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突然ショートショート「2億斉藤」/毎週ショートショートnote

 重要な話があり、全国に散らばる斉藤家の一族が全員集まることとなった。

「話というのは、弁護士さん…?」
「えぇ…」一番前に座る弁護士が話を始める。

「昨年亡くなられた仁吉郎じんきちろうさんについて、遺言で言及されていた遺産がこのほど発見されました」

 部屋の中が一気にざわつく。

「えー、お静かに。遺産の内容は2億円分の、ピンク雑誌です」

 ざわめきが止んだ。

「は?」
「いや、確かに生前からエロ雑誌たくさん集めてたけど…」

「鑑定したところ、年代の古い貴重なものが多数発見されたためにこのような鑑定結果になりました」

「欲しいか?2億円分…」
「エロ本だろ?別にいらんよ」

「このピンク雑誌については、遺言に基づき、全員参加の徒競走で1位となった方に相続するものとします」

「よし。全員集まっていることだし、今やるぞ!」
「全員参加かよ、だるい…」

 こうして、徒競走が始まることとなった。
 全国の斉藤たちが駆ける。果たしてそれはエロのためか、2億のためか。

(完)(415文字)


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