イントロ
みなさん、こんにちは。
先月頭の”トーキョーブラックマンデー”の記憶も新しい中、9月相場が明けましたが、本日のマーケットオープン直前にTom LeeがCNBCで注目の発言をしていましたので、ここで紹介したいと思います。
今週発表される雇用統計が重要
まずは番組アンカーから今後のマーケットを予想する際に、インフレ動向が引き続き重要なのか、それとも成長への懸念に市場の関心は移っているのかと問われています。
和訳(意訳含む)「ここ数日は市場参加者の中でより成長の停滞に対する不安感が高まっているようです。ですから、雇用統計や失業保険申請数などの統計値に対して大きくマーケットは反応しています。そして、この状況は今月も変わらないでしょう。9月のFedミーティングが今月中旬に行われますが、今週の注目すべきイベントは雇用統計です。」
和訳(意訳含む)「現在の市場では、成長へ不安感が増加しています。なぜなら、7月の雇用統計は市場に大きな衝撃を与え、いわゆる東京発ブラックマンデーを引き起こす一因となったからです。個人的には8月の雇用統計は成長と雇用の両面でポジティブな結果を示すと予想しています。ただし、雇用の統計値が強すぎると、今度はFedの9月利下げに対して疑念を抱く人々が増えるため、あまり良い状況でないかもしれません。」
市場のムードを推し量る一手として、AAIIのセンチメント指数があります。強気派と弱気派の差(スプレッド)をS&P500の週終値とプロットしたものが下図となりますが、先週、先々週と強気派が25%も弱気派を上回っています。今年4月初めや7月中旬の状況と似ていますが、どちらの場合も次の週にある程度の調整が入っているのは気がかりです。
9月相場は要注意
続いて、9月以降の株式市場の動向に対して、Tom Leeは次のように注意を促しています。
和訳(意訳含む)「投資家の皆さんはこれから8週間は注意を払う必要があります。----- マーケットは今年に入って8か月のうち7か月で上昇を見せてきました。ここまでとても好調な相場といえるでしょう。ただし、9月はFedの利下げや11月の大統領選挙が控えており、ここからは神経質な相場になると思います。ですから、今後8週間は慎重になるべきですが、同時に買いの機会にもなり得るでしょう。」
つまり大統領選を控え、9月と10月は様子見相場になるという見立ては、Tom Leeにしては”普通の”もしくは”常識的な”スタンスだといえますね。
大統領選に関する市場の折り込み
次に今年後半の一大イベントである大統領選挙に対する市場の折り込みについて、Tom Leeが現在の状況を解説しています。
和訳(意訳含む)「ビットコインは最近停滞気味です。大統領選挙に絡んで我々は二つの相場に注目しています。それはエネルギーセクターとビットコインです。これまでのところ、いくつかの地政学リスクが意識される中でも原油価格は下落しており、この点は市場がトランプ氏勝利にかけ始めている兆候でないかと考えています。」
確かに、原油価格はハマス・イスラエル紛争やウクライナ戦争が継続中にもかかわらず下降トレンドを示しています。ただし、一方でトランプ氏勝利となった場合に恩恵を受けると考えられている仮想通貨市場は概して停滞しており、この二つのシグナルは相反しているようにも思われます。
今後の買いタイミング
最後に別の番組アンカーが、株価が下落した際、どのタイミングでBuy-the-dipすれば良いのかとTom Leeにアドバイスを求めています。
和訳(意訳含む)「7%~10%の下落は想定内です。というのも今年に入ってすでに2回の7%下落をマーケットは経験しています。ある意味で、投資家の忍耐を試しているようですが、これからも波乱含みの相場となるでしょう。」
番組アンカー「ここで当然問題となるのは、ではどのタイミングで買いに入るべきか、という点です。2~3%の下落で買いですか?それとも5%, 6%
, 7%の下落を待つべきなのですか?」
和訳(意訳含む)「一日で1%や2%の下落は、現在の市場ではほとんどノイズレベルです。5%程度の株価下落の可能性は高いですが、、、(会話途中で割り込み。。。)今週の雇用統計発表次第です。今週金曜日の雇用統計で強い値が出て、それをきっかけに相場が崩れる場合には、買いに入ります。しかし、雇用統計が強く、マーケットがポジティブに反応した場合、、、とはいうものの、私は二元論的な言い方はしたくないのです。結局のところ、現在の基調は強く、今の株価が2024年の最高値であるとは思えません。今後数週間は厳しい状況になるかもしれませんが。」
最後に
Wall Street界隈でも超強気といわれるTom Leeが、このような注意喚起のメッセージを発するのは極めて稀な状況です。米国株のアノマリーと認識されている9月の軟調な株式相場予想に加えて、今年はそこにFedの利下げという大きなターニングポイントとなるイベントがある上に、大統領選をも控えた神経戦が展開されるとみるTom Leeの展望、心しておくべきかもしれませんが、長期投資家にとっては絶好の買い入れチャンスとなる可能性もあります。
それでは。