「ノクターナル・アニマルズ」暴力的な美を語る 1回目の映画
今回の映画は「ノクターナル・アニマルズ」についてです。
初めてなので拙いとは思いますが
最後までみていただけると逆立ちします。
※前半ネタバレなし、後半ネタバレあり
0.「ノクターナル・アニマルズ」PG-12
原題「Nocturnal Animals」2016年(北米)
製作国:アメリカ。
ジャンル:ドラマ/スリラー
受賞歴:ヴェネツィア国際映画祭 審査員大賞
原作:オースティン・ライト 1993年「ミステリ原稿」
1.あらすじ
アートギャラリーの経営者スーザン。裕福だが夫との関係は冷めていた。
ある日、彼女のもとに、元夫のエドワードから「夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)」という小説の原稿が送られてくる。
原稿を読んだスーザンは、
そこに書かれた不穏な物語に徐々に苛まれていく....
2.スタッフ、キャスト
スタッフ
監督・脚本:トム・フォード 今作2作目
製作:トム・フォード、ロバート・サレルノ
音楽:アベル・コジェニオウスキ
撮影:シェイマス・マクガーヴェイ
1作目は2009年「シングルマン」大好きな映画ですがまたの機会に
キャスト
スーザン:エイミー・アダムス 「メッセージ」など
エドワード&トニー:ジェイク・ギレンホール
「複製された男」「ブロークバック・マウンテン」など
ボビー刑事:マイケル・シャノン 「シェイプ・オブ・ウォーター」
レイ:アーロン・テイラー=ジョンソン「アベンジャーズ」シリーズ
個人的に最近、注目しているマイケル・シーンもカルロス役で登場しています。
3.あおり運転ダメ絶対 ※ネタバレなし
静かすぎる夜の道路、BGMもなく嫌な予感でじわじわ不安が押し寄せてきます。急にびっくりする系のものではないのがこれまた厄介で、持続的に心臓を痛めつけてきます。(どっちにしろ苦手)
過激な表現がありますので苦手な方はご注意くださいませ
↓↓ここからネタバレあり↓↓
4.赤と白の対比 ※ここからネタバレあり
印象的なのは赤と白い肌の女性の裸体。
暴力的な中に美しささえ感じる画、デザイナーのトム・フォードらしい画面作りが満載です。現実パートでは猥雑で退廃的(デカダン)な芸術、小説パートでは暴力的な中にも美しさを感じる演出がありました。
現実パートでは冒頭のダンスシーン、エミリーの同僚。(パンチがきいてます)
小説パートではゴミ山の真っ赤なベンチに寝かされている母と娘のシーン、主人公のトミーにとっては暴力によりもたらされた悲劇的なシーンであり、彼女たちに対する犯人たちの侮辱行為ですが、一枚の絵画のような美しさがありました。
5.「夜の獣たち」
エミリーに捧げられたこの小説。
これはエミリーに対するエドワードによる復讐だと思います。
エドワード曰く、「小説は自己投影するもの」
なので小説の主人公であるトミーと元夫のエドワードをジェイク・ギレンホールが二役演じています。そしてトミーの妻と娘はエミリーと同じ赤毛でエミリーの代わりとしての配役だったのではないかと思います。
小説では二人は凄惨な死を迎え、トミーは愛する家族のために犯人たちへの復讐を誓います。
母娘に対する仕打ちはエドワードの子を相談もせず堕ろしたエミリーに対する怒りと非難だと思います。エミリー自身も復讐(REVENGE)という絵に反応し罪悪感を感じ、精神的にまいっていました。
最後に復讐を果たしたトミーは息絶えます。トミーはエミリーを愛したエドワード自身であり、トミーの死により彼女への愛も死に、未練を断つ意味が込められているように感じました。
6.カエルの子はカエル
エミリーは彼女の母のような打算的で冷酷な人間にはならないように反発していたつもりが、結局は同じような人間になっていました。
小説を読んだ後も、復讐なのではと頭の片隅に感じていながら心の虚ろを埋めるためにエドワードと連絡をとりました。
最後のシーンでは今まで強いイメージがあった赤ではなく補色の緑色の服を身につけ(赤毛との相性もある)濃いメイクを止め、大学時代と同じようなメイクをし、エドワードを愛していた時の姿に戻ります。
外見も気持ちも変化したエミリーですが、エドワードにすっぽかされ一人レストランに取り残される、惨めな姿で終わります。
いくら外見や気持ちを変えようとも彼女の性格は変化しておらず、小説家として成功しそうなエドワードと自分への愛がない上に会社も危うい夫を天秤にかけ、エドワードに復縁しようとした打算的な行動がエドワードに伝わった結果だったと思います。
それにしても、あの終わりは少しだけ寂しいですね。
7.おわりに
最後までみていただき感謝感激雨あられ
補足や意見などございましたら是非コメントをくださいませ!
ではまた!
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