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パンで揉めているときにパンが届く

イライラしながら、たまごサンドを作っていた。

「我が家にはパンが多すぎる。賞味期限内に食べきれるのか」

と夫に言われたから、しかたなく食パンの耳を切り落として、昼食をたまごサンドにしたのだ。耳は油で揚げて、きな粉と砂糖をまぶした。

多すぎる…というほど、多くはないと思うけどな。夫はパンを朝食にすることしか考えていないようだったが、別に昼食やおやつにしても良いじゃないか。アヒージョに添えるのにも使えるじゃないか。食べきれなかったら冷凍しても良い。

パンに対する夫と私の感覚が違っていてモヤモヤしていた。

ピンポーン

突然、チャイムが鳴った。母からの九州旅行のお土産が届いた。地元スーパーのベーカリーのパンも入っていた。

パンで揉めているときにパンかよ…と思わず笑ってしまった。しかも賞味期限、明日じゃないか。母め。

たまごサンドとパンの耳を揚げたやつと一緒に、母から送られてきたパンを食卓に出した。

家族みんなで美味しく食べたら、イライラがどこかに行ってしまった。

カレンダーには、「挙式記念日」と書いてあった。

だからと言って、何か派手なことをするわけでもない。缶ビールで乾杯しながら「10年間、お互いによく耐えてきましたね。これからもよろしくお願いします」と言い普通に過ごした。

FacebookやLINEで、結婚記念日をホテルで過ごしたとか、アクセサリーをプレゼントされたとか、そんな報告を見ると羨ましくなるけれど。

そういえば、最近、新しいスニーカーを買ってもらった。iPhone 12mini も予約して良いって言っていた。旅行だって計画している。

なんだ、毎日が記念日みたいなものじゃないか。これ以上、何を望むのか…と、なんでもかんでも欲しくて仕方がない自分に言い聞かせてやる。