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写真と絵画の違いから写真の本質を探る〜「写真の創作」って何?(3)

絵画や写真を見るときの「被写体」に対する感じ方の違い

前回の記事・・「写真の創作」って何?(2)・・写真の創作性を分析してみる・・において、“写真の創作性を決定づける最も重要な要素の一つが「被写体の撰択」”としました。

その「被写体」について思っているとき、ふと気づいたのが、写真と絵画との違いについてです。自分が、絵画や写真を見ているとき、被写体に対する思い・感じ方が両者で違っていることに気づいたのです。

絵画を見るとき、皆さんはどう思うでしょうか? 私は、この絵画は「誰の絵だろう」というのが真っ先に来ます。例えば、ルノワールの絵だとかピカソの絵だとか、ゴッホの絵、というようにまず気になるのが「誰が描いた絵なのか」ということです。次いで、「何を描いたのか」「どういう意図で描いたのだろうか」、ということが気になります。

これに対し、写真の場合は、「何が写っているのか」が真っ先に来ます。例えば、綺麗な富士山だね、とか、素敵なモデルさん、とか、写っている被写体自体に真っ先に関心が向くわけです。そして、誰が撮影したのかは、ほとんどの場合、気になりません。

このことからわかることは、絵画の場合は、「絵画」=「描かれた絵」自体を見ているのに対し、写真の場合は、「写真」を通して「被写体」を見ているのだ、ということを意味します。誰かに写されていることは意識の中からどこかに行ってしまっています。

すなわち、「ほとんどの写真は被写体の姿・映像を伝えるメディア(媒体)」にすぎない、

ということです。

写真が単なるメディア(媒体)ではなく、それ以上の作品として写真自体が観賞の対象となるには、何らかの他の要素が必要となるのではないでしょうか・・。

このことを意識して写真の創作を励むとした場合、やはり、一番重要なことは、「被写体の選択」で、写っている被写体になんらかの特徴がないと、その写真への関心は薄れてしまうのではないでしょうか。

画家さんが写真と絵画の違いについて書いた記事がありました。

この記事の中に、

写真は対象の印象、時間、真実をシンプルに切り取ることができる。それは、第三者にもシンプルに伝わる。明快な表現だ。

そして絵画は、作者の感情、みる人の感情が入り交じり糸がまじりあい紡がれひとつの布となるような個人的な情念にまみれている。

このような、個人的な感情〜情念を写真で表せるとしたら、それはどういう手段なのでしょう。ここに何らかのヒントがありそうにも思えます。

作者の個性はどこに出る?

一方、写真はメディアなのだから、メディアに徹するというのもあるのではないでしょうか。その視点で写真を撮り続けることも、一つの道なのか、とも思えます。そして、この視点を前提に、写真の創作性を考えた時、どこに作者の個性が現れるか、読み取れるかというと、被写体を選ぶ眼、作者の視野と言ってよいのかと思います。さらに、それをどう撮るかの視点。これらの特徴は、一枚の写真では伝えにくく、数枚の組み写真、写真集になって初めて伝わるように思います。

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続く:「写真の創作」って何?(4)・・主観的創作性と客観的創作性https://note.com/tomfarmount/n/nedf60af54834


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