見出し画像

注目が集まるタンカー株のお話:その2(NATリリース)

こんばんは。とまとです。本日もご覧いただきありがとうございます。

前回に引き続き、タンカー株のお話です。投資をする場合は、私の偏った情報だけでなく、総合判断し、自己責任で。引き続き、最近の情報を整理していきます。

2022/4/13発表NAT発表リリース:Suezmaxのレートが上昇

今日はNordic American Tanker Ltd(NAT)の4/13発表の以下のプレスリリースをみていきましょう。

1日$40,000-$55,000で契約

このプレスリリースで3つのSuezmax船の契約を30日から70日の期間について、1日$40,000-$55,000で契約したと発表しています。NATの船の大部分は短期のスポット契約で結んでおり、その価格が上がっていることを意味します。

Suezmaxって何という方は以前の記事を参照ください。大きい順に、VLCC>Suezmax>Aframaxとなります。

この価格がどれぐらいかというのを、下記の2022/2/25発表のNATの2021年4Q決算プレスリリースからみてみましょう。ハイライトの2つ目をみてみると、4Qの運行中の船の平均TCE(タイムチャージャー換算レート)は1日$10,100で、前のQ($5,800)から74%改善していると書かれています。

https://www.nat.bm/wp-content/uploads/2022/02/NAT-4Q2021-report.pdf

素晴らしいですね。74%改善なんて夢のようですね。黒字とはいかないまでも赤字は前Qの半分ぐらいになっています。その改善した運賃が$10,100。今回のプレスリリースは1日$40,000-$55,000。運賃上昇の凄まじさを理解いただけたでしょうか?

かなり高い数値だったので、異常値ではないかと思い、これがどれぐらいの水準が理解するために、NAT社のTCEの推移をグラフ化してみました。コロナ前、及び、コロナ後で原油が余ってタンカーが大人気になった時期にかけて、$40,000超えの時期がありました。詳しい計算が理解できてないですが、おそらくこの数値は稼働率とかも考慮されていると思うので、大人気時期の運賃になりつつあるレベルで(一時的な異常ではなく)現実的な契約であるような気がします。昨年度は過去にみられないぐらい低かったので、そこから大きく上がっていることは間違いないです。

NAT社TCE推移

このレートだと年売上$200million以上で1~2年で借金返済できる

プレスリリースの続きを読んでみましょう。仮に現在のレートとなった場合、NATは年換算で$200M以上生み出し、1隻の1日あたりの運営コストは$8,000以下になると述べています。なお、NATの売上は2021年は$67 million、2020年は$233 millionでした。2020年並みになるということですね。

また、このシナリオではNATは1~2年で無借金状態になれるとのことです。先程の決算資料のBSから長期負債をみてみると、$285Mあることがわかります。これが1~2年で返済できるということは、保守的に2年としても$142M以上負債の返済にあてられるほどのキャッシュを生むといことになります。

NATは97連続四半期配当を出しています(これ自体は最近赤字なのに配当を出しており、タコ足配当で褒められるものではないです)とのことです。利益が出れば、配当で還元していくというアピールでしょうか。

それにしても、この会社のIRは攻めますね。普通、IRとかの将来の見積もりは保守的に出しておいて、決算でそれを上回ることを演出していくものだと思っていましたが、まだ、このレートが続くとは決まったわけではないのに、このシナリオを年換算してアピールしてくるとは・・・。

長期固定契約と短期スポット契約

ここで新しく出てきた短期スポット契約といった契約についてみていきます。資料としては、TNPの2021/4/16に提出された20-Fをみてみましょう。

「As of April 2, 2021, our fleet consisted of the following 66 vessels:」というところを探してみてください。ここにTNP社が持つ船の一覧が出ており、Charter Typeというところをみてみてください。「spot」というのが短期スポット契約になります。基本的には1回の航海での貸出となります。詳しくないので、短期がどれぐらいを指すのかわかりませんが、NATのリリースでは30-70日となっているので、1,2ヶ月とかでしょうか。他には「time charter」という記載があります。その場合はその右側に契約終了期間が書かれています。時期は2021年~2028年など船によってまちまちですが、おそらくこの期間は契約したときに取り決められたレートで支払われるものと思います(別の会社の資料をみると、固定だけでなく、変動もあるようですが)。

投資の視点からスポットか長期かはどうみるべきでしょうか。需要が大きくないときは、固定で長期に契約がとれることは、船の稼働率を高めることにつながるのでポジティブとなります。しかしながら、今のように需要が非常に高いときは、その前の段階で価格が決定されてしまうと、価格上昇の恩恵を受けられないことになってしまいます。よって、今回取り上げたリリースが出る環境下では、time charterではなく、spotの船が多い企業に注目したいところです。

ちなみに、NATの船の大部分はspotで運用しているようです。去年末時点では、1つだけ長期契約だが、2021年後半には契約終了とありますので、現状は不明ですが、1つだけ長期とかのレベルでしょうか。ここらへんのデータ確認はまた後日ということで。

まとめ(覚えておくこと)

Suezmaxの価格がかなり上がっている

こういった記事がもっと読みたいという人がいましたら、下にある「気に入ったらサポート」をクリックして、投げ銭による支援をお願いします。支援があるとモチベーションが高まって記事を書くきにもなるかも。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?