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「仕事は“人物相関図”でうまくいく」という話


●仕事の「質」以前に大切なのは関係者事情


私が思うに、複数の関係者がかかわるプロジェクトにおいて、仕事の「質」以上に大切なのは「関係者の事情や関係性」を把握し、配慮することである。

企業規模が大きくなればなるほど、そのプロジェクトに参加する関係者も増えてくるだろう。その中には、革新的なことを好む人もいれば、中立派の人、保守的な人もいる。課題観も人や部署によってさまざまだ。また、関係部署間の関係性の良し悪しも組織によって大きく変わってくる。

それらを「なんとなくの空気感」として捉えてプロジェクトを進めようとするのは困難を極める。円滑にプロジェクトを進めることができず、最悪の場合、途中で頓挫することもあり得る。

そうならないために、プロジェクトごとの関係者事情を踏まえてコミュニケーションの仕方や交渉先、提案の細部を調整しなければならない。それがおざなりになっていて上手くいかないケースは意外と多く見られるのだ。

●複雑なプロジェクトほど「関係者事情」を可視化すべき


そこでオススメしたいのは、プロジェクトごとに「人物相関図」をつくることである。

・関係者は誰か(名前、プロフィール、役職、社歴など)
・関係者同士の関係性はどうか(この人はこの人を嫌っている、この人は信頼されている、この人は決裁権を持っている……など)
・それぞれの参加者はどのような考え方・課題観を持っているのか(この人は保守的、この人は売上ダウンに危機意識を持っている……など)

これらの関係者事情をすべて一枚の図に落とし込んでおくのだ。

 私自身、「人物相関図」をつくるようになってからは、仕事が非常にスムーズに進むようになった。新しいプロジェクトを立ち上げる際には予算の承認を取らないといけないこともあるし、他部署への協力要請も必要となるだろう。そのために、どのルートからいけばいいのか、この部署を説得するためには誰を納得させなければいけないのか。こうした根回しに必要な社内背景は、それぞれの組織で微妙に変わってくる。これを可視化するかしないかでは、大きな違いが生まれてくるのだ。

 なお、この人物相関図は、組織体制や人員が変わったら、常に最新の状態にアップデートすべきだ。中長期のプロジェクトでは、人員配置や組織変更は頻繁に起こりうる。それがプロジェクト全体にどんな影響を与えるかを考えないといけない。予め人物相関図で関係者を可視化しておけば、それを更新することでその影響がよく見えてくるだろう。新たな壁が見つかったり、関係者の考え方が変わったりしたときも、図を更新し、整理し直すことが大切だ。

 こうしてそれぞれの組織が抱える微妙な人間関係や社内事情を可視化することで、感覚に依存せずにプロジェクトを円滑に回していけるだろう。大企業や複数の部署をまたぐプロジェクトを仕切る場合には、ぜひこの人物相関図の作成をオススメしたい。


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