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受験生を応援

「大学受験か」と、遠い目で。

私は高校の頃、フツーの進学校に通って、フツーに授業を受け、フツーに受験勉強をしてフツーにどっかの大学に行く予定だった。フツーだったら。

「受験勉強めんどくせーなー」と思いながら、国公立大学を目指してたので五教科を満遍なく勉強してたのですが、高三の選択科目で世界史を受講してるのに受験では日本史を選んだり、書くのが好きだという理由で小論文のクラスを取ってみたり、僕の受験対策はめちゃくちゃだった。塾も予備校もそれっぽいのはいっさい行ったことがなく、高校では図書室で本を読むか放課後陸上部で走っているかの記憶しかない。

陸上部の同年代が高三になって部活を引退した後も、僕は副部長の座を後輩に譲ってのびのびと「陸上八種競技」の大会に出るためにひとりで練習をしてた。その大会も終わり、いよいよ受験勉強に取り組まなければいけないタイミングになっても、図書館で山ほど本を借りて読んだり。受験生らしからぬ態度が目に余ったのだろう、担任の先生から「本はいつでも読める。今は受験勉強に専念しなさい」と言われ、なんだか納得いかないまま、「本を読んだ方が大切なことをたくさん学べるのに」と思いつつ、あたりさわりのない受験対策を少しずつ進めていた。高三の秋。

その頃、「留学」という選択肢が突然現実味を帯びて、英語の授業が大嫌いで海外に一度も行ったこともないのに、「よし、留学にチャレンジしてみよう」と思いついた。受験対策の英語の勉強が嫌いだったけど、言語を身につけたいという気持ちは人一倍あったので、まずは図書館で分厚い語彙辞典を借りてきて、一冊まるごと読破。その後も徹底的に英語を勉強していたら、なぜか他の科目も成績が伸びて、高校で最後に受けた国公立模試では、五教科総合校内トップのスコアだった。苦手科目の英語を克服して、ついでに他の科目も偏差値の10の位が全部ひとつずつ上がってたので、自分でも驚くほど成績が伸びた。

そこで国公立受験をスパッとやめて、留学一本でチャレンジすることを決めた。そこからは、留学のために英語を身につけることだけを目標に学んでいった。

留学に対して、担任の先生は暗に反対しているようだったが、結局最後は納得して応援してくれた。学年で留学を選んだのは、僕だけだった。

その後、当時新宿にあったアメリカの大学の日本校で一年間みっちり英語を学び、翌年渡米。ネバダの砂漠にある大学でアートを専攻することになる。卒業後はロサンゼルスで宝飾アクセサリー専門のフォトグラファーとして社会人一年目をスタートしたのち、帰国後はインターネットサービスプロバイダー勤務を経てウェブ制作の業界へ。ここ10年以上は、外資系の広告代理店グループで多国籍企業クライアントのデジタルマーケティング案件をプロジェクトマネージャーとして担当してる。初海外が留学という突拍子もない選択をしたにしては、わりとまともなところに落ち着いたんじゃないかと思う。GoogleやMicrosoftにベンダーとして常駐勤務するなど、他ではできないような体験もできたし。

大学受験なんて、なにが正解かわからない。ひとつ言えるのは、どんな状況でもベストを尽くすことができたなら後悔はしないし、目の前のことに本気で真摯に取り組んでいれば、いつか次の道が開けるということ。受験勉強を必死にやるのも良いし、「なにか違うな」と思ったら別の道を模索しても良い。やりたいことをやりたいだけやってみたら良い。誰かに与えられるのを待っていたり、道を指し示されるのを待っていてはもったいない。進むのは自分なのだから。

結果はどうであれ、やりたいことをおもいっきりやれる時間を一生の中で過ごすことができるというのは、幸せなこと。なので、頑張ってください。

今年は、高三の娘が大学受験なのです。

「日曜アーティスト」を名乗って、くだらないことに本気で取り組みつつ、趣味の創作活動をしています。みんなで遊ぶと楽しいですよね。