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【絵本レビュー】もこ もこもこ

「もこ もこもこ」
谷川俊太郎/作
元永定正/絵

谷川俊太郎さんの赤ちゃん絵本って、格別だと思っています。
絵本雑誌のインタビューで、谷川さんが赤ちゃん絵本について語っているのを読んだことがあって。
赤ちゃんにとって、言葉はまだ文字ではなく、お母さんやお父さんが赤ちゃんをあやすときの、声であり、音なのだと。
まだ、言葉が、意味伝達をするためのものですらない!
たしかにそうだなぁと衝撃を受けました。
赤ちゃんにとっての絵本の意味を再確認させられました。

この絵本は、一般的な赤ちゃん絵本に比べて、サイズが大きめ。
大きいほど、視界いっぱいに絵が広がり、没入できるのでしょう。
大きく描かれている、抽象画のような、生き物のような何か。
つん、とか、ぱちん、とか、色々な音とともにストーリーが展開されます。

きゃーきゃー笑いながら読む本もあれば、この本のように、赤ちゃんたちがじーっとじっくり見つめて聞いている本もあります。
色々な本に触れ、色々な味わい方で味わう。
それって素敵なことだと思います。

絵もさることながら、詩人である谷川俊太郎さんの文もまたいいですね。
ただの言葉の羅列ではなく、これは、詩の言葉なのだと感じます。
赤ちゃんのために、削ぎ落とされ考えつくされた言葉です。

谷川俊太郎さんの詩は、小中学校の教科書にも掲載されています。
「生きる」や「朝のリレー」など、素晴らしい詩をたくさん書かれています。
中学校の授業で谷川俊太郎さんの詩を扱ったとき、授業のはじめにこの絵本を見せました。
「読んだことある!」と、言った生徒。
大きくなっても心に残っている絵本なのだなあと、改めて実感したエピソードです。

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