マガジンのカバー画像

友人の話

48
運営しているクリエイター

#実話怪談

第73話 友人の話-手編みのマフラー

第73話 友人の話-手編みのマフラー

銀行員のコウダくんは手編みのマフラーをもらったことがある。

「いや、ぜんぜん恋バナ系やないねん」

期末や年末はどうしても仕事が立て込む。
帰宅が深夜になることも多い。

年の瀬が近いその日も、家路についたのは日付も変わろうかという時刻だった。

どうにか終電で最寄り駅につくと、そこからマンションまでは、徒歩で15分程度。
疲れた足を引きずり、真っ暗な街を歩いていると、心も体もしんしんと冷え込ん

もっとみる
第70話 友人の話-猫の恩返し

第70話 友人の話-猫の恩返し

「動物に助けられたこともあるで」

ヒガシノくんは獣医師をしている。
現在は住宅街に医院を構えているが、駆け出しのころは勤務医として辛い経験も積んだ。

「助けられたときは嬉しいんやけど、そうでないこともあるやろ。ときには殺さなあかんことも」

獣医師は、いわゆる安楽死や殺処分を頼まれることがある。
病気やひどいケガで助からない命なら、苦痛を取り除くため、と割り切れるが、そうでないときは辛い。

もっとみる
第63話 友人の話-つきとばす

第63話 友人の話-つきとばす

「一番嫌なのは、やっぱり事故ですね」
ワタナベくんは某私鉄で駅員として働いている。

昨年までの勤務地だった駅は、なぜか飛び込み自殺が多かった。

そのため、ホームのあちこちに監視カメラがつけてある。
内勤をしていても、怪しそうなのを見つけると、構内に連絡を入れ、止めに行くのだ。

「トラウマになることもあります」
判断が間に合わず、飛び込む瞬間をカメラ越しに見てしまうこともあるからだ。

結果は

もっとみる