見出し画像

経営のイロハ、起業ビフォーアフター[07]

連載記事【07/34】

起業したい人は、ぜひ見てみてほしい、「生々しい起業家の半生」にみる経営のティップス。そこには、時代を超越した起業と、その後に関するティップスが存在します。30年眠ってきた日本、そろそろ目覚めてみませんか?

尾崎氏のお話し、連載7回目はドキュメント管理と営業についてです。

今回は割と両極端な話題ですが、ドキュメント管理は社内の整理という意味ではやはり大事ですよね、PCの中はごちゃごちゃ、データはPC内かクラウドの中なのか、あるいはメールやスラックに添付されたまま、とかだと探すのが極めて面倒になり、資料探しに時間がかかっていてはせっかくの時間がもったいないですよね。今回は経営視点を含むドキュメント管理の話を最初にしていきます。近年データドリブン経営などという言葉も出てきていますが、データドリブンに経営するには、センサーがもたらすビックデータの取得だけではありませんよね、生成AIの活用で、中計の方針文書から予算配分の方針の骨子を出させたり、各部門のお金の動きを把握しようとすると、これはドキュメントがきちんと管理されていないとデータドリブン経営などはできないことが容易に想像できます。起業するときはゼロからスタートするわけですから、ゼロのうちからきちんと管理しているからこそ、そうした経営の半自動化というようなDXに着手しやすくなるわけです。そして
後半は思いっきり外向きな営業についてです。起業時に、すでに顧客が付いている事業もあるかもしれませんが、そうでない場合も多いでしょう、そんなとき、あなたはどうしますか?この部分に関して私は尾崎さんと同意見でした。というわけで、今週も話を進めていきましょう。

INDEX
1. “儲かる”ことをやるのではなく、やりたいこと・得意なことを軸にする
2. 事業計画・フィジビリティスタディ(=FS)の重要性
3. 起業の手続や作業は、全部自分で出来る
4. 資本金・運転資金の集め方極意
5. 政府金融機関・銀行との付き合い方
6. ベンチャーキャピタルは期待するほど機能しない
7. クラウドファンディングは資金集めになるか ?
8. 最初は恰好を付けない、実質勝負できる武装が必要
9. 情報収集は、ありとあらゆる手を使う
10. 意味のある人材ネットワークを構築する
11. 企画立案の極意・方法
12. 製品アイデア発案の極意・方法
13. 文書作成と文書管理の極意・方法
14. 営業の極意・方法

15. キーパーソンを見つける
16.“それいいね”と言われる「刺さる話」を展開する
17. 中小企業との付き合い方・大企業との付き合い方
18. いわゆるサラリーマンが言うことは、契約して金が入るまで信じるな
  (企業勤務者でもビジネスマンなら良い、この違いを見抜くのが重要)19. プロジェクトチームの創り方極意
20. 製作監理ではなく“一緒に編み出す”
21. 営業や技術の苦労は少し、大半は資金繰りの苦労
22. 出港した以上「空荷」では戻れない
23.“幸せ家族”の生活は少ないが、それでもかなりのことは出来る
24. 経営者は個人に全責任が掛かる、覚悟はあるか
25. 第三者の保証人にはなるな
26. 間違いがあれば全部負わなければならない
27. インチキ・不正は絶対しない
28. 節税しても脱税はしない
29. 競合との対応
30. 知的財産権(特許)
31. 世の中の要素を組み合わせ展開すれば、かなりのことが出来る
32. 所有する必要は無い、使用すればよい
33. 時間が経っても、本当の人間関係やネットワークは、いつまでも活きる
34. 必要充分で展開し、余剰は社会や次世代の若者に還元する
35. 事実と実質3

13. 文書作成と文書管理の極意・方法

 取引先の部長が、“ウチは技術の会社だから、総務仕事はやりたくないんだよね、紙が多いのは煩わしい”と言ってきた。あるとき、開発方針と全く違うことをやり出したので指摘すると、“そうだったっけ~”ときた。

 人間の頭はそんなに上等なもんじゃないから、逐一すべてを覚えてられないし、きちんと記録を残すことは極めて重要なのだ。この部長は大きな勘違いをしており、開発というものは、技術だけでは成り立たない。

 「総務」な~んていうと、“次元の低いお手伝い仕事”と認識してる人が多いけど、どんな上等な仕事でもここがしっかりしてないと成り立たない。文書作成と文書管理は、業種・組織に関係なくマネジメントの要なのだ。

 まず最初に、自分の頭の中にイメージで大木を描く。太くて天まで伸びた大木で、根本が一番太く、上へ行くに従って徐々に細くなる。途中から360度に枝が伸び、先へ行くにつれて細くなる。さらに小枝が多数伸び多くの葉が繁る。
 大木の幹は、部門やプロジェクトの基軸で、ここを担うのは「部長」だ。枝は、機能別などに分かれやや専門的に仕事を熟す、担当は「課長」だ。その先は「係長」などが更に細分化された仕事を担当し、葉は「平社員」と言うことになるが、ここには「専門職」もいる。

 文書作成と文書管理のフレーミングも同じことで、パソコンの仕分けも、フォルダー~エクセル~ワード~パワーポイントなど仕様と用途で分類し、その先に文書タイトルがあって、個々の文書がある。ごちゃ混ぜチャンコ鍋は駄目だ。
 個々の文書は、企画書などの創作物でも会議の議事録でも、大まか過ぎず細分化し過ぎず最適サイズで分類する。この辺はセンスや経験で決まることだが、全体を見た上である程度は仮説で決める。途中で適さなくなれば組み替えれば良い。文書に限らず仕事全般に言えるが、何かを決めるときは俯瞰と広角で観る。これが出来てない人が案外多い。俯瞰(ふかん)は、“高い視点で低いところの対象を見渡す”広い視野で全体を把握する”ことで、いわばイメージ上のドローンだ。広角(こうかく)は、“観る角度が幅広い”ことで、いわばトンボの眼だ。

 重要なのは文書タイトルと日付で、これが不備だと後から大変なことになる。文書が増えると、検索する時にどこに何があるか判らなくなって余計な手間が掛かる。
 文書タイトルは、「何の話か短く的確にネーミングする」のが基本。同種のものが多数発生する可能性があれば、“〇〇△△”などサブネームを付けるか、“〇〇・1”とか同類文書に数字を付けて仕分ける。
 その上で大事なのは、同種の文書に「インデックス」を付ける事だ。Index(インデックス:索引・見出し)は、地図みたいなもので、どこに何があるか明確にしていれば、必要なときに直ちに探し出せる。これも実行してない人が多い。

 各文書の記述は、文書タイトル・日付・会議などの参加者を巻頭に記載する。内容は大まかに大・中・小項目で分け、〔1〕・(1)・①・1.などに区分けする。これは住所と同じで、〇〇区・〇〇町とあっても、その先の番地が不明だと郵便配達が届けられないと同じ。後から参照するとき“〇行目の左から〇〇番目に‥‥”な~んて言うのは愚の骨頂(ぐのこっちょう:最もバカげた事)だ。
 文書内容は、必要充分な短さで的確に内容を記述する。ビジネス言語に敬語を多用するのはナンセンスで、煩わしいだけだ。そんなものを並び立てても何の役にも立たない。会社名に“様”とか“殿”を付けるのも不要。〇〇社△△部で充分であり、取引で不利益にはならない。

 役職名をいちいち書くことも無い、巻頭に所属を示したのだからそれで良い。個人名には“さん”を付けるのが、敬語というより常識で良いではないか。役職名で呼んだり書いたりする人も多いが、居酒屋で懇親会などやってると、部長だらけ課長だらけだ。
商店街を100mも歩けば、“社長 !”“専務 !”が飛び交う滑稽な国だから、若い人は改めていって欲しい。酷いのは、役職呼称しか頭に無いから、数年経っても同じ役職で呼ぶのがいる。部長だったのが取締役になってたり、社長になってたらどうするんだろう。
文書内容は必要なことを的確に記載するのと同じに、個人はその人格・尊厳を重視して対処しないと、本質を誤る。このように、形より実質にウェイトを置かなければ、これから日本のビジネスは伸びない。世界を相手に仕事すると、“社員以前に個人ですから”という感覚が良く掴めるだろう。
管理で言えば、私は、デジタルとアナログを併用している。文書作成はほぼ100%パソコンでやるから、これはデジタルだ。常時使用する項目だけパソコン本体に置き、常時使用・時々使用・記録保存は2系統の外付けハードディスクに保存する。作成後ただちに2系統保存を実施するから、パソコントラブルや操作ミスで消滅する心配もほぼ無い。
 反面同時に、常時使用する項目は、紙ファイルに仕訳けて作業終了後ただちにファイリングする。必要なときに、すぐパソコンで検索するのは意外と手間が掛かるが、本棚にある紙ファイルは、サッと開けばすぐ該当文書に行き付く。

 さて、ビジネス文書は公文書だから、文書作成と文書管理の質を高め、歪を是正する必要がある。“ウチは技術の会社だから、総務仕事はやりたくないんだよね”なんて言ってる場合じゃないんだよ。
 政府・役所・企業が、重要文書を記録に残さなかったり(残しているけど都合が悪いと廃棄するのがほとんどだが)、残していても改竄(かいざん;都合のいいように直す)したり、公開したときほとんど黒塗だったり、これはもうビジネス常識を逸脱(いつだつ:意味や目的から外れる)した犯罪だ。
 かように、文書の重要性を認識して、仕事を正しく効率よく実践する常識を身に付けて貰いたい。これがしっかりしている人は、有能で信頼できる。

14. 営業の極意・方法

ここから先は

2,553字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?