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のら多言語話者は何が分かる?(7) スラッシュリーディングしてるのに長文が読めない

英語の長文読解で、スラッシュリーディングは必須のテクニックです。でも僕の場合、それやっても5年くらい長文が読めませんでした。
そんな僕が長文が読めるようになった方法をお伝えします。

こんにちは。
記事を見ていただきありがとうございます。

この のらねこに何ができる? では、目標管理スキルを覚えれば毎日をどれだけ楽しく過ごせるかを皆さんにお伝えするため、自分で目標管理してきた様々なことを、なるだけ面白くお届けする内容となっております。
そんで僕はエンジニア歴25年、TOMCAT HEART の中島と申します。
個人・企業両用向け目標管理アプリ Project Sylphius を運営しております。

現在は “のら多言語話者は何が分かる?” と題し、ちゃんと続く外国語学習の進め方を連載しています。
バックナンバーもありますのでご覧ください。

全体の連載計画:
1. 目標設定とセルフバインド
2. 基礎勉強の進め方
3. 当面の目標と勉強スケジュール作成
4. 語彙を増やすコツ
5. 目指すレベルの確認
6. スラッシュリーディングのコツ
7. セクションスタッキングのコツ(今回)
8. ヒアリング練習のコツ
9. スピーキング練習のコツ
10. アウトプットの大切さについて

本日は、スラッシュリーディングをちゃんと実践してるのに英文が読めない人向けに、それがなぜなのか、ということについて書きます。

僕の場合、中学生時代も含めれば、英語をはじめてから20年ほど経過しています。
英語に取り組んでいた期間の合計は、、、まぁ、途中のブランクも大きいですが、飛び石を合計すると5~6年くらいになりますかね。
これだけやっているにもかかわらず、長文を読むという基本的なことができるようになったのも、実をいうと最近です。

つまり、足かけ5年もやってて、まともに文章も読めてなかったんです。
「それって真面目にやってなかっただけでは?」と思う人もいるかもしれないし、原因が分かるまでは僕自身もそう思っていたんですが、調べていくうちに、別に自分が不真面目なわけじゃなかったことも分かりました。

大部分の日本人(とりわけ英語が不得意な人)のうち、別に苦手意識があるわけでもなく、割と熱心に勉強もしてるのにそれでも英文が読めない人は、いわゆる日本語脳と呼ばれる頭の使い方をしていることが原因と分かったんです。

1. 日本人の問題 “日本語脳” とは

英語学習をやってるとたまに聞くこの “日本語脳” という言葉。
これは通常、頭の中で英語をいったん日本語に訳そうとするクセ、と説明されています。
もちろんそういう意味でも使いますが、今回は違います。

たしかに英文を理解しようとするとき、頭の中でいったん日本語に訳そうとしていた時期は僕にもありました。
でもそれを直しても、別に英語の理解力は高まったりしなかったんです。
(心もち、、、、若干、、、すこ~~~~し、気のせい程度に速くなったかな? くらい)

僕のいう日本語脳とは、耳で聞いた文章を頭の中で “映像イメージ” に変換する際の、ある特有のクセのことです。

文章というのは、当たり前ですがそれ自体は文字と呼ばれる記号の羅列なわけですから、理解したあと頭の中で映像イメージ(または概念イメージ)を作ってあげないといけないわけです。
この、映像イメージを作ることができた状態のことを、通称「理解できた」と称します。

たとえば「美しい桜の木があります。」という文章を読むと、頭の中に桜の木が思い浮かぶと思います。
このとき、この頭の中にイメージを浮かべるという作業を、1回で済ませてしまおうとするクセのことを、僕の場合は日本語脳と呼んでいます。

2. 文字をイメージ化するエネルギーは意外と大きい

文章を映像イメージにするには、当然ながら頭の中で “処理” を行わなければいけません。
つまり、映像変換処理1回分のエネルギーを脳が消費するわけです。

もちろん、わずか1回分のエネルギー消費なんて微々たるものでしょうが、でも文章を読んだり会話したりといった行為は1日に何百・何千回とやることですから、丸々1日分を合計すると結構な消費量です。
くだらない話を延々と垂れ流す校長先生の話を聞いて、ただ黙って聞いてるだけだったのにヘトヘトなんてことがあるのも、“人の話を聞いて、それを映像イメージに変換する” という行為そのものにエネルギー消費があるからですよね。
ですから理想でいえば、文字をイメージに変換する処理は、なるだけ少ない回数で済ませた方がエネルギー効率がいいわけです。

そのため、「美しい桜の木があります。」という文章の場合だと、標準的な日本人が日本語で理解するとき、映像処理はわずか2回です。

  1. まず「美しい桜の木」と聞いた瞬間に、木そのものを想像する

  2. 次に「あります」と聞いた段階で、木がどこかに生えているところを想像する

その際イメージ変換処理を行うタイミングも、通常多くの日本人には共通点があって、それは一般に修飾語と目的語を全て聞き終えた瞬間です。
ですので、以下のようなしゃべり方をされると、心の狭い人なんかは殺意を抱くわけです。

“今日、僕すごいことができた! 、、、、っていう夢を見た!”

これは、文章が終わってると思ったら続いてた、というパターンです。

通常多くの日本人はイメージの変換処理を “すごいことができた夢” まで聞いた状態でやりたがるため、それが途中でぶった切られると処理回数が1回増えてしまって「なんやねん!」ってなるんです。
意外かもしれませんが、このようなしゃべり方に殺意が沸くのは日本人特有の感覚です。
(日本人特有というか、日本語のようなSOV言語特有、と言った方がいいかもしれません)

3. スラッシュリーディングだけで英文が読める人の頭の中

それに対してごく一部、日本人の中にも、スラッシュリーディングを会得した段階で早々に長文が読めるようになる人もいます。

そのような人は、このような想像の仕方をします。

  1. 「美しい」と聞いた段階で美しい何かを想像する

  2. 「美しい桜」と聞いたら、そこに花びらを付け足す

  3. 「美しい桜の木」と聞いたら、そこに幹を付け足して1本の木にする

  4. 「美しい桜の木があります。」と聞き終えた段階で、桜の木がどこかに生えているところを想像する

こんな感じで、頭の中でどんどんイメージを修正していくんです。
常日頃からこういう頭の使い方をしているため、以下のような英文も、区切りが理解できた段階ですぐに読めてしまうわけです。

He has a litte flower that color violet transparently and give off atmosphere weakly is changing her thinking.

この文章は、"litte flower" という言葉に長大な修飾語がつき、しかもその修飾語がいつの間にか次の文章にシームレスにつながるパターンです。
“修飾語と目的語を全て聞き終えた瞬間” が明確ではないため、日本語脳のままではこのような文章はまず読めません。

頭の中でイメージをどんどん修正する方法の場合、こういう文章は以下のように理解します。

1. He has a litte flower
  ⇒ 小さな花を持つ男性を想像
2. that color violet transparently
  ⇒ 花のイメージを透明っぽい紫に変更
3. and give off atmosphere weakly
  ⇒ 花のイメージを弱々しい感じに変更
4. is changing her
  ⇒ 風景に女性を足す
5. thinking.
  ⇒ 女性の考え方が変化した様子を足す

このように、“1. の節”を読んだ段階でとりあえずの映像イメージを作り、それを文章が進むに従ってどんどん修正していく理解の仕方を、僕は “セクションスタッキング” と呼んでいます。

日本語を普通に理解する場合と比べると、脳の処理コストは何倍にもなります。
なので慣れない人が無理やりやったら、おそらく半日くらいでクタクタになることでしょう。
ですが、少しずつでも意識的に練習していかないと、できるようにはなりません。

ただしこのセクションスタッキングという概念については、具体的なコツをガチプロのちゃんとした先生にはあまり質問しない方がいいかもしれません。
ほぼ最初から英語が得意だった人にはできて当たり前なことであるため、質問されたところで練習の意味そのものが理解できず困惑したり、または「そんなの考えなくていい!」と怒り出す人もいるからです。
なぜなら、彼らは標準的な日本人とは頭の使い方がそもそも違うのです。

4. 慣れるまでに必要な期間

といっても、このセクションスタッキングは具体的に時間を設けて特別な訓練を行う必要はなく、むしろ普段の練習の心がけの問題です。
なので概念さえ理解してしまえば、そんなに長い期間をかけずともできるようになるはずです。
僕の場合、この概念に気づいてから3ヶ月くらいで調子がいいときは自然にできるくらいになりました。
(ちょっとウツ入ってるときは今でも自然にはできませんが、、、)

で、このセクションスタッキングが出来てしまえば、あとはニュースサイトや長文小説とかが普通に読めます。
もちろん、単語の暗記さえ怠らなければね。

さてさて。
仮にセクションスタッキングができるようになったと仮定しましょう
すると、学習者の皆さんの頭の中には、初期の悩みだった「どうやって語彙を増やすか」という問題が再燃してくることでしょう。
どんな言語だって、語彙を増やさないことには読むことはできないからです。

ですので次回は、その効率を高めるお話をしたいと思います。

日本人にとって大きな関門の1つとされる、外国語のヒアリング(聞き取り)をどうやってやるのか問題。
ヒアリングができれば、文章を読んでいるよりも単語の収集効率はよくなりますからね。

でも最初はそもそも聞き取れないために、ヒアリング練習を行うことができません。
そもそも聞き取れない状態というのは、そもそも聞き取れていないわけですから、ヒアリングどころではないですよね。

これについても「黙って聞いてりゃいつかできるから!」って強情に言い張る人がいますけど、僕もそう思って10年我慢してがんばったけどダメでした。
本当に全く一切、聞き取れるようにはならなかったんです。

じゃあ、そこまでダメダメだった僕が、どうやってヒアリング練習そもそも始められない問題を克服したのか。
現在では YouTube で英語・イタリア語の動画とか普通に見てる僕の、最初の練習法をお教えしたいと思います。

ではまた。

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ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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