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夕立を眺めて。

 なんの前触れもなく、ふっと空が暗くなる。わずかに世界が色を失う。
 風がざわめき、不安げにゆらめく。

 地を裂くような雷鳴がとどろき、次の瞬間、文字通りバケツの水をひっくり返したように雨が降る。

 あ、やばい。そう思っているうちに、もう雨足は弱くなっていく。そして、駆け足で雲はどこかへ去っていく。

その雨の名は、夕立。

__夕立の突然さに驚き、慌て、洗濯物を入れて窓を閉めます。

最近、そんな夕立に遭う日々が続いています。
夏ですね。

 意外と、その短い時間が、僕は嫌いではありません。
 その果てしなさから、なんとなく心が広そうだなあと思う空にも、こんな一面があるのだなと、わずかに親しみを覚えます。

 誰にだって辛い時があります。
 でも、どんなに苦しくても、怖くても。
 それはずっと続くわけではありません。

 雨が降るたびに、そうやって雨に励まされている気がします。

 夕立が通り過ぎれば、昼間の暑さはどこかへいってしまって、涼しさを感じます。
 すうっ、と気持ちの良い風が通り抜けていきます。
 夏特有の、眩しい色が、より鮮明になって世界を彩ります。

 案外、夕立も悪くないなと思う戸鞠でした。



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