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【ブランディング】「認知を上げる」ことより大切な広告の視点


■「伝えたいこと」以上に大切なのは「どう伝わったか」

 広告とは、企業や商品の情報を広く知ってもらうための活動であり、それらは音や映像、コピーなどの表現を通じて伝達することになる。

 受け手には、これらの表現を通じて得た解釈が単純化されたイメージとして蓄積していき、「きっかけ」または「興味」の心理が生まれる。その結果、その企業や商品について記憶に留めたり行動を促したりすることになる。

 つまり、伝え手にとって重要になるのは「受け手にどう解釈されるか」であり、広告の成功とは、受け手と伝え手の間に存在する「表現の解釈」が同等であることだと言えるだろう(もちろん、時には伝え手がまったく想定していなかった解釈でヒットするラッキーパンチも存在するが)。
 
 一方で、多くの広告主は「伝えたいこと」を中心に考えるが、「実際にどう伝わったか」を考えない場合が多い。この違いを見極めなければ、企業・ブランドにとって良いマーケティングは実現できないだろう。

 伝えたいことが受け手に伝わっていなければ、いくら認知があがったとしても、効果が得られない可能性があるし、予期せぬ悪いイメージが根付く可能性もある。

■ニトリの「お値段以上」に思うこと

 たとえば、ニトリは「お値段以上」というワードを出し、「価格以上のものをつくっている」ことをCMで訴え続けている。もちろんこのイメージ戦略は成功していると言えるだろう。

 一方で、「コスパのいい商品をつくっている」と伝わっている可能性についても考えるべきではないだろうか。「コスパがいい」と「価格以上」は似ているようで、そこに紐づくイメージは少し変わってくる。

 これらを意識していかないと、「企業・ブランドとしての戦略」と「消費者のイメージ」の間にギャップが生まれ、思わぬ失敗を招く可能性もある。

■「認知」のリフトアップだけで満足していないか?

このように、広告を打つ際に「伝えたいこと」と「どう伝わったか」を意識することが、マーケティング・ブランディング上ではとても重要になる。しかし、それがなされていないケースは多い。

たとえば、広告の認知調査というものがある。とある広告の出稿期間の事前事後、またはその両方で、認知、想起、意向などのリフトを測るためのものである。広告出稿前後で商品認知や購入意向が3%程度リフトしたとすると、多くの場合、この3%という結果に安堵することになるだろう。

しかし、購入・認知・理解のきっかけが増えたことには間違いないが、「伝えたかったことが伝わったかどうか」はまた別問題だ。広告の効果を短期的な成果だけで測る場合はいいかもしれないが、通常、経営としては時間を長期軸で見た場合のブランディングを知りたいはずだ。そしてその蓄積効果を広告には期待する。「受け手にどう伝わったか?」を考えることで良い効果が蓄積されていき、良いブランディングが醸成されていくのだ。

■「誰に」だけでなく、「何を」知ってもらうべきかまで考える


広告主やマーケターは、まず「伝えたいこと」が何なのかを明確にする(知ってほしいことが何なのかを理解する)必要があるだろう。そもそもその設計ができていないケースも多いからだ。

 「誰」に知ってもらうかだけではなく、「何」を知ってもらうべきかまで考える。何が伝われば良い効果が蓄積されていくのか、企業や商品にとってプラスなのか。それを考えることで、どのメディアに、どんなクリエイティブで広告を打つかも変わってくるだろう。「結果」への意識も変わり、それが新たな出稿への良いスタートにもつながる。


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