってきましたが、結局、IQはIQでしかありません。それ以上でもそれ以下でもありません。
一つ誤解してほしくないのは、必ずしも「IQが高い=頭が良い、なんでもできる超天才」というわけではないということです。確かに、IQというのは頭の良さ(知性)を測るための一つの指標にはなりうるかもしれませんが、「頭の良さ」や「賢さ」というのは一概にこれだと定義できませんし、「自分の感情を制御する力」や「人間関係をうまく築いていく力」はIQではわかりません。別にIQがすべてではないのです。

といいつつ、私も自分のIQが気にならないといえば嘘になります。自分の得意不得意を知るためにも、いつか専門機関で知能検査を受けてみたいと思っています。そこで、実際の知能検査とは違うと知りながらも、ネットで無料でできるテストを実施してみました。実際の知能検査とは違いますが、「行列推理」がほかの人に比べてどのくらい得意なのかはわかります。

「高IQ者認定支援機構」というところがやっている知能検査で、無料でできるお試しテストのようなものがあったのでそれを受けてみました。
これまでも無料のものは受けたことがありますが、こちらのテストは時間が60分と長めです。ほかの無料のテストの中でみると比較的きっちりしているかなという印象でした。
受ける前にメールアドレスを登録し、受験の翌日に結果が記載されたメールがとどきます(下の画像)。

この無料テストによると、どうやら私のIQは147以上とのことです。ここのホームページにも記載されていますが、無料なので統計的な正確性は保証されていません。ちなみにsd24に換算すると、私のIQは175以上となります。なんかめちゃすごそうな数値ですね(笑)

最後に、QuizKnock(クイズノック)さんのYouTubeの動画でIQについて触れているものがあったので、それをご紹介して終わります。

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