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【製品開発エピソード】No.1722「プロフェッショナル22」【複音ハーモニカ】

普通「複音ハーモニカ」は21穴(21音)が一般的ですね。今回は22穴というユニークな機種「プロフェッショナル22 」の誕生エピソードです。

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私たちが普段使っている21穴のハーモニカは、低音の「ド」から始まって高音の「ド」までの完全な3オクターブだ、と思って音域表を見ると、確かに3オクターブありますが、高音の「シ」がありません。
実は1音足らなかったのです。でもこの高い「シ」はあまり使わないので気にならないし、長さも手頃で扱いやすいことから「21穴が最も扱いやすい機種」として定着したのです。

ところが「シ」を単独で使うことは少ないものの、オクターブ奏法(1オクターブ違う音を一緒に鳴らす)などで旋律を吹くことは良くあるので高音の「シ」が無いのが気になる。そこで高音の「シ」を足して完全な3オクターブにできないかという要望が寄せられたのです。

音配列表を見て下さい。

1722配列pa

21穴の配列表は、中音域の「ド」の吹音から順番に並べると、ドレミファソラまでは良いが、低音域、高音域では音の高さの順にならずチグハグ。
その上に高音の「シ」を入れると、余分な「ミ」が入り込んで23穴になってしまいます。
この不要な「ミ」が入ってくるために楽器が長くなり扱い難くなります。
もし21穴と同じ長さにできれば、従来のハーモニカと一緒に演奏もできる。

そこで考えた末、思い切って邪魔な「ミ」を取り去り、吸音「ラ」の隣に「シ」を並べてみました。こうすれば何とか従来の「21穴」と同じ長さに揃えることができます。
でも「ラ」と「シ」は共に吸音です。しかし実際に演奏してみると殆ど気にならないことも判りました。というわけで「完全3オクターブ22穴」の誕生となりました。

実は、この22穴は、複音ハーモニカの巨匠、佐藤秀廊郞先生の提案で試作されたのです。往年の「サトウソロ」を引き継ぐものとして上級者のためのもの、即ち「プロフェッショナル22」の名称で発売されました。
もちろん音の柔らかな木製本体、リードプレートにもメッキを施してある高級仕様です。調子も長調・短調、各12種類を揃えて製造されています。

文章:トンボ・ファミリークラブ会長 真野泰治


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