【絵本レビュー】かおかおどんなかお
「かおかおどんなかお」
柳原良平 /作
こぐま社
赤ちゃんって、人の顔が大好きなのだそうです。
イギリスのあるラボの研究によると、生後一週間の赤ちゃんですら、大人の表情に大きな興味を示すそうです。
それも、おもちゃを見せた時とは雲泥の差だとか!
これだけ顔や表情に興味を示すのですから、色々な表情が出てくるこの本は赤ちゃんにぴったりの本かもしれません。
ページをめくると、色々な表情の「かお」がでてきます。
たのしい、かなしい、わらった、ないた、おこった、ねむった、こまった、あまい、からい…
次々と現れる表情が豊かで、見ているだけで楽しい。
赤ちゃんも、この本を読むとじっと見つめている子が多いです。
シンプルな絵ですが、はっきりと表情が描かれていて、どれもが言葉とぴったりあっている。
どんな気持ちのときにどんな顔になるのか?
どんな顔をしていたら、どんな気持ちなのかな?
少し大きくなると、そういう感情の動き、人との関わりの出発点にもなる学びがあります。
この本のおもしろいなと思う点は、少し難しい言葉もさらりと登場させているところ。
たくましい顔。いたずらな顔。すました顔。
このような言葉は、乳幼児との触れ合いではまず出てくることのない言葉だと思います。
日常会話にない言葉を学べるのは、本の世界だけ。
言葉を知ることで、それが表す概念をも理解できるようになります。
今回のような、感情語をどれだけ知っているか?ということは、これから先の生活や、学習にも大きく関わるところです。
小説の読解の授業でも、感情語のストックの少ない生徒さんは、とても苦労するようです。
内容理解に直結する部分であり、テストなどでも問題になりやすいところなので、どうにかインプットを促すのですが…なかなか「お勉強」になってしまってからでは難しかったりもします。
お勉強、というわけではなく、子供時代に楽しみながら自然に色々なことばを学べたら、素敵だと思います。
自分の気持ち、相手の気持ちがわかることは、そもそもの人との関わりのスタートラインのようにも思えます。
お勉強、というわけではなく、楽しみながら自然に色々なことを学べたら、素敵だと思います。
ちなみに作者の柳原良平さんは、元サントリーの社員で、トリスウイスキーのキャラクター「アンクルトリス」の生みの親だそうです。
なんだか見たことのある、味のある絵だなと思っていました。
赤ちゃんが注視するのは、宣伝美術で培われた力のなせる技なのかもしれません。
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