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Edge Rank記事2023年まとめ

約10名の執筆陣が毎月テーマを決めて寄稿する、「Edge Rank」というnoteのマガジン機能を使った企画に参加しています。もともとはメールマガジン形式で配信していましたが、現在はnoteで展開しています。執筆陣の皆さんがそれぞれの視点で書いているので、面白いですよ。

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2023年に私がEdge Rankに寄稿した記事をまとめてみました。1月から12月まで、全12記事です。

【Edge Rank 1月号】登らない山登りなど

年末年始は、特に旅行など遠出はせず、もっぱら近場の散歩ばかり。美術館をハシゴしたり、所沢へラーメンを買いに行ったり、地元の神社や富士塚を巡ったりなど。今回は、歩くことについて。主に富士塚巡りの魅力について書いていきます。

歩くこと

歩くのが好きだ。小田原から24時間以内に100kmの距離を歩くというイベントに参加したこともある。つまり、半径100kmは自分にとって「徒歩圏内」ということ。たまに、街歩きの企画を立ち上げて、ガイド役をやったりもする。品川エリアで山巡りをしたり、東京ビエンナーレ期間中に神田周辺を歩いたり、あるいは7月1日のお山開きの日に都内の富士塚を巡ったり。9月1日から12月にかけて、100日間で100万歩を歩くというチャレンジ企画は、今年で10年目になる。

目的もなくただ歩くのも好きだが、なにかこう、自分で「ミッション」のようなものをつくって、コースやゴールを設定して歩くというのも楽しい。そのうちのひとつが、「登らない山登り」である。

登らない山登り

私は「アーバンアルピニスト」という肩書きを名乗って、東京にある山を訪れるということを趣味のひとつにしている。都会の登山家。山に登るのだが、登らないという、ちょっと変わった遊びの活動。

主に、富士塚巡りや、低山散歩、山のつく地名や場所などを訪れている。山のつく地名と言えば、私の職場は青山にあるので、いつも山を目指して出勤している。自宅のある南千住には、山谷と呼ばれるエリアがあって、そこも登らない山登りの散歩コース。低山なら、港区にある愛宕山などはエレベーターでするりと登れてしまうので、登らない山登りにはぴったりだ。同様に、都電荒川線沿線にある飛鳥山も、モノレールでさくっと登れるの。都内近郊には、登らずに登れる山々が意外とたくさんある。

そして、登らない山登りと言えば、なんといっても富士塚。江戸時代より富士山をご祭神として信仰する「富士講」のグループが都内近郊各所に生まれ、それぞれが地元に富士山を模した小ぶりの塚を造ったものだから、それが今でも都内近郊に100以上も残っている。その富士塚を巡ってひとつひとつを参拝するというのが実に面白い。人工の小さな富士山ながら、参拝すると本物の富士山にお参りしたのと同じご利益があるというのも良い。

ひとくちに富士塚と言っても、それぞれ個性がある。歴史や由来も様々。海に近いエリアの富士塚は、実際の富士山から黒ボク石と呼ばれる溶岩石を運んできて築山したものが多い。一方で、内陸の方にある富士塚は土だけでつくられていたり。15メートルを超える比較的大きなものから、10歩くらいで登頂できるミニチュア富士までバリエーション豊か。古墳をそのまま富士塚に改造したものまである。頂上まで登れる富士塚もある一方で、保全のために登拝を禁止している場所や、年に数日だけ開放している山も。おすすめなのは、7月1日前後の「お山開き」の日。普段は登れない富士塚が一般開放され、この日だけ登れたりする。何の気なしに始めた遊びの企画ではあるが、楽しくて続けているうちに、いろいろな富士塚に何度も富士塚に訪れるようになった。中でも、「江戸七富士」と呼ばれる7つの有名どころの富士塚は、必ず毎年全部訪れるようにしている。昨年は、この江戸七富士を1日で全部訪れつつ、かつ電車移動に東京メトロの乗り放題切符を活用することで1,000円以内で巡るというチャレンジ企画をやってみた。

下谷坂本富士、音羽富士、高松富士、江古田富士、千駄ヶ谷富士、品川富士、十条富士の「江戸七富士」を巡りつつ、新宿でちょっと寄り道もしつつ芸能浅間神社や小塚原富士も訪れ、かつ品川から目黒にかけて八ツ山、権現山、御殿山、花房山などの「登らない山」も通り抜け、1日で2万9千歩(22.3km)を歩き、交通費が925円でフィニッシュ、と。ちなみに、ランチは「富士そば」で食べた。

■「江戸七富士」チャレンジの記録メモ

【富士塚】素盞雄神社「小塚原富士」※まだ開いてなかった
 |6:03 南千住(日比谷線)→6:07 入谷駅 → 6:11着
【江戸七富士】小野照崎神社「下谷坂本富士」台東区下谷2丁目13−14
 |6:30 入谷駅(日比谷線) → 6:49 日比谷駅(丸の内線)→ 7:16 護国寺駅 → 7:20着
【江戸七富士】護国寺「音羽富士」文京区大塚5丁目40−1
 |7:33 護国寺駅(有楽町線)→ 7:41 千川駅 → 7:50着
【江戸七富士】高松富士浅間神社「高松富士」豊島区高松2丁目9−3
 |8:15 千川駅(有楽町線)→ 8:17 小竹向原駅 → 8:50着
【江戸七富士】茅原浅間神社「江古田富士」練馬区小竹町1丁目59−2
 |9:31 小竹向原駅(副都心線) →9:52 北参道 →10:00着
【江戸七富士】鳩森八幡神社「千駄ヶ谷富士」渋谷区千駄ケ谷1丁目1−24
 |10:50 北参道駅(副都心線)→ 10:52 新宿三丁目駅 → 11:00着
【ちょっと寄り道】新宿マルイアネックス「オールドレンズフェス 2022秋」
【ちょっと寄り道】富士そばでランチ
 |徒歩
【富士塚】花園神社(芸能浅間神社) 新宿区新宿5丁目17−3
 |12:11 新宿三丁目(有楽町線)→赤坂見附乗り換え→12:28新橋→12:33品川(JR常磐線)157円
【城南五山・品川山巡り】八ツ山橋 13:00
 |徒歩 → 13:10着
【江戸七富士】品川神社「品川富士」品川区北品川3丁目7−15
 |徒歩
【品川山巡り】権現山 13:45
 |徒歩
【城南五山・品川山巡り】御殿山 14:00
 |徒歩
【城南五山】花房山 14:50
 |15:00 目黒駅(南北線)→王子駅 16:00
【江戸七富士】十条冨士神社「十条富士」北区中十条2丁目14−1
 |1643東十条→日暮里→1711南千住(JR常磐線) 168円
【富士塚】素盞雄神社「小塚原富士」 17:17
 └17:30 終了
* * * 
歩数: 29,120歩(22.3km)
交通費: 925円

富士塚巡りのきっかけ

「登らない山登り」というのを思いついたのは、2009年頃。日本橋でオフィスを借りて「会社ごっこ」というアートプロジェクトをやってた時には、この構想があった。富士塚に興味をもって訪れるようになったのは、2018年にボランティアスタッフとして参加したキッズ向けの街歩きがきっかけである。品川周辺を歩いていたら、近くに「品川富士」があるのを見つけたのだ。なんとなく、都内近郊にこうしたミニチュアの富士山があることは知っていたが、その後調べてみたらなんと100か所以上もあるらしいということを知った。しかも、自分がよく訪れている近所の神社にも富士塚があった。何度も訪れて見かけているのに、それまでそれが富士塚と認識していなかった。見ているのに、見えてなかったという不思議。そして、いったん富士塚が見えてくるようになると、実は身近なあちこちにあるというのが見えてくる。「知る」ってことは面白い。

次第に富士塚や富士講の成り立ちなどを学ぶようになり、富士塚のリストをつくってGoogle Mapに登録し、週末の時間があるときに散歩がてら富士塚を目指すというスタイルに。「よし、今日はこの富士塚を訪れるぞ!」と目指していくこともあるし、ふと出先で時間が余った時に「この近くに富士塚はあったっけ?」と自作のマップで探したりも。昨年は、25か所の富士塚を巡った。

おすすめの富士塚巡りコース

さてここからは、おすすめの富士塚巡りのコースをいくつかご紹介。
江戸七富士巡りも楽しいですが、都内には富士塚が集まっているエリアがあるので、散歩しながらひとつひとつ巡るのも良いと思います。

千住富士塚巡りコース

千住エリアの富士塚を巡るコースです。荒川沿いを歩きつつ、最後は南千住へ。この素盞雄神社は私の家から近いので、よく訪れます。

  1. 柳原稲荷神社「千住柳原富士」足立区柳原2丁目23−7

  2. 大川町氷川神社「大川富士」足立区千住大川町12−3

  3. 千住神社「千住宮元富士」足立区千住宮元町24−1

  4. 素盞雄神社「小塚原富士」荒川区南千住6丁目60−1

葛西富士塚巡りコース

葛西駅周辺の富士塚を巡るコースです。途中の大当稲荷には富士塚は無いのですが、たまたま訪れたら「黒ボク石」という富士塚でよく使われる溶岩石があったのでコースに加えてみました。

  1. 桑川神社「桑川富士」江戸川区東葛西1丁目23−19

  2. 長島香取神社「長島富士」江戸川区東葛西2丁目34−20

  3. 大当稲荷神社(黒ボク石のみ) 江戸川区東葛西2丁目35

  4. 雷不動 真蔵院「雷富士」江戸川区東葛西4丁目38−9

  5. 中割天祖神社「中割富士」江戸川区東葛西7丁目17−17

熊野前から文京区富士塚巡りコース

東京さくらトラム(都電荒川線)で熊野前下車。そこから上野を目指して文京区の富士塚を巡るコースです。海蔵寺には、富士講発展の祖といわれる身禄行者のお墓があります。

  1. 尾久浅間神社「尾久富士」〒116-0012 東京都荒川区東尾久5丁目13

  2. 田端八幡神社「田端富士」〒114-0014 東京都北区田端2丁目7−2

  3. 駒込富士神社「駒込富士」〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目7−20

  4. 海蔵寺「身禄行者の墓」〒113-0023 東京都文京区向丘2丁目25−10

  5. 白山神社「白山富士」〒112-0001 東京都文京区白山5丁目31−26

他にも、新宿エリア、墨田区(旧中川)エリア、羽田周辺や練馬から板橋へのエリアなど、富士塚巡りにぴったりの場所が都内にいろいろあります。私もまだまだ行ったことがない富士塚がたくさんあります。ぜひ、都内近郊にお住まいの方は、近所の富士塚を探して訪れてみてください。

今月の共通テーマ 「今年買うモノ」

昨年3月6日に「東京マラソン」に出場し、初めてフルマラソンを走りました。実は直前まで「どうせ今回も延期だろう」と思って、あまり積極的にトレーニングもせず。というのも、2020年に初めて東京マラソンに走る予定だったのが、新型コロナの影響で一般の部は中止に。翌年、抽選なしで走れるということで再度参加費を支払ったら、あっけなく延期。2022年3月も、過去の大会よりも感染者数が増えてるからどうせ延期だろうと思っていたら、意外にも「開催します」ということで驚きつつも、そこから急いで準備を進めました。

その時点でランニングシューズがかなりボロボロになっていたので、せめて中敷きだけ変えて乗り切ろうと思ったのですがやっぱり無理で。急遽シューズを発注したのが2月27日。大会の1週間前ですよ。

ところが、このシューズがものすごく足にフィットして心地よく、心配していた靴ズレをほとんど起こすこともなく無事に42.195kmを完走することができました。それに気を良くして、6月には「東京エクストリームウォーク100」に参加。小田原から東京まで24時間で100km歩くという大会で、2019年に続いて2度目の挑戦。そして11月は、自分にとってメインの大会である「越後謙信きき酒マラソン」に参加。城址あり神社ありの起伏の激しい24kmのコースを走った後、ゴールしたら即きき酒という、ユニークなマラソン大会です。6年連続の参加ですが、過去2回はオンラインでリモートからの参加だったので、現地を走るのは3年ぶり。楽しかったです。

購入からもうすぐ1年が経ち、上記の大会への出場もそうですが、トレーニングや、散歩や、登らない山登りなんかを続けていたら、あっという間にまたシューズがボロボロになってきました。きき酒マラソンの際は破れて大きく穴の開いた箇所をなんとか手縫いで繕って走りましたが、シューズとしてはもうとっくに限界を超えているようで。そろそろ新しいランニングシューズを買わないといけないかなぁ。1年間、いろんな大会に一緒に走ってくれて、ありがとう。

たぶん次も、同じ型番のシューズを買うと思います。

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今月のEdge Rank共通テーマは 「今年買うモノ」 です。年末に行なう「今年のベストバイ」の予見版です。あなたが今年きっと買っちゃいそう!というものを聞かせてください。高くても安くても構いませんが「プリン」とか「電池」みたいな生活に根ざしているものだけはご勘弁。
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編集後記

週末に、多摩川に行ってきました。多摩川浅間神社と富士塚を目当てにいったのですが、もともとこの神社は古墳の上に建てられたということを知り、さらにそこから多摩川台公園方面へ亀甲山古墳と、8つの多摩川台古墳群、そして宝莱山古墳など、一気に11個の古墳を訪れました。古墳展示室で「古墳散策マップ」を購入。今後は、「登らない山登り」に古墳も積極的に加えていこうと思います。

【Edge Rank 2月号】バレンタインデーの日に愛を語る

今日は、世の中的にはバレンタインデーですね。実はうちの場合は、2月14日が結婚記念日なわけで。デパートやコンビニなどでチョコレートフェアなどがはじまると「お、そろそろ結婚記念日か」と思い出します。ちなみに、うちは今年で結婚19周年です。

結婚記念日のプレゼント

結婚記念日を祝う習慣として、結婚25周年が銀婚式、50周年が金婚式などと呼んで贈り物を渡したりもしますが。他にも年ごとにいろいろな「〇〇婚式」があるんですよね。出典によっていろいろ諸説ありな感じですが、ざっくりまとめると以下のようになります。

1周年:(Paper)婚式
2周年:綿(Cotton)婚式
3周年:(Leather)婚式
4周年:リネン(Linen)婚式、シルク(Silk)婚式
5周年:(Wood)婚式
6周年:(Iron)婚式
7周年:(Copper)婚式、ウール(Wool)婚式
8周年:青銅(Bronze)婚式
9周年:陶器(Pottery)婚式
10周年:(Tin)婚式、アルミ(Aluminum)婚式
11周年:鋼鉄(Steel)婚式
12周年:(Silk)婚式
13周年:レース(Lace)婚式
14周年:象牙(Ivory)婚式
15周年:水晶(Crystal)婚式
16周年:トパーズ(Topaz)婚式
17周年:アメジスト(Amethyst)婚式
18周年:ガーネット(Garnet)婚式
19周年:ジルコン(Zircon)婚式
20周年:陶磁器(China)婚式
25周年:(Silver)婚式
30周年:真珠(Pearl)婚式
35周年:珊瑚(Coral)婚式、翡翠(Jade)婚式
40周年:ルビー(Ruby)婚式
45周年:サファイア(Sapphire)婚式
50周年:(Gold)婚式
55周年:エメラルド(Emerald)婚式
60周年:ダイヤモンド(Diamond)婚式
65周年:碧玉(Blue Sapphire)婚式
70周年:プラチナ(Platinum)婚式
75周年:ダイヤモンド金(Diamond & Gold)婚式
80周年:(Oak)婚式
75周年:ワイン(Wine)婚式

去年、うちは18周年で「ガーネット婚式」でした。ガーネットというのが、別名柘榴(ざくろ)石と呼ばれているので、ザクロを使ったチェコ製のシャワージェルを妻にプレゼントしました。チェコのSaloosというオーガニックスキンケアブランドの商品で、ザクロの種子からとれたオイルを原料に使用した保湿シャワーオイル。ちょうど神田のチェコグッズ屋さんで見つけたので。ぴったりなプレゼントでした。

で、今年は結婚19周年。「ジルコン婚式」っていう、なにやらダジャレみたいな名前の記念日なのですが。「風信子(ヒヤシンス)婚式」という呼び方もあるそうなので、ヒヤシンスでいろいろ調べていたら、水草の一種であるウォーターヒヤシンスを乾燥させたものを編んでバスケットにした商品があったので、それをプレゼントすることにしました。喜んでくれると良いな。

毎年、「今年は何を贈ろうかな」と悩みつつプレゼントをセレクトするのですが、いかんせんこの日はバレンタインデーなので妻からもらう贈り物はチョコレートが多く。いや、全然良いのですよ。チョコレート好きですし。でもなぜか、ホワイトデーにもお返しを贈らなければならないので、なんだか釣り合いがとれないなぁと思いつつ。毎年バレンタインデーが近づくと、プレゼント選びを楽しんでいます。

中銀カプセルタワーへの愛を語る勉強会

「愛を語る」という今月のお題つながりで、もうひとつ。2月19日に、「中銀カプセルタワービル」をテーマにした勉強会を開催します。

2019年に、一か月間だけ私はこのビルに住んでいました。面白かったですよー。黒川紀章さんが1972年につくった新陳代謝を意味する「メタボリズム」をコンセプトにしたビルで、2本のコアシャフトに合計140個のカプセルユニットがくっついているというもの。この幅2.5m×奥行き4.0m×高さ2.5m(約5.5畳)のカプセルは、本来であれば20年くらいを目安に交換され、細胞のように入れ替わったり増殖したりする予定でした。しかし残念ながら、50年間一度も交換されることがないまま、中銀カプセルタワービルは取り壊されてしまいました。

しかしまだ、竣工時にモデルハウスとしてつくられたプロトタイプのカプセルは同じく黒川紀章さんによって設計された埼玉県立近代美術館の所蔵品として北浦和公園に展示されていますし、長野県にはこちらも黒川紀章さんによってつくられた別荘タイプの「カプセルハウス K」も存在します。

さらに、解体されたカプセルのうち、23個は生き残り、ていねいに保存・再生されて、これから日本のあちこちや世界に向けて旅立っていきます。これもある意味、建築の枠を超えた新陳代謝ですね。

自分が住んでいたカプセルもきれいにリノベーションされて、これから第二の人生を送ることが決まっています。またきっと会えるでしょう。

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今月のEdge Rank共通テーマは 「愛を語る」 です。バレンタインデーのある2月は愛を語るにふさわしい月。みんなの心に秘めた愛が漏れに漏れて伝わってくるのを楽しみにしています。
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編集後記

中銀カプセルタワービル、奥野ビル、優美堂など、僕が愛してやまない場所はいろいろあるのですが、そのうちのひとつである千代田区神田にあるアートセンター「3331 Arts Chiyoda」が3月末にていったん閉館になるということで、自分の居場所がひとつなくなった感じですごく寂しいです。実際に、この元中学校だった建物の地下にある教室で6か月間の共同アトリエ生活をしていたこともあります。ギャラリーショップに作品を置かせてもらったり、キッズ向けの工作ワークショップを年に数回のペースで10年に渡って続けたり、最近では優美堂で培った施工のスキルを活かしてギャラリー展示のお手伝いもしてました。場所は無くなっても、その場所で出会った人たちとのご縁は無くならないので、また次の展開も含めて楽しみながら参加させていただきます。

【Edge Rank 3月号】施工とインストール

作業着やマスクの隙間から真っ黒い埃が入り込んで、汗と混ざってあっというまにドロドロになる。神田小川町で、古い額縁屋の壁や床を解体してリノベーションしていく作業。重いバールを差し込み、ひねり、時に叩きつつ、壁や床を剥がしていく。

握力がそろそろ限界を超え、バールを持つ手をしばらく休める。肩で息をしながら、窓から差し込む光の筋が室内に舞うホコリを照らしているのを眺めていた。

きっかけは優美堂再生プロジェクト

この空間によくもこんなにもたくさんの額縁が収納されていたとあきれるくらい、たくさんの額縁がそこに格納されていた。神田小川町の閉店した額縁屋さん「優美堂」。市民ボランティアの手で、ホコリの積もった額縁をひとつひとつ丁寧に運び出していく。三千枚を超える大量の額縁は、一時保管先の3331 Arts Chiyodaメインギャラリーをあっという間に埋め尽くした。まるであたり一面、額縁の海原のような。

建物を空っぽにした後、まず古い壁や床、天井を剥がしていく。ここで、バールのポテンシャルを知る。力任せに振り回しても、なかなか解体の効率は上がらないが、コツを掴むと面白いようにバリバリと壁が剥がれていく。すぐに、建物の骨組みが見えてくる。と同時に、大量の埃が舞い上がり、全身を真っ黒にするのだ。

いったん完全なスケルトン状態にした後、防水シートを貼り、断熱材で隙間を埋めていく。全ての作業が初めての体験で。手を動かしながらみんなで何かをつくるというのがとても楽しい。

優美堂再生プロジェクト」は、中村政人さんをリーダーとした東京ビエンナーレ2020/2021のプロジェクトのひとつ。そこに、集まった市民ボランティアのほとんどは、僕も含めてこういった施工作業を体験したことがない人がほとんどだった。ひとつひとつの作業を教わりながら、施工のいろはを学んでいく。まるでそこは、実践的な施工のための学校のようでもあった。

数十年間降り積もったホコリは、びっくりするくらい真っ黒だった。ひとしきり作業をした後は、まるで炭鉱からはい出した労働者のように全身が黒くなる。耳や鼻や髪の毛の中にも降り注いだ黒い粉は、風呂に入ってもなかなかとれない。世間一般的には、そういった作業は「キツイ仕事」の部類に入るだろう。でも、我々にとってそこは新しい体験ができる学びの場所であり、仲間が集まる活気にあふれた「現場」として、すごく居心地が良い場所だった。かくして、土日の多くの時間をそこで施工作業をしながら過ごすようになる。

バールの使い方も日に日に上達していった。やがて、タッカーやインパクトドライバーを手にして壁や床をつくっていく。手鋸や電動の丸鋸、ノミ、ドリル、角ノミ盤なども登場し、使える道具が少しずつ増えていく。墨付けの効率よい方法や、差し金の使い方なんかもYouTubeの動画で学びつつ、現場で実践した。自分専用の腰袋を購入し、いくつかの工具をそろえた。日常でも、街を歩いていて施工現場を見かけると、ついついそこにある大工道具や職人さんの腰袋の中身が気になった。ホームセンターで道具のコーナーを覗くのが楽しくなった。

毎回「今日はどんな施工作業をするのだろうか」と、優美堂へ向かうのが楽しかった。

最初、真っ黒だった室内が、だんだん白くなっていく。シナベニヤを貼り、その上から石膏ボードを打ち付けていく。戦後すぐに建てられ、その後増築を繰り返した優美等の建物は、およそすべてがまっすぐには建っていない。微妙なゆがみやたわみを認識しつつ、それにあわせて随時ベニヤや石膏ボードを加工していく。手鋸や電動丸鋸、ノミの使い方がだんだん上達していく。石膏ボードを切るためのノコギリと、角を落とすカンナを購入し、週末の施工作業がさらにまた楽しみになっていった。

木くずや、石膏の粉、そして壁を塗る白いペンキなど。毎週、現場を訪れるたびにどんどん変わっていくのが分かる。

そして、7月に東京ビエンナーレ2020/2021が開幕し、優美堂もオープンした。その後も、施工作業はしばらく続くのだけれども。お客さんを入れつつ、オープンベータのような感じで、運用しながらテーブルをつくったり、棚を付け足したり、建物は進化をし続ける。「優美堂再生プロジェクト」に参加して、施工作業のいろいろなことを学んだ。人の手で、地道な作業を積み重ね、このような素晴らしい空間がつくれるということに感動した。

この後も、週末にいろんな施工現場へ飛び込んでいくことになる。

施工は続くよ

優美堂で施工の愉しさを知り、その後もいろいろな現場へ飛び込んでいくようになった。平日は会社員としてオフィスワークをしているので、もっぱら週末の助っ人として、解体や施工のお手伝いをしに行く日々。どんな作業でも楽しかった。単純に、自分の手や体を使ってなにかをつくる手伝いができるというのが嬉しかった。

東京ビエンナーレ2020/2021 「東京Z学」解体

東京ビエンナーレの会期終了後、「東京Z学」の展示があったレインボービルの解体を手伝った。軽量鉄骨のフレームに、シナベニアと石膏ボードが貼られ、その上からパテと塗料でホワイトキューブ的な展示スペースがつくられている。この空間をつくるのは大変だが、壊すのは結構あっという間だ。この時も、大きなバールが役立った。

3331 Arts Chiyoda「小池一子展」施工・解体

続いて、3331 Arts Chiyodaのメインギャラリーで、小池一子さんの作品展の施工をお手伝い。この時に、「インストーラー」という職種があることを知り、とても興味がわいた。単に施工作業をするというだけでなく、展示のコンセプトを理解して作品をいかに見せるかを考えつつ、最終的な展示空間をつくりあげるという仕事。作品や作家と対話をしながら、作品展をつくりあげていくという過程を現場で見ることができた。インストーラーは、いわば作品展の縁の下の力持ち。もしくは、影の立役者か。この後、いろいろな美術館や企画展を訪れるたびに、インストーラーによるプロの仕事を感じられるようになった。細かい展示の造作や、メッセージを伝えるための工夫などを。

平田哲朗個展「芸術か科学か」施工・搬出

こちらも3331 Arts Chiyodaで開催された、平田哲朗さんの個展「芸術か科学か」でも、搬入後の施工から撤収までお手伝いをさせていただいた。とにかく短期間でいろんなことが同時進行で進んでいて、ものすごい勢いで展示の準備が進んでいった。既にお知り合いの方が多いのか、チームワークがしっかりしていたし、施工に参加している人たちがそれぞれの役割を担って動いていた。この場に参加できたことは、とても光栄だった。

さらに、3331 Art Fair 2022でも、平田さんのブース展示を担当した。お亡くなりになった平田さんに、生前お目にかかることはなかったが、作品を通じて「平田さんだったらこの作品をどう見せるかなぁ」と考えながら、私はひとつひとつの作品をその場に設置していった。

3331 Art Fair 2022 優美堂出店

同じく、3331 Art Fairに優美堂もポップアップストアという形で出店することになり、展示空間に棚などをつくる作業をお手伝いした。コンクリートに穴をあけ、垂木をビスで固定した後、板を貼る。バックヤードに置いてある木材を再利用する形で、その場でどんどん寸法や配置が決まっていく。わずか一日で施工と搬入の作業がほぼ完了した。3331のこのスピード感は、相変わらずすごい。施工スタッフがいて、木工室が施設内にあるというのもあるが、なによりも統括ディレクターの中村政人さんの経験とスキルが大きい。中村さんが「これは実現可能だ」と判断したものは、本当に実現してしまう。この時も、一緒に施工作業に参加して、間近でその現場を体感し、やっぱりすごいなと思った。

ちなみに、このアートフェアでは、私の作品もこの優美堂コーナーに置かせてもらい、一点売れた。作品を誰かが買ってくれるというのも嬉しいものである。

3331 Arts Chiyodaという場所

およそ12年前に初めて足を踏み入れて以来、この3331 Arts Chiyodaは自分の「日曜アーティスト」の活動にとってもかけがえのない貴重な場所だった。

2011年に地下の教室を6人でシェアして、半年間滞在制作をしたことがきっかけで、その後もずっとたびたびこの場所へ訪れていた。ギャラリーショップに作品を置かせてもらっていたこともある。

藤浩志さんがご家族と始めた「かえっこ」のプロジェクトでは、ここ10年ほどキッズ向けの工作ワークショップのコーナーを担当させてもらった。毎回、「どんな工作ワークショップにしようかな」と考えるのが楽しかった。

最初の頃は一緒に先生役をしていたこともあるうちの娘は、今はもう高校生。私のワークショップに参加してくれた子どもたちも、今ではもう大きくなっているんだろうな。

他にも、さまざまなイベントやトークセッション、上映会や作品展などに参加してきた。目的をもってこの場所を訪れることもあるし、たまたま近くに来たのでぶらりと立ち寄ることもある。いつも、なにかしら「わくわく」するものがここにはある。

思い出がたくさん詰まった3331 Art Chiyodaだが、大規模修繕工事のため、いったん3月で閉館となる。工事が終わった後に、3331が戻ってくるのか、それとも新しい施設として再始動するかはまだ決まっていないらしい。

3331で最後の作品展

というわけで、今まで約12年近くの間お世話になった3331に恩返しをする意味も込めて、このスペースが借りられる期限ぎりぎりの2月末に、たった2時間だけの作品展をここで開催した。くしくも、Art Fairで施工作業をしたのと同じ、1階103の部屋で。

ここに、3331での思い出をモチーフにした版画作品を持ち込んで、さらに現場でも追加で「ライブ プリントメイキング」の形式で作品をつくりつつ、『Graphic Memoir of 3331: Live Printmaking』という個展を開催した。

2時間限りの作品展のために、過去12年間の写真を見返しつつ、週末の二日間を使って新たに版画のモチーフとなる写真を撮影して、それをもとに版画作品をつくっていった。片手に載るような小さな版画プレス機を使って、名刺サイズの作品をたくさん用意した。

搬入と作品展の当日、40点の額装した作品が完成した。それを会場に展示しつつ、作品展の間も「ライブプリントメイキング」という形で制作展示を行った。会場に展示している作品の中で、来場者の方が気に入ったものがあったら、無料でプレゼントするという方式にした。

作品の作り方としては、写真をもとにPhotoshopを使ってまずネガを作成。それを普通紙に印刷した後、溶剤を使ってインクを溶かして和紙や水彩画用紙に転写する。私が大学生の頃、好んで使っていた版画の表現手法だ。

作品制作には、「Open Press Project」ドイツのクリエイターによる3Dプリンターなどを駆使した小さな卓上プレス機を使用。これを使って、名刺サイズの小さな版画作品をたくさんつくった。

たった2時間の作品展だったが、中村政人さんも含めて8名の方々が来場してくださり、皆さんに作品をプレゼントすることができた。とても嬉しい。

自分にとって、アートのスキルはこういう時に使うもの。大学で4年間みっちりアートを学び、その後写真の仕事からウェブ制作の方に仕事はシフトしていったが、週末は相変わらず「日曜アーティスト」を名乗って気ままな創作活動を続けている。趣味の活動だから時間や予算の制限はあるが、その限られた状況の中で精いっぱい楽しみながら作り続けている。

作品をつくるというだけでなく、そこから生まれるコミュニケーションだとか、あるいはつながりやきっかけなど。そこから広がっていくのが面白い。施工体験なども含め、平日の仕事と週末の遊びの活動を両立させながらひたすら限界まで身を粉にしてチャレンジし続けるのが楽しいのである。

=== 今月のテーマであなたも書きませんか? ===
今月のEdge Rank共通テーマは 「粉」 です。花粉症の季節だけど、花粉だけテーマにしてもくしゃみと鼻水と涙の話にしかなりませんものね(笑)
そこで粉全体に話を拡げました。好きな粉もんを語っていただきます。
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おまけ:今月の現場

優美堂や3331がきっかけで始まった、施工のお手伝い。これからも、機会があれば積極的に現場に飛び込んでいきたいと思っています。

というわけで、今月の施工現場をご紹介。

市民ボランティアチームを見事にとりまとめて『優美堂再生プロジェクト』を成功に導いたインストーラーのTさんにお声がけいただき、3月4日は横須賀の古民家をアートスペースとしてリノベーションするお手伝いに。久しぶりのバールの登場でテンションがあがります。自然豊かな空間で、ウグイスの鳴き声を聴きながら一日中ずっとここで作業ができたのは楽しかったです。

その翌日は、3331引っ越しにともなう、新事務所の施工のお手伝い。軽量鉄骨を組んで、壁を立てるという作業のお手伝いです。3331という場所はいったんなくなってしまいますが、こうしてここで出会った人たちとのご縁は今後もずっと続いていくし、こんな風に新たな施工現場などにも飛び込んでいく機会はこれからもきっとあるはず。

木くずや埃、石膏ボードの粉にまみれつつ、これからも「日曜アーティスト」としての活動を続けていきますよ。

もういっこおまけ:優美堂で絵を描きます

3月18日(土)に、優美堂で作品制作をする予定です。誰でも参加できる、『千の窓』展の、新しい取り組み。これまでも、優美堂の額縁を使って「やさしさ」と「富士山」をテーマに2点の作品を制作する千の窓の展示をしてきましたが、今回はそれを拡大して、現場で誰でも参加できるようにしました。

私も、既に何点かの作品をこれまでに提供していますが、さらに現場で滞在制作という形で新作をつくろうと思っています。いつものハンコアートと、さらに版画作品も組み合わせて。というわけで、今回は現場に卓上プレス機も持ち込みます。

一緒に作品をつくってみたい方、版画の手法やプレス機に興味のある方など、ぜひ遊びに来てください。額縁は現場にあります。絵を描くための紙などもありますが、基本的に画材は持ち込んだ方が確実かもしれません。

毎週土曜日に開催していますが、とりあえず私は3月18日の13時頃から描きに行く予定です。当日は、ガラスドローイングの企画もあるようなので、そちらもぜひ。

編集後記

WBCに全く興味がなかったのですが、チェコ政府観光局の方から「今回初出場するチェコ代表チームの試合を観に行きませんか?」とお声がけいただき、急遽東京ドームで野球の試合を観戦することに。何も知らないまま試合を見に行くのは失礼だろうと思い、事前にオンラインでチェコ戦の試合を鑑賞しながら、選手やチームについて調べていたらとても面白くてハマりました。チェコチームの大半の選手が、他に仕事をしているのですね。監督はお医者さんだし、選手は学校の先生や、電気技師、消防士、歯科医、営業マン、不動産業や監査役なんて人もいたりして。学生として大学のチームでプレイしている人もいるし。引退したのにこの試合のために連れ戻された選手や、PRを担当する予定が選手として参戦することになった選手などなど。プロフィールがなんかもう、はちゃめちゃすぎてすごいな、と。

東京ドームで韓国戦を観た後、夕方からチェコ共和国大使館で開催された懇親会にも参加させてもらい、選手を囲んで雑談したり、キャプテンのジーマ選手と一緒に写真を撮ってもらったりなどしました。選手との距離がこんなに近いとは。一気にチェコの野球選手たちのファンになりました。

【Edge Rank 4月号】この本のこと

なにやらここ5年ほど毎年恒例のようになっていますが、またこの春の季節にKindle本をつくっていて、もうすぐ完成する予定。その流れで、来週は「本づくり」をテーマにした勉強会を開催します。そんな中、ビブリオバトルに参戦したり、お気に入りの本を持ち寄って屋上で焚火を見ながら語る会に参加したり、手づくりの本の作品展をブックカフェに見に行った後に自分でも文庫上製本にチャレンジして手製本の面白さに目覚めたりもしていて、このところ本にまつわる活動が多めだなぁと思っていたら、今月のEdge Rank共通テーマは 「本」ということで。ちょうどぴったり。それでは、Edge Rank 4月14日号、日曜アーティスト TOMAKIの回です。

何度も読み返す『アルジャーノンに花束を』

もともと本が好きなので。子どもの頃から多読濫読でいろんな本を読みまくってきました。小学生の頃は月に一回やってくるマイクロバスの「移動図書館」が楽しみで、絵本や児童書など月替わりでいろいろ借りつつ。中学で面白い国語の先生と出会ってから読むだけでなく書くのも好きになり。高校時代は休み時間はもっぱら図書館が居場所でした。実は、高三の秋に大学受験を放り出していきなり行ったこともないアメリカへの留学を決意したのは、当時の担任の先生に「本はいつでも読めるんだから、受験勉強に専念しなさい」と言われてカチンときたが理由のひとつだったりします。

受験勉強と読書、どっちが大事かと言えば、僕にとっては読書だったんですよね。人生の大切なことは、みんな本から教えてもらったから。今しか読めない本ってあると思うのですよ。そんなわけで、地元の国立大学を受験する予定で高三の10月くらいまで普通に模擬試験を受けてましたが、そこから完全に留学へと切り替えました。

ちょうどその当時、英語の勉強をするために英語で書かれたペーパーバックの小説を何冊か買いました。その中のひとつが1966年にアメリカの作家ダニエル・キイスによって書かれたSF小説『Flowers for Algernon(アルジャーノンに花束を)』でした。主人公のチャーリー・ゴードンは、普通の人よりも知能は低いですが、みんなに愛されつつ、時にはからかわれたりもするけど、まじめにパン屋で働く青年。ある日、頭が良くなる手術を受けます。この小説は、彼がその手術後に書いた日記の形式で進行していきます。

最初は子どもの作文のような文章だったのが、だんだんと語彙が増えて表現も豊かになり、知的で洗練された文章になっていくんです。その時ちょうど僕は留学のために英語の勉強を頑張っていたのですが、まだまだ英語力が足りなかったために途中でチャーリーの書く日記の英語レベルに追いつかなくなり、分からないながらもなんとか頑張ってその本を読破したのを覚えています。僕にとってこの本は、英語の原書で読みきった最初の長編小説です。

2回目にこの小説を読んだのは、僕が留学をしてアメリカに住んでいた頃。その頃には、自分の英語もだいぶ上達していて、大学レベルの授業も普通に理解できるようになっていました。なので、その時はチャーリーが知能の絶頂に到達した際の文章もわりとすんなりと頭に入ってきて(読んだのが2回目だったというのもありますが)、まるで自分もチャーリーのように頭が良くなる手術を受けたかのように錯覚して愉快でした。

以来、定期的に何度もこの本を読んでいます。そのたびに、自分が共感できる部分が変わったり。新しい発見があったり。違うところで感心したりなど。25年前に読んだのはペーパーバッグでしたが、最近は電子書籍でも読むことができたり。Audibleの音声ナレーションではウォーキングをしながら耳で読書ができるので良いですね。

ちょうど先週末、神田小川町にある「優美堂」でお気に入りの本を持ち寄ってプレゼンをする「ビブリオバトル」のイベントに参加してこの本に関する上記のような思い出をプレゼンしました。今でも時々読み返す、個人的に思い入れもあってとても好きな本です。

旅をしながら読む『檸檬』

もうひとつ、たびたび読み返す本があります。梶井基次郎さんの『檸檬』という短編小説があり、その作品名を掲題にした短編小説集の本。

一番最初にこの本を買ったのは1998年頃、ロサンゼルスに住んでいた時にリトル東京の古本屋さんだったと思います。今でも手元にあるのですが、昭和25年に発行され、昭和35年に9刷として出版された文庫本で、表紙や本文がすっかり日焼けで変色していて古い紙の匂いがします。旧仮名遣いで、改行が少なめの文体で細かい文字がびっしりと印字されている、いかにも昭和という感じの本です。

僕はこの本がとても気に入っていて、旅行をするときなどによく持ち歩いていました。短編集なので、ちょっとした隙間時間に読みやすいんですよね。表題の『檸檬』の他にも、複数の短編小説が収録されているのでどこからでも読める。文庫本なので小さくて持ち歩きにも便利で、旅のお供という感じいろんな旅に連れて行って、新婚旅行のモルディブなどでも海に浮かぶコテージで読んだりもしつつ、いつの間にか「旅と言えばこの本」というような感じに。

ある時、福島へ旅行した時だったと思うのですが、この本を持っていくのを忘れたんですね。そしたら、旅先でなぜか無性にこの本が読みたくなってしまって。駅の本屋さんで探して、『檸檬』の文庫本を新たに買ったということもあります。

その後、Kindleでも購入したので、本を忘れてもスマホがあればいつでもどこでも読めるようになりました。昨年、神田小川町にある三省堂書店本店仮店舗で、きれいなレモン色の特別カバーの本が売られているのを見つけて、思わずそれも買ってしまい、また家にある『檸檬』が増えてしまいました。

本づくりを学ぶ勉強会(電子書籍と手製本)

2月頃から、本に関する個人的な思い出をnoteで書き綴っていて、その中でも『檸檬』や『アルジャーノンに花束を』に関する記事を書いて投稿しているのですが、その記事数がもう少しで30本になります。これが40本に達したら電子書籍にまとめて、Kindleで出版しようかなと思っています。

「この本のこと」というタイトルで、noteのマガジン機能を使って記事をまとめていますので、よろしければどうぞ。有料のマガジンですが、無料でもだいたい読めます。

そして今回も、本づくりに使用した原稿や、表紙のデータ、プロジェクト管理に使ったnotionや、データづくりに使用したGoogleの無料ツール、スマホで執筆・編集する方法なども含めて、全部まるっとシェアする勉強会を開催します。

「本づくりを学ぶ勉強会」ということで、2018年から毎年開催しているもので、その勉強会に先立っていつも本をつくっています。なるべく簡単に、手間をかけずに、つくりたい本をつくるというもの。そのやり方のヒントを参加者のみなさんと共有しています。

今年はさらに、最近私がハマっている「手製本」のワークショップも組み合わせて、デジタルの本だけでなく、リアルな紙の本を自分の好みにリメイクするというのにもチャレンジする予定です。「文庫上製本」というスタイルで、文庫本をハードカバーにカスタマイズする工作ワークショップ。さてさて、うまくいくか。今、準備を進めています。

改めて思うのは、私は本が好きです。読むのも、そしてつくるのも。そういえば、学生の頃に製本工場でバイトをしていたこともあります。あれも、いわば本づくりでしたね。大学でアートを専攻した際に、写真や版画、紙づくりなどを学んだのも、本づくりに生かせそうだなと思います。

あらめて、本って人間が生み出したすごい発明であり、奥の深い文化だなぁと思います。

=== 今月のテーマであなたも書きませんか? ===
今月のEdge Rank共通テーマは 「本」 です。4月23日に「サン・ジョルディの日」があるの、ご存じですか?親しい人に本を贈る、スペイン・カタルーニャ地域に伝わる風習らしいですよ。それに敬意を表し、Edge Rank関係者がどんな本に興味を持っているのかを確認すべく、共通テーマにしてみました。気になっている本、ぜひ教えてください。書籍の形をしているもの、電子書籍、雑誌、フリーペーパーもよしとしましょう。どんな文字や写真に興味があるのかな。
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編集後記

両親が今年結婚50年で「金婚式」ということで、そのお祝いに久しぶりに長瀞の実家へ帰省しました。せっかく来たので、秩父のパワースポットを訪れようかなと思い、とりあえず宝登山神社に参拝してロープウェイで山頂と奥宮に行くところまではなんとなく計画してましたが、その後は行き当たりばったりで次の目的地を目指しながら移動していたら、なんと秩父神社と三峰神社の両方を訪れることができ、1日で秩父の三大パワースポットをコンプリートできちゃいました。しかもこの日は、一粒万倍日だったらしく、なにやらものすごいご利益がありそうです。

【Edge Rank 5月号】書くこと

普段わりとどんなお題でも私はそれなりにスラスラ書けるのですが、今月のテーマが「だらだら」と聞いて、「はて、何を書こうか……」と少し書く手が止まりました。なにを書けばいいかなぁ。

学生時代から毎年100本以上映画を観ているので、そのことについて書きはじめてはみたものの、「なんか違うな」と思って書いたものをいったん全部消してリセット。さてさて。

そしたらゆうせいさんが「だらだらとエッセイを書いてみようと打ち始めた」と書いていたのを読んで、なんてことはない、いつも私はだらだらと書いてるなぁと気づいたので、いつもどおりそのままに書いていきます。

今月の共同noteマガジン「Edge Rank」の共通テーマは「だらだら」です。

わりといつもなにか書いてる

書くことが好きというか、それがもう習慣としてライフスタイルの一部となっているので、ブログなりnoteなりSNSなり手元の紙などに、暇さえあればなにかしら書いてます。つい先日も、自分にとって思い入れのある本について2か月間くらいコツコツとnoteに思い出を綴って、それを電子書籍にまとめてKindleで出版しました。

好きな本について、自由に書くというのはとても楽しかったです。本のあらすじや感想を書くというよりは、自分がその本と出会ったいきさつや、本にまつわる個人的なエピソードなどを書きました。なのでところどころ、ピックアップした本と全然関係のないことを書いていたりも。締め切りも文字数制限もない中、とりあえず40記事を目標にnoteにコツコツと原稿を書いて、それをGoogleドキュメントで校正・編集して、ちゃちゃっと本にして出版。そして、その作り方をまるっと共有するための勉強会も開催しました。そんな遊びを2か月間、楽しかったです。

書くということが「癖(へき)」であり「質(たち)」であり、思考をまとめたり考え事をしたりするときのツールであるのと、活動や行動をアーカイブとして残すための記録手段のひとつでもあり、まぁとりあえずなんとなく目的がなくとも気づいたらやってるみたいな感じなので、いつもなにかしら書いてます。

ブロガーとして

かれこれ10年くらい前ですが、「ケータイ会議」っていう、富士通製の携帯電話をみんなでブログにレビュー記事を書くっていう不定期開催プロジェクトがあり、私も2010年から参加していました。当時私はブログを書いていましたが、いわゆる日記やジャーナルの延長でしかなく。そのプロジェクトがきっかけでいろいろなブロガーさんと出会って一緒に活動するようになり、「ブログって面白いなぁ」と思うようになり自分でも積極的にブロガーという肩書きを名乗るようになりました。ブロガーイベントやブロガートリップ、ブロガー同士の交流会にも参加するようになり、ブロガーさんの知り合いもどんどん増えていきました。

ブログを書いていたおかげで、カナダへオーロラを観に行ったり、ニュージーランドの温泉湖を訪れたり、翻訳ガジェットをレビューを書くために韓国を訪れたりもできました。現在、「チェコ親善アンバサダー」としてチェコの魅力を伝える活動をして5年目になりますが、もとはといえば、2016年にブロガーツアーでチェコを訪れたことがきっかけ。

昨年東京マラソンを完走できたのも、やっぱりそもそもはブロガーイベントのおかげ。2913年にアクエリアスのブロガーイベントに参加して、元オリンピック選手の市橋有里さんと一緒に走ったことがきっかけで、最初は5kmのマラソン大会に参加し、その後10km、20kmと順調に距離を伸ばし、とうとう昨年42.195kmのフルマラソンの大会に出場することができました。あのブロガーイベントがなかったら、こんなにも走ってはいなかったかもしれません。

小型船舶操縦士の資格をとったり、3か月間でTOEICにチャレンジするプロジェクトや、北海道の余市でウイスキーをつくるという企画まで、ブログを書いていたおかげでいろんな体験をすることができました。

そんな流れで、「ブロガーズフェスティバル」の実行委員長でもある奥野さんとも知り合いになり、共同執筆スタイルのこの「Edge Rank」にこうして書かせてもらっている、と。ご縁って、面白いなぁと思います。

=== 今月のテーマであなたも書きませんか? ===
今月のEdge Rank共通テーマは 「だらだら」 です。5月 を含む言葉の中に「五月雨(さみだれ)」というものがあります。これ、なんとなくだらだら続くことのたとえ、らしいんですよね。
やめたいのに止まらない、なんとなく続いてしまう。特別愛していないけれど絶対手放す気にならない。そんな付き合いのもの・ことってありませんか?そんななにかを知りたいです。
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編集後記

五月の雨の週末。13日の土曜日は東京をぐるり50km歩く、「東京エクストリームウォーク50K」というイベントに参加しました。昨年は同じイベントのエキスパート部門で100kmを歩いてたので、今回の50kmは終始楽しく快適に歩けました。ちょっとだけトリッキーだったのは、その翌日に神田祭の宮入りで御神輿を担ぐことになっていたこと。雨が降ったり止んだりの週末でしたが、50kmウォークも、神田祭も、無事に両方とも参加することができて良かったです。月曜からの筋肉痛が激しいですが。

【Edge Rank 6月号】平日と都市の生物多様性

6月は、祝日がない。5月のゴールデンウィークが終わると、7月の海の日までずっと曜日通りに「平日」と「休日」がひたすら10回も繰り返される。休みの日を待ちわびる者にとって、2か月以上も祝日がないなんてたまったもんじゃない。まぁ私は、来週有給を取りますがね。

というわけで、Edge Rankの今月の共通テーマは「平日」です。

日曜アーティスト

私は、「日曜アーティスト」を名乗って週末に趣味の創作活動をしています。平日は、ひたすら仕事漬けの日々。なので、週末と平日とでは活動内容も性格も感情もまるっと入れ替わるという、まるで二重人格のような生活を送っています。週末のクリエイターとしての人格を主軸として考えるなら、平日はずっと眠っていて、土・日・祝日にだけ目を覚ますというような感じですかね。

金曜の夜に「さてさて」と目を覚まし、土曜日と日曜日に目一杯あれやこれやと活動し、日付が変わって月曜日になった頃に週末を振り返りながらまた「やれやれ」と眠りにつく。もちろん祝日を待ち焦がれてますし、必要であれば有給を取って趣味の活動に充てることも。隙間時間を制作に充てるので、平日でも会社終わりや、通勤時間などの隙間時間などにスマホで書き物をしたりなども。この文章も、朝の通勤電車の中で書いています。

平日の仕事と、週末の活動とかもう少し近づけば良いのにと思わないでも無いですが、まぁそれはそれ。平日の仕事がきつければきついほど、そのストレス発散のために週末はとことん自分の好きなことに没頭するなんてこともあって。そんなわけで平日も、悪く無いなと思うのです。

nl/minatoの活動

5月から10月にかけて、オランダ大使館の支援で港区で行われる地域と社会課題をテーマにしたワークショップ『nl/minato』というプロジェクトに参加しています。会場は港区芝浦にあるSHIBAURA HOUSE。5月にキックオフがあり、基本的に隔週水曜日の夜に集まっています。

2019年に初めて参加した時は、「オルタナティブな未来」をテーマに、いろいろな人にインタビューをしつつその内容を分析しつつレポートにまとめました。二度目の参加となる今年のテーマは、「生物の多様性」。10月までの約半年程の間にミートアップや取材やリサーチなどのアクティビティを経て、最終的にレポートを作成して発表という流れですね。テーマがとても広いので、ふとするとなんでもありな感じになってしまうのですが、とりあえず港区というエリアに絞って都市の中の自然という風にとらえると、それなりに見えてくるものがあるかな、と。図書館から生物多様性(biodiversity)について書かれた本を借りて読んだり、街を歩きながら都市の中の自然や生き物を探したりなどしています。

そんな中、いくつかお勧めの本を見つけましたので、ここで紹介しますね。

図解で分かりやすく、生物多様性についての情報が広く的確に網羅されています。このテーマについての入門書として、14歳だけでなく大人が読んでも勉強になります。

生物多様性について本を読んだりなどして調べていると、よくこの『沈黙の春(Silent Spring)』という本と、著者のレイチェル・カーソンさんが出てきます。今から60年も前に書かれた化学薬品による自然破壊をテーマにした先駆的な本です。

今回のプロジェクトにぴったりな本。都市の生物について、オランダの学者さんが書いた本です。図書館で借りて読み始めましたが、内容が面白いので同じ本をネットで注文し、さらに英語版を電子書籍で購入しました。

5月にキックオフした今回のプロジェクトは、全体のスケジュール的にはまだ序盤といったところ。先週6月7日は、Open Greenという台北における行政と民間による地域活性化と緑化を含む都市計画の事例を現地の担当者の方とオンラインでつないで学びました。次回は、7月1日に外に出てフィールドワーク。10月まで、活動が楽しみなプロジェクトです。

=== 今月のテーマであなたも書きませんか? ===
今月のEdge Rank共通テーマは 「平日」 です。いつからか忘れましたが、7月に海の日、8月に山の日ができてから、12ヶ月の中で唯一祝日のない月は6月だけになってしまいました。子供の日のあと、海の日までの2ヶ月半ほど、日本人は祝日なく過ごさなければならないんですよ。
そもそも7月や8月なんて夏休みもあるのに、ずるくありませんか?(何が?)
3連休も飛び石連休もない6月だからこそ、平日に思うことは何かあるはず!そんな何かを教えてください。
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編集後記

25年ぶりに、大学の恩師に東京で会いました。実際にこの先生の授業を受けたのはたった2週間だったのですが、このクラスのおかげで自分の人生が変わったと言っても過言ではなく。卒業直後にホームレスになりながらアメリカの西海岸で就職活動をしていた時に、なんとか仕事を手に入れることができたのは、この先生のクラスを取った時の作品が私の就職活動時のポートフォリオに入っていたから。改めて、その時の体験や、「今も元気にやってますよ」というのを直接伝えることができて嬉しかったです。

【Edge Rank 7月号】日比谷公園を散策

今月のEdge Rank共通テーマは 「行楽(こうらく)」 です。行楽とは、山野などに出て遊び楽しむこと。私は、この言葉を聞くと「物見遊山」を連想します。モノを見て、山野で遊ぶこと。私が企画している7月の遊びの集まりがこれにぴったりなので、ちょっとご紹介します。

日比谷公園パブリックアート散策

今週末、日比谷公園でパブリックアートをテーマにした散歩の企画をやります。きっかけは、6月に日比谷公園内にある日比谷図書文化館で開催されたトークイベント。『タダで観られるけど、タダならぬアートの世界 パブリックアートを見て歩こう』に美術ライターの浦島茂世さんがご登壇され、「パブリックアート」について講演してくださいました。パブリックアートはなにか?というところから、その歴史や変遷、日比谷公園に置かれている作品の解説や考証まで。ネットの情報を鵜呑みにするのではなく、きちんと作品を観察して、さらに国立国会図書館などで資料を参照しながら作品のストーリーを解き明かす過程がすごく面白かったです。いろいろな作品があって、それぞれにストーリーが存在するのだなぁ、と。

ご興味ある方は、こちらの浦島さんの本もぜひ。

それ以降、ひとりで何度か日比谷公園を歩いて、そこに設置されている作品やオブジェなどを見て回りました。いろいろ発見があったり、調べていくうちに今まで気づかなかった繋がりなどが見えてきました。「これをみんなで見て回ったら面白いだろうな」と思い、今回の散歩を企画しました。日比谷図書文化館のセミナールームで軽く座学をした後、一時間半ほどゆっくりと日比谷公園を歩きます。

スペシャルゲストに、浦島茂世さんもいらっしゃいます。個人的にも、とても楽しみな企画です。知人のみにお声がけしている、クローズドの散歩イベントです。

登らない山登り

ライフワークというと大げさですけど、私は勝手に「アーバンアルピニスト」という肩書を名乗って、なんとなく時間があると都内近郊にある富士塚や低山などを訪れています。いかに登らずに山に登るかが、アーバンアルピニストのチャレンジです。

エスカレーターで登れる愛宕山や、モノレールで登る飛鳥山など、登らずに登頂できる山がいろいろあります。青山や代官山なども単なる地名ですし、山の手という呼称も海側から見た起伏の高い方向といったくらいの意味ですので、こちらも本当の山ではありません。山の方には武家屋敷や徳川家の敷地などがあったため、今でも山の手には高級住宅地や大きな公園があったりします。

そんなわけで、品川や神田などで私は「登らない山登り」の街歩き企画を時々やっているのですが。実は日比谷公園にも山があります。つつじ山と、三笠山。どちらも、山というには低すぎる、小さな山。もちろん、国土地理院的にはこれは山とは分類されません。この2つの山も、7月22日の日比谷公園散策の際に立ち寄る予定です。

石貨と埴輪と欄干柱と

日比谷公園には、野外彫刻の他にもいろいろなオブジェやモニュメントが置かれているんですよね。浦島さんの講演に参加した後、ちょくちょく日比谷公園を訪れて散策をしているのですが、毎回なにかしら新しい発見があります。石の貨幣や宮崎の埴輪、銅像やモニュメント、橋の欄干柱、石碑や遺跡、南極の石まで!また、公園内に設置されている「思い出ベンチ」には、それぞれ真鍮製のプレートがはめ込まれていて、そこには寄付者のメッセージが書かれています。これを読みながら歩くのも面白いですよ。

ペリカンの噴水や、テントウムシの街灯、自由の女神やキリンの像、ムッソリーニが寄贈したというオオカミの父を飲む幼い兄弟の像など。さて、パブリックアートとそうでないものとの境界線とは?

それをみんなで話しながら、日比谷公園を散策したいと思います。たぶん、明確な答えはないと思います。いろんな意見があって良いと思うし、正解はひとそれぞれ。あえて明確な線引きをせずに、グレーな部分をそのまま受け入れて、参加者みんなの意見を尊重しながら、対話をしながら散歩ができればよいなと考えています。

当日の見どころなど、こちらのnoteマガジンにも書いてまとめています。

=== 今月のテーマであなたも書きませんか? ===
今月のEdge Rank共通テーマは 「行楽」 です。海開き。山開き。海の日。夏休み。7月は行楽が始まる月です。日常の生活と仕事以外の何かである「行楽」。この夏何をしたいですか?
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編集後記

6月30日から7月2日までの3日間、銀座にある築90年超えの奥野ビルにて、銀座たてもの展主催の「中銀カプセルタワービル」をテーマにした作品展に参加させていただきました。いつもの名刺サイズの版画作品を60点ばかりつくって展示。他にも、AIナレーターに黒川紀章さんの「カプセル宣言」を朗読させたり、2019年にカプセルに滞在していた頃につくったハンコやスケッチブック、復刻版の名刺などを展示。銀座のユニクロで購入できるカプセルロゴ入りのTシャツとトートバッグも参考出品。最終日には、アーティストトークも行いました。準備も含めて怒涛の一週間でしたが、たくさんの方にご来場いただき、新たなご縁も広がって、とてもよい経験になりました。またぜひやりたいですね。

【Edge Rank 8月号】日曜マルシェでのんびり

成功したと思ったらずるずると落ちていったり。あるいは失敗したと思っても長い目で見たらそれも成功へのステップだったりと。案外わからないものだなぁ、と。諦めたら試合終了だけど、受け入れたらそこからまた進めるわけで。頂上目指して上っていくのも大事だけど、下っていく景色もまた楽しみつつ。ぴよーんと飛んで、また別の山を目指したりね。

8月6日の日曜日に、港区にあるSHIBAURA HOUSEにて開催された「日ようのマルシェ」に出店しました。青梅で採れた有機野菜などが売られている会場で、私は小さな名刺サイズの版画作品を展示・販売しました。ギラギラした太陽が照り付ける真夏の暑い日で、かつ午後には突然の土砂降りもあったりして、そんな天気のせいかお客さんはまばらでした。

会場は室内で、クーラーも効いていたので、くるくると変わる外の天気を窓から眺めつつ、日がな一日のんびりとしておりました。

結局、用意していった作品は1点も売れず。出店者同士でおしゃべりをしたり、「版画をつくってみたい」という方に、その場でワークショップを体験していただいたり。そんな感じでゆったりとした一日を過ごしました。自分の作品を展示しつつ、作り方を教えつつ、ひとりひとりとじっくり会話を楽しむ。空いている時間には、その場で追加の作品をつくったりなどして、とても幸せな時間を過ごすことができました。

収益的には大赤字です。でも、自分の中ではこの上ないほど大成功の企画でした。こんな素敵な日曜日を過ごせたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。

「〇(マル)」と「×(バツ)」

テストの解答用紙の添削。「〇(マル)」が正解で、「×(バツ)」が不正解ってのは日本では当たり前ですけど、海外の人には通じないことが多いんですよね。「△(サンカク)」が惜しい、半分正解、ってのも全然通じない。国によって、採点の時に使う記号は、いろいろあるみたい。

アメリカに留学していた頃、採点済みの解答用紙を受け取ったら、丸が一個もなくて。斜線とバッテンだけなので、ぱっと見「全問不正解か!」と思いきや、斜線はチェックマークで正解を意味していて、バツ印の方が不正解だという。

韓国は、日本と似ているようですね。〇と×、そして半分正解を意味する△も、日本と同じように使えるようです。

中国は、アメリカと同じでチェックが正解で、バツが不正解を意味しますが、間違った箇所にマル印を付けて訂正するというケースもあるそうで。その場合は、マルが付いている箇所が不正解という。なんと、真逆ではないか。

イギリスは、そもそも正解にはマークを付けず、不正解の部分にだけバツをつけたり、マイナスの点数を書き込んだりするそうです。正解してもマルもなにももらえないのは、なんか寂しい。

解答用紙に大きな花丸をもらって嬉しかったというのは、どうやら海外の人には共感してもらえないみたいですね。

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今月のEdge Rank共通テーマは 「X」 です。タイミング的に派Twitterから名前を変えたSNSが旬ですが、そもそもXという言葉にはいろんな意味がありますよねえ。10を表したり、未確定(未公表)だけど期待をあおる誰かだったり、正体不明の怪人だったり、野球のサヨナラゲームだったり。みなさんが気になっている「X」はなんですか?ぜひ教えてください。
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編集後記

10年ぶり2度目の尿路結石を発症。経験した人にはわかる、この痛み。三連休の間ずっと、ひたすら悶絶しながら痛みと戦っておりました。石はいったん膀胱に落ちたらしく、痛みはいったん引きましたが、まだ体外に出た様子はないのでこれからもうひと悶絶があるのだろうなと怯えつつ。水分をこまめに取りつつ、夏を元気に乗り切りましょう。

【Edge Rank 9月号】砂漠の星空

1994年から98年までの4年間、僕は砂漠に住んでいた。正確には、砂漠地帯につくられた人工の街。アメリカのネバダ州にある、砂漠気候のReno(リノ)という都市で、そこにある州立大学に通っていた。

街の中心部をちょっと離れると、西部劇に出てきそうな荒野が広がっている。実際に、この付近では1850年代頃から金や銀が採掘され、一攫千金を夢見る人たちが集まる街でもあった。現在は、カジノがメインの産業。砂漠気候のため、空気が乾燥しているので、お菓子の袋を開けっぱなしにしていても湿気ることがない。干し椎茸を日本から持ち込むと、さらにもっとカラッカラに乾く。夏の暑い日は、自然発火で山火事が発生することがある。そんなわけで、この地域では花火が法律で禁止されている。

私が住んでいたリノのダウンタウンから、車で40分ほど行ったところに、「Pyramid Lake(ピラミッド レイク)」という名の湖がある。面積が487平方キロメートルもあり、サイズ的には琵琶湖の三分の二くらいの大きさ。日本で二番目に大きな湖である霞ケ浦の約3倍くらい。まぁ、とにかく大きな湖が、ハイウェイを走っていると荒野の真ん中に突然現れるのだ。トラッキー川から水が絶え間なく流れ込んでいるのだが、ここから流れ出る川は存在しない。一方的に水が流れ込みそこで蒸発していくため、長い年月をかけて次第に塩分濃度が高くなり、現在では植物の育ちにくい塩湖になっている。

砂漠のため湿度が低く、空気中にさえぎるものがないのと、周りに人工的な光源も少ないため、夜になると信じられないくらいびっしりとたくさんの星が見える。最初にこの星空を見たとき、あまりの迫力に怖くなった。今まで、夜空にこんなにもたくさんの星が存在しているなんて知らなかったから。高いところに上ると恐怖を感じるが、それと同様にあまりにも壮大な星空を目の前にすると、得体のしれない怖さを感じるってことを初めて知った。

地球上の、すべての空はつながっている。でもその空の見え方は、それぞれみんな違う。いろんな国や地域で、また空を見上げてみたい。

=== 今月のテーマであなたも書きませんか? ===
今月のEdge Rank共通テーマは 「空」 です。9月20日は空の日。Twitter(現X)のライバルSNSとして登場したのはBlueSkyと、空が身近な今日この頃です。
そら、から、くう、あき。「空」という字にもいろいろな意味があるものです。あなたの「空」をぜひ教えてください。
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編集後記

週末に撮った写真。東京ビエンナーレ2023のプロジェクトのひとつ、「スローアートコレクティブ:Slow Art Collective Tokyo」の展示設営のお手伝い中に、脚立から空を見上げて撮りました。

いよいよ東京ビエンナーレ2023の秋会期が始まり、成果展示がはじまります。私は、ボランティアとしてこの「スローアートコレクティブ」と、「私たちは、顔のYシャツ」、「天馬船プロジェクト」などをお手伝いしています。会場で、作品をつくったりワークショップを開いたりなどもする予定。ぜひ遊びに来てくださいね。

【Edge Rank 10月号】再び動きだす

再び動き出した中銀カプセルタワービル

10月7日、松竹による新しいクリエイティブスペース「SHUTL(シャトル)」がグランドオープン。この施設の特長は、昨年解体された中銀カプセルタワービルのカプセルユニットがそのまま施設の一部として設置されていること。メタボリズム(新陳代謝)をテーマとして、1972年に黒川紀章さんが思い描いたカプセルの循環と代謝の仕組みとはちょっと違うだろうけど、これはこれでありだと思うのですよ。もともとツインタワーに140個のカプセルが連なりくっついていた複合カプセルタワー。昨年解体された際に、そのうちの23ユニットが救出され、保存・再生された後に日本だけでなく世界各地に旅立っています。いよいよ、本格的に動き出したカプセル。次は、どこに向かうのか。まずは、和歌山県立近代美術館に展示されているカプセルと、サンフランシスコ近代美術館に収蔵されるカプセルは、観に行こうと思っています。

2回目の東京ビエンナーレ

9月下旬より、東京ビエンナーレ2023の秋会期が始まっています。都内の千代田区・中央区・文京区・台東区の約40か所の会場で、各アーティストさんたちがいろんな展示やプロジェクトを公開していますよ。第2回目となる今回の東京ビエンナーレのテーマは「つながり」です。私も、ボランティアであちらこちらのプロジェクトをお手伝いしたりして、楽しんでいます。

今月の9日と、15日は、有楽町の「Slit Park」で、工作ワークショップの先生役をしていました。「Slow Art Collective」という、オーストラリアのアーティスト二人組、加藤チャコさんとディラン・マートレルさんのアートプロジェクト。持続可能性や多文化共生をテーマに、竹やロープなどの素材を使ってクリエイティブな空間をみんなでつくりあげます。私のワークショップは、この会場設営にも使った竹を使って、幾何学的な立体のオブジェをつくるというもの。完成した作品は、会場に飾っても良いですし、おうちに持ち帰ってもOKです。

次回は、10月28日(土)12:30–15:30 に、丸の内仲通り UrbanTerrace 二重橋ビル前で開催します。

他にも、「顔のYシャツ」の会場施工やグッズづくりのお手伝い。

「天馬船」の1万艘の小舟を運び、旗付けをするなどもしています。

アートの祭典を半分裏側から見られるので面白いです。週末に時間を見つけて、いろんな会場を移動してハシゴをしながら、作品を通したコミュニケーションやつながりを楽しんでいます。

今年も100万歩を目指して

今月のEdge Rankは「動く」が共通のテーマです。私は、毎年9月から12月にかけて、よく歩きます。100日間で100万歩を目指すというチャレンジを続けていて、今年で10回目。昨年だけコロナ罹患のため期間内に達成できませんでしたが、「ロスタイム」を勝手に設けてなんとか賞味100日では達成。それ以外の年は、コンスタントに100日以内で100万歩を歩いています。

普段は、会社員としてパソコンの前でずっと仕事をしているので、意識しないとなかなか1日に1万歩は歩けないのですよね。1日さぼると、あっという間にきつくなってくるので、日々の継続は大事だなと思います。

それと並行して、いよいよ来月は待ちに待った「越後謙信きき酒マラソン」が開催されるので、それに向けて走るトレーニングも増やしつつ。走ったり歩いたりしつつ、体を動かすのを習慣化していきます。

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今月のEdge Rank共通テーマは 「動く」 です。熱中症を気にせず動きやすい気候に、ようやくなってきました。近年の酷暑は、夏隠りを誘発させますものね。これからスポーツしたり旅行したり、アクティブになる人も増えるかもしれません。あなたの「動く」を教えてください。
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編集後記

今月はわりとあちこちでワークショップを開いたり作品をつくったり「つくる場」というのをテーマに自分の作品を制作したり、周りのプロジェクトのお手伝いなどをしています。「日曜アーティスト」なので、お金も名声も権力もちっとも関係ないところで、好きなように作れるのが楽しいです。
今週の土曜日は、横浜のくるり工房で「古布で文庫本をリメイク」というワークショップをやります。アップサイクルをテーマにした、素敵な工房スペースですので、ぜひ遊びに来てください。

【Edge Rank 11月号】レコードを聴いたり

デジタルとアナログについて

なんとなく「デジタル」って聞くと、パソコンやスマートフォンなどのIT機器を駆使してインターネット経由でオンライン上の仮想空間であれこれやってるイメージ。なので「ソロバンもデジタルだよ」って言われると、「えっ、どういうこと?」となる。電子化、イコール、デジタル化っていう通念自体は大きく間違ってはいないのだけど、データをコンピュータで処理しやすいように区切って数値に落とし込むのがデジタルなわけで。コンセントにつながっていないデバイスでも、ソロバンのように数値を区切って計算する機器はデジタル計算機である。計算器が電気で動くかどうかに関わらず、計算の仕組みによってデジタルになったり、アナログになったりするというわけだ。

まぁでも、だいたいにおいて「コンピュータ=デジタル」という認識が浸透していて、電子機器を通さない現実世界がおしなべて「アナログ」であるととらえられるので、そんな感じの解釈でも良いんじゃないかなと思う。

今回のEdge Rankのテーマは、「アナログ」について。

アナログレコードを聴く

子供のころによく父親のステレオコンポでレコードを聴いていた。やけにでっかいスピーカーが左右にひとつずつあって、真ん中にはレコードラックとレコードプレーヤーの他に、ラジオやアンプ、デジタル時計などが縦に積み重なっていた。そびえ立つ、巨大な音響機器。昔からわりと音楽が好きでした。特定の音楽が好きというよりも、音楽がある空間が好きという感じで。レコードで童謡やアニソン、クラッシックなど、とりあえずそこにあるものをかけて愉しんでた。

初めて買ったレコードを覚えている。幼稚園か小学校の低学年だったと思うが、レコード屋さんでアニメソングのベスト盤を買ってもらったのだ。「銀河鉄道999」、「宇宙戦艦ヤマト」、「バトルフィーバーJ」などといったテレビアニメの主題歌が入っていたのを覚えている。そのレコードを、繰り返し大事に聴いていた。ジャケットから取り出すときは指紋がつかないようにレコードの中心と端を持ち、スーツに使うエチケットブラシのような形のレコード専用のクリーナーで埃をとってから、プレーヤーにセットしてレコードの針を静かに下す。回転するレコードを眺めているのも好きだった。目に見えないくらい細かい溝の連続が、音楽になるのが不思議だった。

時代はアナログレコードからCDやMDに移り変わり、ダウンロードやストリーミングのデータ配信になるにつけ、レコードやカセットテープで音楽を聴いていたころのことなどすっかり遠い昔の記憶になってしまっていたが。今年の5月にニューヨークの小さなレコード店に密着したドキュメンタリー映画『アザー・ミュージック』の上映会とトークイベントに参加して、再びレコードで音楽を聴くのも良いなと思うようになった。

そのイベントに登壇していたサニーデイ・サービスの曽我部恵一さんが下北沢でレコード屋さんを経営していることを聴いて、わざわざレコードを視聴するためにその店に訪れたりもした(残念ながら、この「PINK MOON RECORDS」という中古レコード屋さんは先月閉店してしまった)。

その後も、横浜のくるり工房でワークショップを開催したときに、工房に置いてあるレコードプレーヤーや年代物の蓄音機でレコードを聴かせてもらったり。東京藝術大学の藝祭で100年以上前のレコードを蓄音機で聴くというイベントがあったので参加したり。そういえば東京ビエンナーレの展示でも、レコードが聞けるコーナーがあった。DJイベントでも何度かレコードを聴いている。現在自宅にはレコードプレーヤーがないが、実はITOCHU SDGs STUDIOの『アートな青果展』でついついレコードを購入してしまった。というわけで、レコードプレーヤーを購入するのも時間の問題だろう。すでに、欲しいプレーヤーの目星もつけてある。

11月18日から19日にかけて南青山の国連大学前で「Analog Market」というイベントが開催されていて、そこで見かけたレコードプレーヤーがかっこよかった。ネットで見かけて知ってはいたのだが、実物を見たのは初めて。クリスマスプレゼントとして、サンタさんにお願いしておこう。

レコードプレーヤーを物欲しげに見つめたあと、「Analog Market」の会場をぐるりと巡っていたら雄勝で大変お世話になったMORIUMIUSさんが出店されているのを見つけた。嬉しくなって、牡蠣のカレーを2種類購入。こういった僥倖に巡り合えるのは、やっぱりオフラインの現実世界ならではの体験だなと思う。

=== 今月のテーマであなたも書きませんか? ===
今月のEdge Rank共通テーマは 「アナログ」 です。AIブームにしてもDXにしても○○テックにしても、今の流行の下支えをしているのは「デジタル」です。
ただし、デジタル化することによって失われたもの・見えなくなったものもありますよね。デジタルが進むことでわかるアナログの良さにうっすら気づいている人もいるんじゃないでしょうか?そんなアナログについて、いろいろ教えてください!
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アナログ人間?

もうすぐ50に手が届く我々世代が小さい頃は、身の回りにパソコンはなく、「デジタル」という概念がなかった。したがって、現実社会が「アナログ」であるという認識もなく、森羅万象はすべてありのままにそこにあった。オンラインがないから、当然オフラインもない。

私が初めてコンピュータを手にしたのは、中学生のころ。誕生日に、ナショナル製のマイコンを買ってもらったのだ。なんと、そのコンピュータには、メモリはあったがハードディスクがなかった。つまり、電源をオンにしている間はプログラミングしたものを保存しておけるが、電源を切るとつくったものがすべて消えるという。ちなみに、別売りでカセットテープにデータが記録できるデバイスが売っていたが、高価なので買えなかった。何時間もかけてポチポチと入力したピンポンゲームが、プレイしている途中に電源が切れて消えてしまった時は、泣きそうになったよね。

大学では、人類学を学ぶ予定がふとしたきっかけでアート学部に転部。陶芸彫刻をメインに、油絵、写真、彫刻、版画など片っ端からいろいろなアートのクラスを取りまくっていたが、唯一在学中に受講できなかったのが「デジタルメディア」のクラス。アート学部棟の中で、唯一入ったことがなかったのが、デジタルアートを制作するための機材が置いてあるコンピュータラボだった。ネバダ州のリノの大学を卒業して、1年間の就労ビザを申請し、それが届くまでの間少し期間があったので、夏の間だけ「Wall Works」というギャラリーインスタレーションの実践的なアートのクラスを受講した。その時の先生がたまたまデジタルメディアも教えている方だったので、夏の間だけラボの機材を使わせてもらうことになり、その時に初めてPhotoshopを触った。バージョンがたしか3.0とかの時代。まさかそれが、ロサンゼルスでの写真の仕事につながり、その後も日本に帰国してからウェブ制作の道へと進むきっかけになるとは。人生のご縁って不思議だ。

ここから、どっぷりとパソコンとインターネットの世界にのめりこんでいく。平日はひたすらずっとパソコンの前に座ってウェブデザイナーとして外資系企業のウェブサイトをつくりつつ、週末はカメラを片手に散歩しながら写真を撮ったり、それをまた自分のサイトやブログにアップするということを続けていた。趣味でガラケーの待ち受け画像をひたすら作り続けていたこともある。なんだかんだで1万種類くらいつくり、150誌以上の雑誌や書籍で作品が紹介された。

そんな感じでひたすらパソコンで創作活動をしつつ、一方でもっと手を動かして作品をつくりたいという願いから「日曜アーティスト」を名乗って趣味の創作活動をするようになったのが2000年頃。依頼、気の向くままにいろんなものを作り続けている。

先月まで、東京ビエンナーレのいくつかのプロジェクトの施工や、ボランティアサポート、グッズづくりなどをお手伝いしつつ、工作ワークショップの先生役などをしていた。同じく先月は、横浜にあるアップサイクルをテーマにした工房スペース「くるり工房」で、手製本の本づくりワークショップを開催。昨日は、SHUTLで開催された「カプセル声ちゃんのカプセルタワービルデイズ展」の搬出作業をお手伝いしていた。そして、23日からは銀座の奥野ビル306号室で開催される「銀座たてもの新聞展」にまた小さな版画作品を展示販売させてもらうので、残り二日間で全部つくる。

プロジェクト管理やコミュニケーション、制作の一部は積極的にパソコンやスマートフォン、インターネットなどを活用ているが、やっぱり最終的にはリアルな場でいろいろな人と会って、交流して、いろんなきっかけをいただいてそれが広がっていくのが「日曜アーティスト」としての醍醐味。日曜日にいかに作品をつくるかというのも大事だが、そもそも日曜日をどうやって有意義に楽しく過ごせるかを考えて実行するのも大事なわけで。オンライン/オフラインに関わらずいろいろなツールを使い、知識や技術を身につけながら、テクノロジーとクリエイティビティを組み合わせて思いっきり遊ぶ。こんな感じで、一生ずっと学びながらつくり続けるっていうのが、私の人生の目標。

編集後記

今月のテーマが「アナログ」だったので、最後にもうひとつだけ。現在劇場公開されている、ビートたけしさん原作の『アナログ』という映画にエキストラとしてちらっと出演しています。もともと、昨年の夏に「映画に出てみたいな」と思ってエキストラをやり始め、これまでにテレビ番組やミュージックビデオなどにちらっと出演してきました。そして今回、ようやく夢がかなって劇場の大きなスクリーンに、小さくちらっと登場となりました。嬉しいです。

【Edge Rank 12月号】メンターと恩師

先月から、職場で「メンター」をやらせてもらうことになりました。相談ができる先輩、みたいな感じですね。こうした「メンタープログラム」は外資系の企業などでよく採用されている制度で、先輩社員が若手社員と対話を通じてキャリア形成に関する悩みを聞いたり助言をするというもの。いろいろ話を聞いて、一緒に考えて、目標や課題を明確にしつつ本人が取り組むお手伝いをするというような、そんな存在です。若手社員の成長だけでなく、先輩社員も対話を通じて価値観を共有することで気づきや学びが得られます。メンタープログラムへの参加は今回初めてですけど、とてもワクワクしています。

私の恩師

皆さんは、人生に影響を与えてくれた恩師はいますか?

私の場合、大学時代のアートの先生。アメリカに留学して、当初は「人類学部ヒューマンエコロジー学科」で人間社会の文化や歴史、行動様式や言語体系などを総合的に学ぶ気満々だったのですが、このアート学部で視覚基礎を教えていた先生の出会いですっかりアートにのめりこみ、在学途中で専攻を「アート学部陶芸彫刻学科」に変更しました。

どんな先生だったかというと、とにかく型破りな先生でした。アートのクラスだというのにほとんど画材を使わずに、子供が使うようなハサミやクレヨン、のり、定規、鉛筆などといったどこでも買える文房具を使って学生たちに作品をつくらせるという。毎回課題が出て、次の授業までに制作を行います。授業の時間は、それぞれの作品についてみんなで話し合います。課題通りに作品をつくってもよいし、自分なりの解釈で全然違う作品をつくってもよい。自由に課題と向き合い、自分らしい作品を制作する。手を抜くとすぐ見つけられて怒られるけど、きちんと考えてとことん作り込んで作品を持っていくと、課題とズレていても良い評価をしてくれる。これがとても楽しくて、どんどんアートの世界にのめりこんでいきました。

振り返ってみると、僕が好きな先生はいつも型破りな教え方をする先生たちでした。ほとんど教科書を使わない破天荒な中学の国語の先生のおかげで今でも書くことは大好きですし、高三の終わりに環境問題について深く掘り下げた授業をしてくれた生物の先生の影響で自然や環境について学ぶのは好きです。今年は、約半年かけて生物多様性についてリサーチする市民参加型のプロジェクトにも参加しました。

恩師との出会いは、時としてその後の人生を大きく変えることも。

=== 今月のテーマであなたも書きませんか? ===
今月のEdge Rank共通テーマは 「師」 です。12月は師走。お坊さんが走るほど忙しい月というのを、お坊さん=師ということで師走というらしいですね。
そこで、師に関する何かを今月のテーマにします。師匠、先生、恩師などなど、師に関する何かを教えてください!
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内容によってはEdge Rankで取り上げさせていただくこともあります。

編集後記

2023年ももうすぐ終わりますね。年初にかかげた目標がどのくらい達成できたか。1年で50か所以上の富士塚や古墳を巡るという目標はとりあえず達成できました。9月から100日間で100万歩を歩くという企画は今年で10年目。累計一千万歩という区切りの良い年になりました。工作ワークショップや、本づくり、アート作品展、エキストラ、施工のお手伝いなど、今年も楽しい遊びのプロジェクトをいろいろこなしつつ。仕事の方も担当クライアントが変わったりもして充実しています。今年の残り、そして来年も引き続き楽しみながら全力で。

「日曜アーティスト」を名乗って、くだらないことに本気で取り組みつつ、趣味の創作活動をしています。みんなで遊ぶと楽しいですよね。