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Teacher Identity

今週から待望の夏休みに入りました。とは言っても、当然我々教師は夏期講習や三者面談など夏休み中も膨大な仕事があり、息をつく暇もありません。それでも、普段よりは時間に余裕が出るため、気分的にはだいぶ楽になります。

さて、先日とても興味深いオンラインセミナーに参加させていただきました。私がnoteを始めた初期から投稿を読ませていただいているKae Takaoka先生という方がいらっしゃいますが、そのTakaoka先生が主催した「あなたの教師観を見つけよう- Discover Your Teacher Identity」というイベントにお邪魔させていただきました。

Takaoka先生は”Teachers of Japan”というサイトを立ち上げ、全国の先生方をつなぎ、それぞれの「教師観」や「教育観」を広げるような取り組みをされています。(Takaoka先生からは先日お誘いを受け、ZOOMでもお話をさせていただきました)

また最近では、海外の学校で教えたことのある教師のコミュニティーを作ろうとしており、8月には初のイベントもあるそうです。(私もお誘いいただいたのですが、家族旅行が入っており泣く泣く断念しました・・・)

そんなエネルギッシュに活動をされているTakaoka先生がその活動の肝としているのが”Teacher Identity”です。以下Takaoaka先生のお言葉です。

ティーチャーアイデンティティ(Teacher Identity)とは、文化的、歴史的、社会的に「教師はこうあるべき」というステレオタイプではなく、「あなた」だけの経験や価値観から来る「教師としてのアイデンティティ」のことです。
教師自身が自分のアイデンティティについて意識的に自覚することは、教師にとって重要な資質のひとつです。自分が本当に大切にしている教育的価値観を再認識することで、教師として本来思い描いていた姿に近づいたり、再確認したり、自分自身の本当の魅力に気づくことができます。
「自分」のことを相対的に理解するのことは簡単なことではありません。あなたは自分の教師としてのアイデンティティや教師としての「私らしさ」に気づいていますか。自分の教師観について認識できていますか。あなたが大事にしている「生徒に伝えたいもの」は何でしょうか。

そしてこのセミナーに参加するにあたって、以下が質問が課題として出されていました。

<教師観を見つけるための10の質問>

①あなたが生徒に教育を通じて伝えたい価値観は何ですか?
②その価値観をあなたは「いつ」「どこで」学びましたか?
③あなたの授業は何のためにありますか?
④あなたの情熱は何ですか?
⑤教職を志したのはなぜですか?
⑥今のあなたは自分が思い描いていた教師ですか?
⑦どのような悩みや困難と向き合ってきましたか?
⑧それをどのように乗り越えてきましたか?
⑨手放したいもの、手に入れたいものは何ですか?
⑩あなたの希望は何ですか?

この質問に真剣に取り組むことで、普段忘れがちな自分の教育観だったり、使命だったりというものを思い返す機会になり、自分と向き合う時間が作れました。以下自分が作成した回答です。

①あなたが生徒に教育を通じて伝えたい価値観は何ですか?

(1)世界は想像以上に広いこと。一度しかない人生において、自分の可能性を限ることなく、自分にチャレンジし続けてほしい。
(2)世界は多様性に溢れている。いろいろな人がいて、様々な文化があって、刺激に満ちていることを知ってほしい。

改めて考えてみると、自分が日本を出て世界に飛び出し、そこで得た自分の経験やスキルを子どもたちに伝えたいっていうのが一番の教師としての原動力なんだなと思いました。無限の可能性を持つ子供たちがその可能性を限ることなく生きていく。世界に飛び出すということはその可能性の扉を開けることだと思っています。

②その価値観をあなたは「いつ」「どこで」学びましたか?

20代の時海外に飛び出してから。日本以外の3か国で暮らし、30か国以上を訪れて、自分の世界観が変わった。

日本が相当素晴らしい国なのは間違いないです。なので、日本のような国で生まれ育って死んでいくというのは本当にラッキーだと思うのですが、やはり一度しかない人生で自分が知らなかった世界をたくさん切り拓けたのは自分の人生にとってかけがえのない財産となりました。

③あなたの授業は何のためにありますか?

未来を担う子どもたちの世界観を広げ、自分にチャレンジする背中を押すため

普段は英語の授業とGlobal Educationという授業を教えていますが、そのどちらも世界とつながることを強く意識した授業設定にしています。

かつてこんなストーリーがありました。

自分が海外から帰ってきて赴任したある私立の学校で中学生に英語を教えていました。当時は若かったのと海外のノリが抜けきれておらず、授業もかなり自由にやりたいことをやっていました。もちろん文法や教科書の指導もしていましたが、一方で「となりのトトロ」を英語で見せて「マックロクロスケって英語で何というか!?」とか流行りの洋楽を毎週聞かせたりとかしてました。その学校は数年で辞めてしまったのですが、今から5年くらい前にその時の教え子と偶然の再会を果たしました。彼女はオーストラリア大使館で勤務していたのですが、なぜオーストラリア大使館で働くことになったのかというと、中学の時に私の授業がきっかけで英語を好きになり、高校に入ってからオーストラリアに留学に行ったそうです。(私はその時すでに辞めていました)そこで、オーストラリアの魅力に取りつかれ、いつかオーストラリアに恩返しがしたいと思い、大使館に就職しました。そのきっかけが私の英語の授業だった、と15年以上経ってから教わりました。それを聞いたときは「これこそ教師冥利に尽きる」と思い、感無量になりました。知らないうちに自分がこうやって生徒に影響を与えているなら最高だと思います。

④あなたの情熱は何ですか?

・学校教育のグローバル化
・自分の子供たちの成長

上のnoteにも書いたように、進路指導も含めて学校教育全体をグローバル化させなければいけないと真剣に考えています。世界がこれだけ急速にグローバル化しているのに、日本の学校教育だけが150年近く変わっていないというのはどう考えてもおかしいからです。今は日本の教育の良さを大切にしつつ、自分の学校で教育の改革を行っています。いつかそれらを日本中の学校に波及できるような影響力が持てたらなと思っています。

また、仕事だけでなく家族を大事にしていきたいと思います。これまで日本の父親たちは家庭を顧みず、幸せの意味すら理解しないまま生き急いでいた人がいかに多かったか。自分は家族、とりわけ子どもたちの成長にできるだけコミットしていきたいと思います。

⑤教職を志したのはなぜですか?

特に理由はなく、中3の時になぜか教師になりたいと思った。

よくある、子供の時に憧れの先生がいて・・・なんてのは一度もありませんでした。むしろ、「あの先生あんなこと言っているけど、俺ならこうするのになー」とか考えていた生意気な子供でした(笑)

また、小学校の時からリーダータイプの子供だったので、児童会長や学級委員、部活のキャプテンなどを務めていました。それがなんとなく「教師になりたい」って思わせたのかもしれません。(定かではありません・・・)

⑥今のあなたは自分が思い描いていた教師ですか?

 過去に理想の教師像というものをあまり描いたことがないので、何とも言えない。ただ、今の自分の在り方は10年前には想像できなかった。だから5年後、10年後どんな教師になっているか、そもそも教師をしているのかわからない。

どこまで行っても100点満点というのはあり得ないと思います。今自分が教師として何点なのかもよくわかりません。それを評価するのは生徒(+保護者)であるはずなので、生徒に聞いてみたいですが、そんな勇気はありません(笑)

卒業生とご飯を食べたり飲みに行ったりすると、大体みんな自分のことをほめてくれますが、それは私に会いたいと思ってくれるくらいの人たちなので、そう言ってくれてもおかしくない気がします。同時に自分のことが嫌いな子どもたちも存在する(した)はずなので、それはしっかりと受け止めておきたいですが、大事なのは自分の軸がぶれないことではないかと思います。

⑦どのような悩みや困難と向き合ってきましたか?

あまり悩みを抱えたことがない。困難も困難と捉えず、自分の成長要因と捉え、前向きに対処している。
生徒の問題や保護者の対応などこれまでにいろいろあったが、誠心誠意対応することで、すべて乗り越えてきた。

基本的に超ポジティブなので、大概のことは一晩寝れば忘れます(笑)

なのであまり悩むことがないです。もちろん毎日問題や課題にぶち当たっていますが、仲間たちと協力してここまで乗り切ってきました。

⑧それをどのように乗り越えてきましたか?

何か問題があった場合は、問題を分析し、解決策を模索し、密なコミュニケーションと丁寧な対応をすることで大体の問題は乗り越えられる。

問題解決にあたって戦略は重要だと思います。無策で対応しては、解決できる問題も解決できません。

一方で、大概の問題は人と人との間で生じるので、コミュニケーションの重要性は常に忘れないようにしています。

⑨手放したいもの、手に入れたいものは何ですか?

手に入れたいもの:自由(経済的自由、時間的自由、精神的自由、など)
手放したいもの:ない

手に入れたいものはたくさんありますが、一言で言うと「自由」かなと思いました。お金も時間も心の余裕も全部欲しいです。

一方、手放したいものってなかなか頭に浮かびませんでした。

例えば、「スマホ」は正直手放したいけど、手放したら不便で厳しいなぁとか。または、1年前なら「脂肪」って言っていたかもしれませんが、食事制限、筋トレ、ランニングなどのおかげで今は標準体重よりも3~4キロ少ないので、体が軽いです。

手放したいものがないってことは幸せってことですかね。

⑩あなたの希望は何ですか?

家族の幸せ、生徒の幸せ ⇒ 自分の幸せ

自分の周りの人に幸せになってほしいですね。それがひいては自分の幸せにつながるので。


こんな感じで自分のことをプロファイルする機会ってなかなかないと思うのですが、Takaoka先生のおかげで改めて自分がどんな教師なのか、そしてどんな人間なのかを知ることができました。教師って本当に忙しい仕事で、こうやって立ち止まって自分のことを考える時間がないですし、ましてやその価値観を知らない方と共有するなんて機会はなかなかないので、素晴らしい機会となりました。

超個人的な内容を最後までお読みいただきありがとうございました。引き続き教師として精進します。