元山文菜さん「会社のムダ作業100個まとめてみた」は業務改善のはじめの一歩に最適な一冊だ
はじめに
「業務改善の問題地図」の著者である元山文菜さんの最新作「会社のムダ100個まとめてみた」を読みました。
元山文菜さんは執筆活動の他にも企業の業務改善を支援するお仕事をされている方です。
本書「会社のムダ100個まとめてみた」は、イラストも交えてとても読みやすく、取り上げているテーマも管理、会議、共有など、読み手の職種や社会人経験を問わない汎用的なテーマが中心になっています。
そういった意味で、「QC活動のテーマ選び」や、初めて業務改善をやる若手が「業務改善のはじめの一歩」の参考書に最適な一冊だと思います。
▶自分的会社のムダ作業Best3
本書には100の改善可能なムダ事例が掲載されていますが、この中から「自分的ムダ作業 Best3」を選んでみました。
▷第3位 謎のマウント会議
会議というと「長いダラダラ会議」や「1週間後に送付される議事録」がランクインしそうな予感ですが、あえて「謎のマウント会議」を指名してみました。わが社でもTeams会議が一般的になりある意味「会議の効率化」は進んだと言えます。一方で参加者に対して持論を展開し、参加者を一方的に追い込むような場面に遭遇することが増えたのも事実です。こんな「謎のマウント会議」が続くと参加者の関係はギスギスし、誰も本音で話をしなくなります。対面なら表情や言葉で方向修正できるのですが…
<解決策> 本書では、会議開催前に「チェックインタイム」を設けて、参加者の気持ちや状態を自己開示する事を勧めています。さらに運営側が「会議は拍手で始まり拍手で終わる」などの「グランドルール」を設け、会議が円滑に進む配慮をすることも勧めています。なるほど、これならすぐに実践できまね。
▷第2位 属人化の甘い罠
仕事の属人化は、組織全体の生産性を落とす原因にもなる重大な問題です。
ほんと、ムダだらけですね。
Aさんはその業務を誰でもできるよう標準化しようとしない。Bさんは自分だけしか知らない情報を敢えて公開しないことで知的優越感を誇示しようとする。Cさんは会議を招集するムダな時間をかけようとする。
これはチーム全体の問題なので、チームマネージャーが統率を取って対応しなければいけません。
<解決策> 本書では、解決策として業務棚卸の実施を勧めています。対象業務を大分類や小分類に分けて出し、各業務の手順と時間を書きだして見える化するのです。
ウチの部署(IT部門)では、属人化の最たる業務である「部門からの問い合わせと依頼事項」をチケット化して管理、共有する仕組みを導入、必ずそこに入力するように運用ルールを設けました。
すると半年で約800件のチケットが蓄積され、今誰が何の依頼事項を対応しているかが一目で確認できるようになりました。
次のステップは「誰でもできるようにすること」「対応速度を上げること」「最終的には部門が問い合わせしなくても良くすること」がゴールです。
▷第1位 閉鎖的なコミュニケーション
数年前のIT部門のお話をします。どこの組織でも良くあることですが、ウチも例にもれず「一人親方の集合体」でした。
仕事の依頼や指示はすべて口頭。だれがいつやったかはその時の会話に加わっていないと知る由もない。そんな状態でした。上手くいかなくても周りに相談せず(しにくい雰囲気)一人で解決しようとする。そんな感じでした。
このような職場には、閉鎖的なコミュニケーションしか成立せず、結果として「同じ作業を何度も繰り返しやる」「手戻りが発生する」など業務品質の低下を招いていました。
それだけではありません。「そんなことをみんなの前で発言すると非難されたり馬鹿にされるから、何も言えない」という心理的安全性の低い組織になってしまっていたのです。
閉鎖的なコミュニケーションとは、具体的にこう言う行動のことを指します。
<解決策>
本書では、この問題に対して「心理的安全性を高める目的で、オープンなコミュニケーションが実現できるビジネスチャットの活用」を推奨しています。
ビジネスチャットとは、Microsoft Teams、Slack、GoogleWorkSpaceなど組織全体がメッセージを即時で共有できるツールを指します。
まず、組織内の連絡、相談、報告、質問は、全て個人同士のやり取りを禁止し、ビジネスチャットで行うようルール化します。
さらに組織のマネージャーに対しては、いいね、見たよなどのスタンプを使って「反応をする」ことを求めます。
このように組織を開かれたかつ柔らかいのコミュニケーション(=心理的安全性を高め、何でも言い合える雰囲気作り)にすることで、仕事のムダをなくし、組織全体の生産性が向上するのです。
▶番外編1 過剰な社内サービス
Best3からは漏れたものの、すぐにでもやめたい(やめさせたい)ムダの番外編をご紹介します。一つ目は「社内への過剰なサービス。そこまでやるのは何のため?」です。例えば、
・参加者全員パソコン持っているのにわざわざ資料を紙に印刷する
・会議の予定調整をまず全員に電話で確認してからスケジュールを入れる
・何かと「当番や係」を作り持ち回りで雑務を回す(やめることをしない)
・簡単な業務でも過剰に手順化し、複雑にする(更新されず陳腐化)
・偉い人が出る社内会議にお茶を出す
<解決策>
本当は必要ないのに昔からの習慣をやめることができずそのまま継続したり、お客様に対するサービス基準をそのまま社内業務に持ち込んだりするとこのような悲劇が生まれます。
業務改善の基本である「やめる・減らす・変える」を実践しましょう。
▶番外編2 情報迷子
番外編二つ目は「情報迷子」です。
情報迷子とは「ファイルが見つからない」「探すのに時間がかかる」「不要なファイルをいつまでも保存する」という悪しき習慣を指します。
これはウチの会社でも蔓延しており、生産性低下の原因の一つになっています。生産性を上げるためにクラウドサービスのMicrosoft365を全社導入したにもかかわらず、いまだにファイルサーバ上の深い深い階層にファイルを保持する習慣が残っているのです。
<解決策>
机の周りや現場に倣え!とばかりに、情報の2S(整理整頓)を定期的に行う事をお勧めします。
現場や机の周り同様に情報も2Sが必要です。少なくとも1年に1回の組織改編のタイミングで「パソコンのデスクトップ」「使わなっくなったTeams」の全社的に実施することでで不要なフォルダやファイルを削除しましょう。
ファイルサーバに関しては、仕事で使用するファイルの置き場をガイドラインで策定し(例えば、個人ファイルはOneDrive、チームやプロジェクトファイルはTeamsやBOXなど)順次移行することでファイルサーバの階層やファイルが自然に減っていきます。
おわりに(マネージャーの方へ)
このほかにも会社にはたくさんの「ムダ作業」があるはずです。この本を一度チーム内で読み合わせして、一つ二つでもよいので改善をしてみてはいかがでしょう?
そしてその中に一人、デジタルに精通したメンバーをオブザーバーとして参加させてください。業務改善のスピードがもう一段速くなるはずです。
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