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フィンランド・イギリス・アメリカ教育の成功の秘密(1)

フィンランドはOECDが実施する学力調査PISAで毎回上位にランクする教育先進国なので、ずっとその教育について興味を持っています。(下の表、中国の一部大都市、マカオ、香港、台湾は全て中国なのですが・・・。ちゃんと国ごとの比較にしてほしいですよね)

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イギリスは昔現地の学校で働いていたので、教育制度などについては割と理解しているつもりです。

アメリカは毎年短期留学と長期留学でカリフォルニアの高校や大学に生徒を送っています。High Tech Highをはじめとした先進的な高校や、Stanford、UC Berkeleyなどの名門大学にも毎年訪れているので、やはりアメリカの教育に関してもそれなりに理解してつもりです。

そんな三カ国の教育の成功の秘密を一冊にまとめた本を見つけてしまったので、衝動的に買ってしまいました。

今回はフィンランドの教育についてまとめたいと思います。が、その前にちょっと動画を見ていただいてもよろしいでしょうか。私の好きなマイケル・ムーアの『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』という映画に出てくるフィンランドの教育を切り抜いた部分です。ぶっちゃけこれを見ていただければ、それ以降の文章読まなくても大丈夫です(笑)

フィンランドは20代の頃に行ったことがあります。別にフィンランドの教育を視察に行くなどという高邁な理由ではなく、その時担任だったクラスの文化祭の時のテーマがフィンランド(学年のテーマが「ワールド」笑)だったので、クラスの生徒たちに「じゃぁ、先生ちょっくらフィンランドに行ってサンタクロースに会ってくるわ」(本当に会いに行きました)という軽いノリでスカンジナビア3カ国(+エストニア)に行ったのでした。ヘルシンキに夜到着して、ホテル見つからなくて、教会の庭で野宿したのが懐かしいです。

そんな話はともかく、フィンランドは伝統的なヨーロッパ型の教育制度を持つ国です。6歳から就学前教育(幼稚園)が始まりその後の9年間は義務教育として初等普通教育を受けます。その後後期中等教育(高校)に進学しますが、高校は普通科高校と職業科学校の2種類に分かれます。

特徴的なのは、入学・卒業の年齢の自由度でしょうか。本来であれば義務教育は7歳で入学、16歳で卒業となりますが、6歳でも8歳でも入学が許可されるし、9年で卒業ができますが10年生も用意されています。ちなみに普通科学校への進学者は55%、職業科学校への進学者は37%で、職業科への進学率が思ったよりも高い印象を受けます。社会全体が過度に資本主義ではないので、日本やアメリカのように大学に行かなければなかなか仕事にありつけないといった社会構造ではないといったことでしょうか。ちなみにフィンランドでは幼稚園から大学まで全て無償です。さすが福祉の国。揺り籠から墓場まで(from  cradle to  grave)ですね。

日本とフィンランドの教育における大きな違いは、フィンランドは国として教育の重要性をしっかりと認識しています。社会問題(経済、移民、犯罪率の低下など)の多くを教育が解決すると信じており、教育への投資も日本より圧倒的に大きいです。

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そしてもう一つ大きな違いが教員養成における国としての本気度です。

フィンランドの先生は全員修士課程を持たなければなりません。日本ではほとんどの教師が学士しか持っていないので、まずここから大きな差があります。働き方も結構フレキシブルで、出勤時間や退勤時間は自由裁量となっており、カリキュラムの作成などを頑張ると報奨金が出たりと、きちんとインセンティブも用意されています。現場の教師には裁量権が多大に認められており、また、世間からは「高度な専門性」と「学習指導力」を身に付けていると一般に認知され、子供の成長・発達過程の理解と指導の専門家として認知されています。つまり『聖職』扱いなのです!

すごー!うらやましー!

日本では労働環境がブラックだと騒がれ(実際ブラックだから仕方ない)、教師の地位が下落しているのに対して、フィンランドの教師の社会的地位の高さと言ったら・・・。

なんか泣けてきました😢フィンランドで教師になりてーw

まだありますフィンランドの教育の良いところ。

義務教育の9年間で、尊厳・権威・学習計画・自己評価・義務に対する個別指導などの支援を行い、子供は社会的、個人的な責任を自覚することによって成長するらしいです。そして、管理・監督ではなく、教育の全ての段階において、信頼が大切であることを強調する

また、成績の良い生徒が成績不振の生徒を援助するのが普通です。学習が遅れている子には補助教員が特別に指導をします。極め付けは9年間の教育は学習者自身に責任があることを自覚させる、らしいです。

いやいや、もう隣の芝は青いっていうレベルではなくて、カリブ海のエメラルドグリーンみたいにキラキラ輝いています。

もちろん全てが全てうまく行っているわけではないんでしょうけど、そんな環境で一度教師やってみたいですよね。そして、前から思っているんですが、日本はアメリカ型の教育を追い求めるのではなく、北欧のような教育を実践していくべきではないかと思います。これからアメリカや中国を追い越すのは無理なのだから、経済至上主義を諦め、ベーシックインカムを導入し、新しい幸福感を築いていけたらなと思います。(夢のような話ですが)

今回はフィンランドの教育についてまとめてみました。次回はイギリスの教育について書きたいと思います。