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のら努力家は日本語わかる?(5)のらねこ、「ちゃんとする」が分からない

皆さん、親や先生から「ちゃんとしなさい」って言われたことあります?
まぁ、長い人生、1回くらい言われてるんじゃないでしょうか。
ですが半面、具体的に何をすればいいのか、ちゃんと補足してもらったことがある人は、ほとんどいないのではと思います。
はたして “ちゃんとする” って、具体的には何をするんでしょうね??

こんにちは。もしくは初めまして。
僕は TOMCAT HEART の中島と申しまして、20年だか30年だかのエンジニア経験を活かし、目標管理アプリ Project Sylphius の開発・運営を行っておる者でございます。
このコラム のらねこに何ができる? では、日本人に不足しがちな栄養分である “目標管理スキル” を楽しく補っていただくことで、なるだけ多くの人をハッピーにしようってぇ寸法でごぜぇます。

現在連載中 “のら努力家は日本語わかる?” では、努力が続かない人達が勘違いしがちな概念・言葉について、より分かりやすい認識の仕方を紹介する内容です。
今週は、不用意に使いがちな言葉「ちゃんとしなさい」が、具体的に何を指すのかについて。

全体の執筆計画はこちら:
1. “正しい”ってどういうこと?
2. “責任を果たす”って何をすること?
3. “特技”を聞かれたら何を答えればいいの?
4. “やる気”や“愛”の大きさを数値で計る方法
5. “ちゃんとやる”って、何を?(今回)
6. “ちょっと考えれば分かる”って本当?
7. “最優先の業務”よりも大切な仕事
8. “休む”って何をやること?
9. “努力”という言葉が嫌いだなんて絶対おかしい
10. PDCAとかOODAとか、考えすぎじゃない?

バックナンバーもありますので読んでみてくださいね。

1. “ちゃんと” の定義

で、まずは国語辞書上の定義を調べます。

Weblio
ちゃんと

少しも乱れがなく、よく整っているさま。
   「部屋の中を―かたづける」「いつも―した身なりをしている」
確実で間違いのないさま。
   「言われたことは―やる」「―した職業につく」
結果が十分であるさま。「朝食は―食べてくる」
すばやく動作をするさま。さっと。
   「鉦(かね)と撞木(しゅもく)のやうに―だまんな」〈黄・御存商売物〉

。。。。汗😓
うーん、Weblio は書き方がビミョ~。。。

たまにあるんですよね。言葉の定義を断定するための国語辞書なのに、曖昧な書き方で濁してあるケース。
無難に間違いのない書き方がしたかったのかもだけど、読んでてよく分からないし、無難すぎてぬかりが多い印象。

なので別の辞書も参照してみます。

Oxford Languages
ちゃんと

1.《副・ス自》
    すべきことをきちんと行うさま。「仕事を―する」。
    規準にかなって整っているさま。「ゆがめず―並べた」
2.《副》ぬかりなく。まさしく。
 「―知ってるぞ」

おや、こっちの方が分かりやすいね!
つまり “ちゃんとする” とは、

  1.  想定されうる基準・手順を整え

  2.  それをぬかりなく行うこと

ってことのようです。

2. 大切なことは目に見えないんだよ

ちゃんとするために重要なポイントとなるのは、“想定されうる基準・手順” を明らかにすることです。

ですがいくつかのWeb辞書を巡って調べてみたかぎりだと、【ちゃんと】の項に基準・手順を明らかにすることがポイントであるときちんと描写されている国語辞書はありませんでした。
ちゃんと の定義がちゃんとしてる辞書は、少なくとも僕の身の回りには存在しないってことです。

どうすりゃいいのよ、マジ。。。(汗

辞書には一番大切なことが一切書かれていない。
それとも、大切なことは目に見えないとでも言うのでしょうか。

いや、辞書なんだからもとスッキリ書かなきゃダメでしょ。
って考えは、僕の個人的なものなんでしょうかね。
まぁ、しゃあないね。

これが英語だとどうなるかってぇと、今回の場合は英語の方が分かりやすいです。
日本人が日本語で “ちゃんとする” と言いたいとき、英語圏の場合は動詞 "organize" を使う傾向があります。

で、この言葉にはそもそも「整える」という意味もあるため、アメリカのママンが "Do organize!" と怒ったら、子供達はまず間違いなく整理整頓をし始めるはずです。
少し大きな子だったら、ノートの切れ端に手順計画なんて作り出すかもしれないね。

でも日本語の “ちゃんと” にはそういう意味はありません。
ちゃんと は ちゃんと であって、それ以上の意味がない言葉です。
だから親に「ちゃんとしなさい!」って怒られても、子供はピンと来ず泣くだけ。

ちゃんとしなさい って言うんだったら、何すりゃいいのかもちゃんと教えてもらいたいものです。
ねぇ?

3. 手順を整えよう

さてさて、通常多くの人は「ちゃんとしなさい」とだけ言われたら、反発してむしろ何もしないのではと思います。
が、もし、教えてはもらえないけど、ちゃんとはしないといけない、なんてハードな状況になったら、具体的にどうしたらいいのでしょうか。

そんなときは、とにかく手順を作ることが大事です。
まずは手順を作る。そして書き出す。それがポイント。
別に完璧じゃなくていいので、とにかく手順化する。
むしろ試しに手順化してみないことには、自分の考えが完璧かどうかなんて分からないはずです。

また、ちゃんとしなさい ってよく言われるタイプの人は、手順を紙に書こうとしたら巧く文章にならなかったなんてケースも多いはず。

なぜならそういう人は、複数の手順をいっぺんにまとめてやろうとしたり、一部メチャクチャどうでもいいのが混じっていたり、時間のかかる難しい作業を簡単な作業と勘違いしていたり、そういうことが多いからです。

そういう問題を洗い出すために、まず手順を紙に書く。
「だってみんなそんなことしないじゃん! なんで僕だけ!?」って思うかもしれないけど、あなただから必要なのよ。

いわゆる “ちゃんとしてる人” ってのは頭の中に手順書があるものであって、しかもその手順書もかなり精密です。
いつでも紙に書ける状態にまでまとまっており、かつ自分の頭の中の文章のはずなのに、他人が読んでも分かる状態にまで整理されていたりします。
目には見えないから信じられないかもしれないけど。

なおかつ、ちゃんとしてる人は手順を全て完璧に覚えていて、なおかつ思い出したいときに自由に思い出せるように工夫しています。
僕の場合、手順が必要なものはテキストファイルにメモしていて、メモを見なきゃいけないときはスマホのタイマーを使って思い出せるようにしています。

これは僕の若いの話ですが、このメモを取るだとかタイマーをかけるといった工夫を “ズル” だと思っていました。
メモをとらなくても全てを完璧に覚えていて、何の工夫もなく自然かつ必要に応じて何でも思い出せるのが正しいことだと、本気で思っていたのです。

でも、人間はそんなことができる脳構造をしていないからね。
“ちゃんとする” ためには、紙に書いて、かつ紙に書いたことを思い出せる工夫が必要なのよ。

それが ちゃんとする ってこと。

4. 手順を小さくしよう

で、手順を紙に書いていくと、メチャクチャ大変な作業のはずなのに一文でサラッと書かれてるなんてケースが出てくるはず。
ちゃんとが苦手な人ほど、そういうことが多いはずです。

たとえば、
「まず象を用意します」「とりあえずマッターホルンを登頂します」なんて手順があったとしたら、そんなこと まず・とりあえず でできるわけがないですよね。

そういうときは、手順を小さくすることが大事です。
「それは無理だけど、ここまでならできる」くらいのイメージで、できそうなところまでを手順化する。

象を “まず” で用意するのは無理だけど、その前にアフリカ行きのチケットを買うだけなら可能です。
もしそれも難しければ、アフリカ行きチケットの、買い方を調べるところまでならできるはずです。
でしょ?

で、チケットの買い方を調べて実際にチケットを取ったら、そしたら他に必要なものが見えてきたりします。

狩猟許可の取得、移動手段の確保、猟銃と弾丸の購入、獲物の輸入手続きをする、日本国内での輸送手続き、などなど。
なおかつ、これら1つ1つがそれぞれ難しければ、それらも「全部は無理だけど、ここまでならできそう」という観点で小さくすればいいワケ。
で、手順を作るうちに、もし「そういやお金っていくらかかるんだっけ?」なんて思ったら、それを調べる手順も加えれば万全。

それが “ちゃんとする” ってこと。

ほらね?
一見すると不可能そうなことでも、手順化すると無理じゃない感じするでしょ?

あるいは手順の一部に本当にハードルの高いものが混じっているなら、発想を転換してこんな手順でもいいかもしれない。

1. トイザらスに行く
2. 象のぬいぐるみを探す
3. 買う

こちらの方が実際に狩りに行くより難易度は低いし、場合によってはアフリカまでいかなくてもそれで十分なこともあるかもしれません。
でも手順を作ってみないことには、「早く象を用意しなきゃ!」とだけ思ってるだけじゃ、それで十分かどうかも見えてこないからね。

5. 「そこまでやるなら全部やったら?」にいちいち反応しない

難しいことは手順を小さくし、“できそうなところまで” を “とりあえず” やることが大事です。

宿題を全部いっぺんにやりきるのが難しければ、まずは1ページだけ先にやってもいいじゃないですか。
それも難しければ1問だけ、それも大変そうだったら宿題の準備だけ。
そうやって「今ならここまでできそう」を繰り返していけば、量の多い宿題だっていつかは終わるのです。

ということは?
必然的に「そこまでやるなら全部やったら?」にいちいち反応しないことも大事になります。

いますよね。
こっちにゃこっちのペースがあって、宿題を全部いっぺんにやるのが大変だから順番にやってるのに、「なんで中途半端なの!? 全部やっちゃいなよ!」とか途中で口出ししてくる人。

そういうことをすぐ言う人にこそ聞きたい。
そもそもいっぺんに全部やった方がいい根拠って何なの?

ね?
そういうこと。

宿題を短時間でパパッと片づけるのが “ちゃんとする” ではありません。
それよりは手順を細かく分けて、時間をかけてでも “正確に成功させる” ことが重要です。

それが “ちゃんとする” ってことです。
そういうふうに覚えてみてください。
きっとどこかで役に立つから。

ではまた次回。

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ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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