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ティール組織の視点で人事制度を変革する条件を解説します

ティール組織については、私もまだまだ勉強中で語れるほどではないのですが、ティール組織に代表される自律分散型組織に進化していくうえで、人事制度(特に給与制度)は大きな課題になると思います。

自律分散型で組織運営するときに人事制度がどう変わるのかを解説しました。

前回のブログでは、ティール組織に代表される「自律分散型組織」の考え方を人事制度に当てはめると、
 
「給与額を社員さんご本人が決める」
 
という構造になるとお伝えしました。
 
そして、社員さん一人ひとりがご自分の給与額を決めるには、3つの条件が必要だとお伝えしました。
 
1.組織の業績情報や、部門やチームごとの生産性などの情報がオープンになっている
2.すべての社員さんの給与が公開されている
3.社員さんがお金に対するポジティブな価値観とリテラシーを持っている
 
今回は2つ目を解説していきます。
 
 
■給与額に正解はない

人事制度が、社員さん自身がご自分の給与額を決める仕組みになったときに、社員さんが最も困ることになるのは、「自分にとって妥当な給与額が分からない」ということです。
 
このことは、人事制度の永遠のテーマであり、人事制度設計に関わったことのある人でしたら、頭を悩ませた経験があると思います。
 
本当に難しいテーマで、私も長年にわたってさまざまな取り組みをしてきましたが、現在の私の結論は「給与額に正解などない」という考えです。
 
同一労働同一賃金という考え方があり、これは理にかなった考え方だと思いますが、実際に実現するのはとても困難です。
 
なぜなら、まったく同じ貢献をしている人などいないからです。
 
同じ職務でもレベルの差がありますし、人事制度に盛り込めない貢献もあります。
 
社員さんが給与額を自分で考えると、給与額を決める難しさに直面することになります。
 
見方を変えてみると、一般的な人事制度は、社員さんご本人でもよく分からない給与額を会社が決めようとしているわけですから、根本的に満足を生み出す構造ではないということです。
 
しかし、多くの経営者さんは、一人ひとりの社員さんに対して、妥当だと感じる給与額を持っているものです。
 
それはなぜかというと、全社員さんの給与情報を知っているからです。
 
 
■意思決定には情報が必要となる
 
難しいテーマについて結論を出すためには、情報が必要となります。
 
したがって、社員さんがご自分に妥当な給与額を考えるときには、自分以外の給与情報が必要になります。
 
給与情報がオープンになっているからこそ、社員さん一人ひとりが自分の給与額が妥当なのかを判断できるようになります。
 
かつ、給与情報をオープンにすると、自動的に給与額が修正されるメカニズムが生まれます。
 
これはティール組織の考え方では「自己修正」と呼ばれますが、他者の給与額を知り、自分の給与額を他者も知っているという状況がつくられることによって、給与額をコントロールする存在がいなくても妥当な給与額への修正されていくのです。
 
このメカニズムを補助するために、「助言プロセス」を採用することも有効です。
 
助言プロセスとは、何かの意思決定をするときには、必ず関係者と専門家に助言を求めなければならないという仕組みです。
 
その助言をどう活用するかは意思決定する人の判断になります。
 
助言を受け入れて自分の意思決定を修正してもいいですし、助言を無視することもできます。
 
助言プロセスには強制力はありませんが、人は自分の責任において意思決定するときには、他者の助言に真摯に耳を傾けるものです。
 
自律分散型の組織運営をするときに、給与決定だけ中央集権型というのは、やはり違和感が残ります。
 
情報をオープンにすることで、社員さんがご自分の給与額を意思決定できるようになります。
 
しかし一方で、給与情報をオープンにすることは、かなりハードルが高いことだと認識しており、私のお客さまでも給与情報をオープンにしているのはごく少数です。
 
現在のところ、ほとんどのお客さまでは、完全に自律分散型の給与決定に向かうプロセスとして、全社員さんの給与情報を把握する人を増やし、その人たちが社員さん一人ひとりに対してアドバイスを行ったり、意思決定をサポートするという方法をとっています。
 
この取り組みは、社員さん一人ひとりのお金に対する価値観とリテラシーが醸成されるまでのステップと考えているのですが、
 
給与決定を自律分散型にするには、社員さんのお金に対する価値観とリテラシーが必要不可欠だと考えているからです。
 
この点については、次回のブログで解説します。

生きがいラボラボブログ「ティール組織の視点で人事制度を変革する条件を解説します


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