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2014年6月の記事一覧
第31話 自分の話-割れる
もうずいぶん昔の話になる。
祖父の一周忌 ガラスの鉢が割れた。
供物を入れるため、仏壇に置いていた大鉢だった。
そのときは、リンゴやミカンなどの果物が入れてあった。
一周忌の朝、法事の準備をしていた祖母が見つけた。
鉢は、床に落ちていたわけではない。
ただ置いてあったその場所で、真っ二つに割れていた。
「おじいちゃん、なにか言いたいことがあるのかねぇ」
法事にやってきた僧侶に事情を話し
第26話 自分の話-連れて行く
大伯母が亡くなった時、庭の鯉が全滅した。
大阪市内にある古い大きな屋敷。
庭には石組みの大きな池があり、いつも数10匹の鯉が群れ泳いでいた。
大伯母が亡くなった日の翌朝、通夜の準備に訪れた親戚が、池の水面を覆う鯉の死骸を見つけた。
「伯母さんが連れて行ったんやろね」
葬儀の日、そんな話が出たのを覚えている。
大伯母には子供がなく、家を継ぐ人がいなかった。
この話を妻にすると、彼女の親戚