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「写真の創作」って何?(2)・・写真の創作性を分析してみる

写真から撮影者がわかりますか?


カメラ機能の発達により、誰でも一定以上の品質の写真を撮れるようになってきた。それに伴い、同じような写真が溢れ、個々人のオリジナリティを発揮するのが難しい時代となっている。SNSに投稿されている写真を見ても、この写真は○○さんのだ、と特定するのはかなり難しい。
個性を発揮して、他人と違うような写真は撮れないものか、と常々思うところです。

そこで、写真における創作性を前回の著作権法の規定から考察してみました。

引用した裁判例では以下のようなことを示していました。

“「写真は,被写体の選択・組合せ・配置,構図・カメラアングルの設定,シャッターチャンスの捕捉,被写体と光線との関係(順光,逆光,斜光等),陰影の付け方,色彩の配合,部分の強調・省略,背景等の諸要素を総合してなる一つの表現である。」”

写真の表現活動を分解してみると


写真による表現のための活動を、さらに詳しく分析してみると、それは以下のように分けて考えられます。

1)被写体の選択・組み合わせ・配置・・・ここには、既存の被写体を選ぶ場合と、新たに被写体を作る場合とがある。

2)カメラでの撮影・・・ここには、レンズの選択、フィルターの選択、カメラボディの選択がある。撮影にあたって、判例が言うように、構図、カメラアングルの選択、シャッターチャンスの捕捉,被写体と光線との関係(順光,逆光,斜光等),陰影の付け方,色彩の配合,部分の強調・省略,背景等の諸要素の総合的検討がされる。

3)出力データの処理・・・ここでは、撮影データの現像、加工ソフトでの処理、さらには、プリントが含まれる。プリントでは、紙の選択、プリンタの選択がある。

被写体の選択

写真の創作性を決定づける最も重要な要素の一つが「被写体の選択」です。人は他の人が撮らないあるいは撮れない被写体を探し求めます。

他の人が撮れない被写体として代表的なものを以下に挙げてみます。

1)戦場・・・戦場の悲惨さ等を伝えるため、戦場カメラマンという立場で戦場を撮るというのは危険が伴い、普通の人にはできないことですね。有名なロバート・キャパ沢田教一さんは、戦場で亡くなってしまいました。戦場のリスクは計り知れないものです。(追悼)

2)極地の風景・・人が近寄れない、交通機関もないような極地。例えば、南極や北極、人が踏み入れない荒野、エベレスト等深山の山々、海底、宇宙などの写真は、人を魅了します。これは、滅多に見ることのできない被写体だからでしょう。しかし、このような被写体を選ぶことができるのはごくわずかな人でしょう。しかも、危険が伴うのは戦場と同じですね。アラスカの大自然を撮影した星野道夫さん、素晴らしい写真を残しましたが、熊に襲われ亡くなってしまいました。残念です。

3)有名人の写真・・・有名な芸能人や政治家や経済人の肖像などはなかなか撮れないですね。そのような写真は、著名な写真家や、有力紙の専属カメラマンさんなどが撮影しているようです。かなりの実力をつけないとそういった写真家にはなれません。

日常の中で被写体を見出す

一般の人には、上記のようなことはなかなかできないですね。そこで、よくあるのは、いわゆる「映える写真」を求め、映える絶景のある場所などを探し求めるのが常ではないでしょうか。それはそれで良いのですが、日常の中で、他の人が撮れないあるいは撮らない写真を撮る訓練こそがとても重要なのではないでしょうか。青い鳥を探し求めるのではなく、足元にあるものから、素敵な写真を醸し出す。オリジナリティを発揮するための訓練には、ここがとても重要ではないかと励むこの頃です。そう言った意味で、ソール・ライターのような写真、ストリートのスナップショットは写真の原点なのかなとも思います。なかなか難しい・・・。

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続き:写真と絵画の違いから写真の本質を探る〜写真の創作って何?(3)
https://note.com/tomfarmount/n/n53d30f473545


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