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白黒写真に色を付けてみると

白黒写真をAIで着色するWebサービスを試してみました。

20年以上前に撮った白黒写真をいくつか試してみました。アメリカ留学中、白黒写真にハマっていて、1950年代につくられた東ドイツ製の骨董カメラなんかをひっぱりだして身の回りの風景や人をよく撮影してました。白黒フィルムで撮影して、現像は自宅のバスルームでやったりも。

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この写真は、20年以上前、福島で撮ったもの。被写体は、妹。当時、僕は20代で、妹はまだ10代だった。

テクノロジーの力で、白黒写真がカラーで蘇るって、なんかすごい。

サンフランシスコの海岸で撮った写真

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特に、この写真をカラーに変換した時に、ドキッとした。

1997年1月10日に撮った写真。

その時僕は、15日間かけて北米大陸をぐるりと巡る旅をしていた。ネバダの大学に留学していた頃、当時住んでいたリノの街を起点にして、アムトラックの鉄道列車に乗り込んでまずはシカゴへ。アメリカがどのくらい広いかというと、リノからシカゴまでは列車に乗ったまま二泊三日かかる。つまり、その間ずっと列車に乗りっぱなし。でも、全然たいくつしないんだよね。広々とした座席で、音楽を聴いたり、本を読んだり、車窓を眺めたり。食堂車もあって快適。席に座ったままうたた寝をして、ふと目が覚めたらそこがロッキー山脈だったときは、めちゃ感動しました。

シカゴで一泊し、そこからさらに列車で一泊二日しながら南下して、ニューオーリンズへ。同じアメリカなのに、英語のしゃべり方やアクセントが全然違うので、聞き取るのに苦労しました。改めて、アメリカって広いなぁ、と。

ぐるっとアメリカを大きく周回しながら、次もまた二泊三日でロサンゼルスへ。さらに、サンディエゴに行って、そこから国境を越えてメキシコのティファナへ。アメリカに戻り、北上してカリフォルニア州のオークランドにたどり着いた時に、トラブル発生。

嵐の影響で、そこから北に行く列車の全てがキャンセルされてしまったのでした。本当は、そこからカナダへ行く予定だったのだが、サンフランシスコで足止め。学生の一人旅で、旅費もギリギリだったのでホテルに泊まるお金もなく。さて、どうしようか、と。

とりあえず、太平洋が見える海岸まで一人でやってきて、「この海のずっとずっと向こうには日本があって、そこで家族や友人が暮らしてるんだなぁ」って思ったら、「オレはここで何をしてるんだろう?」みたいなことを考え、なんだか気分がとても落ち込んでいってしまったのでした。

旅の疲れもあったのかもしれない。電車の中で合計5泊、シカゴ泊、ニューオーリンズ泊、ロサンゼルス泊、サンディエゴ泊。安いホテルを選びつつ、なるべく車中泊でホテル代も浮かせてはいたけど、それでも所持金はもう残り僅か。なんとか、リノに帰らなければならない。

その日見たサンフランシスコの海岸は、どんよりと曇った空の下、灰色の砂浜がどこまでも広がっていて、色が存在しない寂し気なモノクロの景色でした。

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いつもの骨董カメラで、この写真を撮りました。凧が飛び回っている曇り空と、それを見上げる地元の女の子。

すると突然、不思議なことが起こりました。飛んでいるカラフルな凧の色が、パーッと見る見るうちに広がっていって、今まで色が無いと思ったその風景の中に、たくさんの色が存在していることに気づいたんです。

色盲の人が、特別な眼鏡をかけて初めて色を感じた時って、たぶんこんな感覚なんじゃないかと思う。

「世界は、色に溢れている!」

サンフランシスコでの窮地を救ってくれたのは、知人のモデルの女の子でした。もともとリノで、僕と同じ写真の授業を受講してた女性。その後引っ越して、サンフランシスコに住んでいたのです。

「リビングのカウチで良いので、泊めて!」ってお願いしたら、意外にもあっさりOKしてくれて、おかげでピンチを乗り切ることができました。ホント、危なかった。真冬のサンフランシスコで、路上生活はさすがに無理。

その後、その元クラスメイトのモデルの子と、そのお兄さんと、さらにその友人たちと一緒に、サンフランシスコの街を飲み歩いたのですが、その時のエピソードはまた別の機会に。無事に、15日間の旅を終え、リノに戻ることができました。

今回、この白黒の写真をAIを使ったテクノロジーでカラー化したのだけど、まるで23年前のサンフランシスコの海岸で体験したような驚きがありました。で、カラー化された写真を見た後、再度白黒の写真を見てみると、確かにそこに色が存在しているんですよね。モノクロの写真なのですけど、確かに自分の脳内にはそこに色があるように見える。

どん底の時も、見方を変えれば、世界はカラフルに輝いている、と。

実はこの時の体験は、大学卒業後にアメリカ西海岸を放浪しながら、ホームレス状態で「職探しの旅」をすることにつながってるんですけど、その話はまたいつか。



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「日曜アーティスト」を名乗って、くだらないことに本気で取り組みつつ、趣味の創作活動をしています。みんなで遊ぶと楽しいですよね。