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<3分要約> “2025年、人は「買い物」をしなくなる”


 ごく近い将来、我々の生活から「買い物」がなくなるという衝撃的なタイトルがつけられていますが、実際に「買い物」という行為がなくなるわけではなく、本書では様々な技術の発展により「買い物体験」が変化していくことを「買い物」がなくなると表しています。読みやすく、且つ、内容もわかりやすい1冊です。


タイトル:2025年、人は「買い物」をしなくなる
     -次の10年を変えるデジタルシェルフの衝撃-
著 者 :望月智之(株式会社いつも 副社長)
出版社 : クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
発売日 :2019/11/15


<各章構成>
第1章 ショッピング体験の深化で人々は「買い物」をしなくなる
第2章 ショッピングはどう発展してきたのか
第3章 リーディングカンパニーたちが目指すもの
第4章 さらなる進化、「デジタルシェルフ」へ
第5章 「人々が『買い物』をしなくなる未来」の先にあるもの


買い物体験の変化
 この10年、買い物体験は確かに変化しています。購入・レンタルしていたCD・DVDは定額制の配信サービスに押されています。車や自転車を購入せずにシェアする人も増え、ネットオークションやフリーマーケットアプリでの売買も日常的になってきています。
 買い物には、身支度を整える・店舗へ行く・売場を探す・商品を探す・品質や機能、デザインをチェックする・レジに並ぶ・支払う・帰宅する、など、様々な面倒くさいプロセスがあります。しかし、1人1台のスマートフォンを所有し、多様な情報につながれるようになると、手元だけでより手軽に買い物ができる環境が整いました。よりAIが進化し、レコメンドの精度があがることで、こうした面倒くさい買い物のプロセスを省き、レコメンドされた商品の購入可否だけを判断することが買い物になってくる可能性もあります。
 また、消費者の購入判断も、テレビCM等ではなく、友人の口コミやインフルエンサーのレビューを重視するようになるなど、自分で選ばない買い物が珍しいことではなくなってきています。筆者は、技術の進展により、

これまでの買い物における様々なプロセスがなくなり、買い物をしているという感覚がなくなることを「買い物をしなくなる」

と表現しました。    

 しかし、買い物のプロセスが省略され、買い物をしている感覚がなくなったとしても、買い物の楽しみがゼロになるということはないとしています。では買い物の楽しさとは何でしょうか。



次代の買い物ににおける"買い物の楽しさ"

 動画サイトではネット通販で届いた商品を開封する瞬間にフォーカスを当てた「開封の儀」が一定の人気を集めています。多くのハイブランドも「Unboxing(アンボクシング)=届く瞬間・箱を開ける瞬間のユーザー体験」を最も重要視するように変化しています。
 店舗に行く途中の渋滞や長いレジの行列、せっかく行ったのに商品が欠品しているなど、買い物の楽しさを忘れさせるような面倒なプロセスはなくなり、最終的にもともとあった「封を開ける瞬間」に買い物の本当の楽しさが込められていることに気が付くのではないでしょうか。

 今後、あらゆるモノがインターネットとつながるIoT(Internet of Things:モノのインターネット)が進むことで、消費者の自覚のあるなしにかかわらず、日常のあらゆるシーンに、買い物が組み込まれていく・あらゆるモノが商品棚になる「デジタルシェルフ」が進みます。冷蔵庫の中のものを自動解析して常備品が注文されます。スマートグラスを通して見たものを画像解析し、気になるものがあれば同じ商品や類似商品がすぐに注文できるようになります。身に着けたセンサーが体調の異変をキャッチし、健康食品や健康管理に関する商品が手配されます。
 デジタルシェルフは多様な個人情報が集積されるデータドリブンにより精度が上がり、買い物の変化は無意識の領域まで進んでいきます。企業活動もデジタルシェルフとデータドリブンにより劇的に変わり、今後は精緻なデータ分析によりトレンドを早くつかんだ企業、魅力的な商品開発につなげた企業が優位に立つでしょう。

 また、2020年から実装される第5世代移動通信システム(5G)により高速・大容量、低遅延、多接続が可能となることで、より「買い物」のあり方が変わり、買い物にかけていた時間もほぼなくなることが考えられます。起きてから寝るまで、寝ている間も様々な情報が連携し、その人に最適なサービスが提供されるようになります。1Gから4Gまでの進化よりも大きなインパクトが5Gでは起きると言われており、次の10年を見据えて変化を掴むことが重要です。

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