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DXといいつつも変革に至らない理由

DXというのは変革であり、前回NOTEに書いたようにDXは本質じゃないと思っている。
ではこれってなんだ?って話しになると思うのだけれど、従来「資源の再配分」と言われてきたことが「投資の再配分」に変わってきたということだと思ってます。もちろん投資はというのは資源の一部ではある。だが、資源にはヒト、モノ、カネなど企業を構成する全てが含まれている。これを再整理して再配分しましょうというのが今までだとすると、これから求められるのはDXによって投資配分を見直しましょうということだと僕は考えています。要は今まで資源だったヒトもモノもDXよって代替えされる可能性があるということ。けれども変革には痛みが伴うには事実。資源の再配分のように入れ替えするだけでは正しいDXは実現できません。
ここではこれからなくなる職業の話しがしたいのではないし、何か代替えできそうなこと探しがしたいのではないので、企業が投資の再配分をし始めると社員にとってどんな地殻変動が起きるのか?については人材コンサルタントに聞いてください。(笑)

例をあげると僕がDXコンサルタントとして、最も多く相談を受けるのが、

・広告の効率化・最大化をしたい
・デジタルを活用してマーケティングの見える化をしたい

です。これ自体はDXでもなんでもない。
言葉としてはそれっぽく聞こえますし、間違ったことを言っているわけではありません。ですが、よくよく話を聞いてみるとこの相談の裏側には本来の目的とは別の意図があることがわかってきます。

“広告予算が減ってしまったので、少ない予算でも、今までかそれ以上のパフォーマンスを実現したい”
“広告の効果を可視化することで、自らの(組織の)パフォーマンスを立証し、予算を奪取したい”

いずれも企業内でに組織のポジションを維持するための目的になってしまっています。しかもこれは事業会社の組織だけの論理ではなく、この論理に同調する広告代理店の存在が後押しをするのです。まぁ、この文脈もあえて僕がここに書きたいことでもないので置いておいて…

この例の中で僕が観点として付け加えていただきたいのが、この減った予算というカネの行き先です。企業が変革を求められる中でカネの流れが変わるというのは必然です。投資対象の配分を見直したということだと思います。これには一定の経緯と判断・決断というのが必ずありますし、各組織にとってはそれぞれのお財布(予算)であっても、企業にとっての投資原資は循環する一つのお財布です。マス・デジタルを含む広告メディアは、今まで事業会社が広告・マーケティングを運用していく中で重要なデータの提供者でもありました。ターゲットとする消費者がどのコンテンツにどれだけの時間接触しているかを提供し、また反応率の高い消費者の情報をメディアプラットフォームが提供し、結果真の消費者がどんな人でどこで接触機会を得られるのかを広告メディアが情報提供してくれました。これが企業がデータを借りる時代です。それが昨今の改正個人情報保護法や3rdパーティcookie受け入れ停止、メディアのコンプライアンス強化など様々な変化を受け、企業は直接消費者とデータとサービス(提供価値)をトレードオフし、安全な状態で保管・運用していかなければならない時代へと変遷していく過程にあります。
こうした流れの中で投資の再配分ということを改めて考えると、

✔︎効率化された予算の行き先が
✔︎次に自らがターゲットを発掘・接触機会を得るための源泉となり
✔︎当然それはセクションの壁を越えて、どんなデータが必要なのかを策定するプロセスに加わるべきであり
✔︎見える化されたデータの机上で議論し
✔︎保有したデータの運用指図者になるべく行動する

という企業に求められるであろうヒトがどのようなことであるのかがわかると思います。
もちろんそこに行き着くためには今、予算を効率的に運用する術を身につけるということが目下の悩みであることをクリアしなければなりません。
ですが、そうすることによってデータに投資する原資を生み出し、マーケティングデータとしてのリターンを後に受け取ることになるのだという観点を忘れてはならないと思います。

上記はほんの一例ではありますが、今目の前にある課題を抽象化して考えることで、企業内における他との循環と関連付けてみることができる。僕はそうしたことを、DXによってスムーズにシームレスに実現することが真実であると考えます。ただしこのシームレスというのが日本においてはなかなか難しいことなんですよね。だから日本のDXは進まない。結局は一部の業務プロセスを何かツールで代替えすることで終わりがち。その最たる理由が僕は一つのお財布で考えることができずに、セクションごとのお財布という思考から脱することができないことにあると考えています。

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