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経営のイロハ、起業ビフォーアフター[14]

連載記事【14/18】


起業したい人は、ぜひ見てみてほしい、「生々しい起業家の半生」にみる経営のティップス。そこには、時代を超越した起業と、その後に関するティップスが存在します。30年眠ってきた日本、そろそろ目覚めてみませんか?

尾崎氏のお話し、連載14回目は経営者としてやってはいけないことについてです。
(今回は全編無料です)

今回のお話は、経営者というよりは、収入を得ている人として、という意味においてはすべての人向けです^^

INDEX
1. “儲かる”ことをやるのではなく、やりたいこと・得意なことを軸にする
2. 事業計画・フィジビリティスタディ(=FS)の重要性
3. 起業の手続や作業は、全部自分で出来る
4. 資本金・運転資金の集め方極意
5. 政府金融機関・銀行との付き合い方
6. ベンチャーキャピタルは期待するほど機能しない
7. クラウドファンディングは資金集めになるか ?
8. 最初は恰好を付けない、実質勝負できる武装が必要
9. 情報収集は、ありとあらゆる手を使う
10. 意味のある人材ネットワークを構築する
11. 企画立案の極意・方法
12. 製品アイデア発案の極意・方法
13. 文書作成と文書管理の極意・方法
14. 営業の極意・方法
15. キーパーソンを見つける
16.“それいいね”と言われる「刺さる話」を展開する
17. 中小企業との付き合い方・大企業との付き合い方
18. いわゆるサラリーマンが言うことは、契約して金が入るまで信じるな
  (企業勤務者でもビジネスマンなら良い、この違いを見抜くのが重要)19. プロジェクトチームの創り方極意
20. 製作監理ではなく“一緒に編み出す”
21. 営業や技術の苦労は少し、大半は資金繰りの苦労
22. 出港した以上「空荷」では戻れない
23.“幸せ家族”の生活は少ないが、それでもかなりのことは出来る
24. 経営者は個人に全責任が掛かる、覚悟はあるか
25. 第三者の保証人にはなるな
26. 間違いがあれば全部負わなければならない
27. インチキ・不正は絶対しない
28. 節税しても脱税はしない

29. 競合との対応
30. 知的財産権(特許)
31. 世の中の要素を組み合わせ展開すれば、かなりのことが出来る
32. 所有する必要は無い、使用すればよい
33. 時間が経っても、本当の人間関係やネットワークは、いつまでも活きる
34. 必要充分で展開し、余剰は社会や次世代の若者に還元する
35. 事実と実質3

ではでは、本文にいってみましょう!

27. インチキ・不正は絶対しない

 中小企業の親玉以前に、人間として・真っ当な社会人として、インチキ・不正は絶対にしてはならない。倫理(りんり:人として守り行うべき道・善悪や正邪の判断で普遍的な規準)と正義(せいぎ:人間が社会的関係で実践すべき究極的な価値)を失っては、人間失格であるどころか猿以下だ。

 “インチキ・不正は絶対しない”な~んて聞くと、耳の痛い輩が続出するから、永田町や霞が関の耳鼻科は大繁盛することだろう。“インチキ・不正は絶対しない””のは当たり前で、当たり前が当たり前にできない低級社会になってしまったら、テーマNO.26「間違いがあれば全部負わなければならない」で述べたように、お天道様の出番になる。

 しかし、そこへ行く前に、真っ当な社会には「自律」作用と「自浄」作用が働く。「自律(じりつ)」は、“他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること”で、英語はAutonomousだ。“自主的な・主体的な・自ら行動して決める”という意味もあって、これらは重要だ。
 「自浄(じじょう)」は、“外部からの力によってではなく、自ら清浄する能力があること・何もせずとも、自然に浄化できるようになっていること・外的な圧力なしで、正しい方向に向かう能力”のことだ。

 永田町や霞が関の連中は、ますます頭が痛くなるね。“そんなもん、ど~ちゅ~こと無い”か。英語ではDiagnosis(診断)という言い方が適切だ。“診察などを行い健康状態や病状を判断する”わけで、自らこれが出来ないと、さらに猿以下になる。

インチキ・不正をやると、当面は“してやったり”とほくそ笑んでも、Boomerang(ブーメラン)のように自分に戻ってきて、ダメージを受けるのは自分だ。ブーメランは、オーストラリアやアフリカ先住民の狩猟道具で、手で投げて飛ばすと、一定距離を飛行した後で手元に帰ってくる。

 “やれるもんなら、やってみろ”と息巻いても、アンタのワル頭の後ろで、沢山のブーメランが着陸待ちしてるよ。人間は、清く・正しく生きなきゃ、ただでさえも世渡りが難しいのに、愚策を捏ね繰り回して通用する訳が無い。

 民間人、特に中小企業は、あれこれ荷物を背負わされて大変だけど、大企業にも相応の荷物を背負わせなきゃ嘘だ。法律的には不正にならなくても、諸外国との関係や制度を利用したら、大幅に納税額が減少するとかというのもおかしい。

  インチキ・不正に塗れた代議士を性懲りもなく支援するお目出度い有権者も多いし、インチキ・不正のグレーゾーンで稼いでいる大企業の製品を、喜々として購買なさる消費者も多い。

 不祥事を仕出かした企業の製品は誰も買わなくなり、不祥事を仕出かした代議士は二度と当選できなくなるなど、「自律」作用と「自浄」作用が機能する社会を創ったら、この国は素晴らしい国になるに違いない、「倫理」と「正義」で作ったブーメランが必要だね。

28. 節税しても脱税はしない

 様々な税金を納付しているが、合法的に節税する方法はいくらでもあり、むしろ合理的な節税はするべきだ。このテーマは、節税のABCを解説するものではないので割愛する。しかし、脱税は違法なので絶対にしちゃいけない。
取引先の1社が、海外企業と1案件だけで従来年商の3倍の契約を締結した。その契約は素晴らしいし、取引先も受託するだけの技術などがあった。私は、相当な高額でプロジェクトマネジメントを受託した。

  数十億円のプロジェクトで順調に進行していたが、途中でアジア通貨危機に見舞われ、相手先の担当部署もバラバラになって連絡が取れなくなった。
私は契約担当でもあり、海外企業と主取引先の間で賢明な内容の契約を締結していたので、売上総額は減少したが利益率は落ちなかった。契約金額の20%位が入金した時点で仕事を打ち切らざるを得なかったものの、一定利益は確保した。

 ある日、取引先が“金額〇〇〇〇万円で、名目△△△△の請求書を発行してくれ”と言ってきた。通常業務以外でだよ。“それは脱税だから止めた方がイイ”と諭したところ、“何を言ってんですか、それ位どこでもやってますよ”だって。

  その話は断ったが、それから取引先との関係がギクシャクし始めた。1年位経ったかな、もう忘れていた頃、9:00の始業直後に3人の男が突然やって来た。“アポも無いし何かの間違いじゃないですか”と言ったら、何か紙を見せて“国税庁です、お取引先△△△△の件で捜査します”ときた。
 “取引先が脱税をやらかしたな、これは拒否できない”と本能的に判り、言う通りにした。引き出しも戸棚も開けられるところは全部開けて、克明に調べ上げた。何か裏帳簿でも隠していると思ったのだろうか。
  ファイルや帳簿を精密に閲覧して、取引先に関する書類を“押収する”と言って段ボール箱にしまった。銀行通帳類もコピーを取って押収した。これが夜まで掛かり、“後日連絡するから出頭願いたい”と言って帰った。
後で判ったが、取引関係がある20社ほどと弁護士事務所まで、同日同時刻にガサ入れがあった。

  何日かして出頭命令が来た。都心の庁舎なのに“8:30に車で出頭してください、無料駐車場があります”という。気にも留めなかったが、車で来いという理由は、終電過ぎても帰れないからだと判った。

  2人の係が、ま~根掘り葉掘りいろいろな質問をして来るが、私は事実を述べているから突っ込むところが無い。しかし、水も飲ませず飯も食わせず、トイレに行くときは監視に付いて来る。深夜まで吊るし上げだ。
  これを4回やって何も出て来ないので、私は「シロ」になった。悪事を働いてないから当たり前だ。識者に聞くと、共謀なんかの自供を取りたくて執拗に攻めたのだろうという。まだまだ多くのエピソードがあるが、機会があれば口頭説明する。

  さて取引先だが、その後の裁判で有罪になった。4億円の脱税で、追徴課税が脱税額と同じ位の4億円課せられた。現金が残っている訳もなく、相当額を月々分納していると聞いた。
 取引先は、噂が立って国内営業が不可能となり売上が激減した。何年かして事実上消滅したと風の便りが届いた。社長の責任は継続するはずだから、4億円をどうやって納付するのだろう。その後、取引先の噂は風の便りすら無い。

まとめ

今回はコンプライアンスの基本的な態度だと思いますが、収入のある人はしっかり働いて、納めるものは納める、納めたものがこの国の道路などのインフラ保全、法整備、生活保護などのセーフティーネットの整備、防衛や災害時の支援、他国への援助による国家間のつながり強化、などに活かされていると考えると、きちんと大きな社会と自分が繋がっている事を実感できるのではと思います。特にベンチャーなどは、新たなテクノロジーを使った市場のための国の法律づくりの参考に呼ばれる事もあろうかと思います。その時に後ろめたい気持ちにならないためにも、コンプライアンスへの配慮はしっかりされるのが良いと思います。

ではでは、なかなか生々しいお話が今週も続きましたが、お話し面白かったなと思われましたら”いいね”お願いいたします。

次回は
29. 競合との対応
30. 知的財産権(特許)
についてのお話となります。

ではでは、次回もよろしくお願いいたします。

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