名前を与えられた害虫
街を歩いていると、どこに行っても体調の悪い人たちで溢れかえっていた、という悪い夢を見て目が覚めた午前4時半。自分もいつか感染するのではないかという恐怖で眠れなくなる。
やがて夫が起床する時間が来て、私のスマホの目覚まし時計も鳴って、息子も起きて…気がついたらそんな恐怖も忘れてしまっていた。
息子が登校したあと、テレビの電源はオフにする。不安になったり、怒りを覚えたりするようなニュースは見過ぎてはいけない。感染症対策はしっかりやるけれど。洗濯物を干して、掃除機をさっとかけて、『あつまれどうぶつの森』を1時間ほどプレイして、昼ごはんは卵かけご飯を食べて、今日もいつもとなにも変わらない専業主婦の私だ。明日は、ほんのちょっとでいいから変わったことをしたい。
学校から息子が帰ってきて、一緒にYouTubeを見る。ヒカキンがタバコガの幼虫を育てる動画を見た。ピーマンの中から出てきたそうだ。
私も二回、ピーマンの中に幼虫が居たことがある。
ぎゃああああ!!!
って、大声で叫びながら包丁を放り投げた。ピーマンの中には黒い糞がびっしり詰まっていた。ブロッコリーについていた幼虫を気が付かずに握った時もあった。むにっとした。やっぱり叫んだ。野菜に潜む幼虫ってなんであんなに怖いんだろう。
私だったら、ティッシュに包んで、すぐにゴミ箱に捨ててしまうけれど、ヒカキンは「運命」だと言い飼育を始める。その優しさ、純粋さに感動してしまった。「むしお」と名付けられた幼虫が少しだけ可愛く思えた。害虫だけど無事に成虫になれるのかどうか気になる。ヒカキンの飼い方が正しいのかどうか全くわからないけれど、あたたかく見守ろう。
そういえば冷蔵庫の中にピーマンがあった。切るのがちょっと怖いな。