破壊と再生ー25歳はじまり日記ー

あれ?こりゃ大物きたな。奮闘の映画制作!

ここでいう大物は、渡辺謙さんとか、そういう大物俳優との制作、とかではなく、"大物の試練"という意味。深海から間違えて水面に顔出しちゃったダイオウイカくらいでかいやつが来たからもうたまげました。

で、遡ること2021年9月。はあ、なんか夏頑張ったし疲れたなー、でもこの学期終わったらそそそそ卒業!?ということで、焦ったり、ゴロゴロしたり、授業をしたり、忙しない?感じで日々を過ごしていたある日。そのドイツ人の教授のクラスで、卒業制作しなさいって(しかも4ヶ月で!?)突然の提案というか、そんなオーダーが来て、OMGオーマイガー。

それから、脚本を書き始めては捨てて、また書いては、捨てて。単純な話を描きたかったけれど、同時に、常にテーマにしてきた、目に見えないものに導かれる人間模様を描きたかった。それでテーマの軸になったのが”月”。

次に人の死について、パートナーに連れられていったキャンプの帰り道の途中にあった草津温泉の露天風呂でふと考え出して止まらなくなり(溺れ死んだかと思われるくらいの入浴時間っぷり)、至った結論をまた作品に盛り込み出して、ようやく作品の意図が見えてきた。意図のみで、まだ骨も出来上がってない。道のりは長い。

色々な作品をみては、この要素入れたいな、とか。兎に角監督って考え出したら止まらないし、考える事は無限にある。

そして、プロデューサーも助監督も決まり、オーディション、ロケハン、衣装、小道具、その全てを太陽くん、月くん(☜これが誰なのかは遡って読んでみてね。)私を含め、たった6人のクルーで回す。これが…意外と最高だった。超絶深いい関係を一人一人と築けるこの体制が最高に幸せだった。みんなそれぞれの負担はかなり大きかったと思うが。

それで、イメージに合う中華屋が必要だったのだけれど、これがなかなか一筋縄ではいかない。学生だし、卒業制作も教授が思い立って、楽しそうじゃん!みたいなノリで始まった事だったし、私もポートフォリオに集大成になる何か残したいから必死だったけれど、なんせ空回り。

本物の中華屋みたいなとこに行って聞いてみたら、お鍋とお玉もったおじさんが中から怖い顔して出てきて、プロデューサーと逃げるようにして去ったし、電話で問い合わせたところでは、「お前、何言ってんのかわかんね」と一喝され、電話切られるし。

とうとう心折れかけて、家の近くにある実家の味によく似たご飯出してくれるとこで生ビール飲みながら一人で目に涙ためて「無理かも…」と呟いた日もあった。

それでもドイツ人の教授に都度相談しながら、背中を思いっきり押され続け、やり遂げるしかない!という思いで、チャリにまたがってロケハンに奮闘した。

それで、プロデューサーと探しに探しまくってあっさりOKが出た。全面赤壁の映画の雰囲気にぴったりの中華屋さんに出会ったのだ。無理承知だったので二人とも驚きで黙り込んでしまった。

そこの店のカッコ良すぎる女店主に、「やるの?やらないの?入ってきな。」って言われて、もう、全力で頭下げて二人でありがとうございます!って気を失うほど、頭を上げ下げした。

それで、その帰り道、プロデューサーに弱音を吐いた。「このまま見つからなかったらどうしようって考えてた。正直もう終わりかなって思った」と。そしたら速攻こんなことを言ってくれた。「俺、あの脚本読んで泣いたよ。絶対にこの作品は作る価値があるって信じてるし、俺はどんなことでもサポートする。」

その夜、月は私たちのことを見てくれていたのだろうか。天にものぼるほど嬉しかったが、これはまだまだ序章に過ぎず、月はさらに私たちに挑戦を与え続け、そして、それを乗り越えるたびに、想像を超えるさまざまなものを見せてくれることとなった。

ー 続く ー


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