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「社会的・経済的成長を実現できる人材になるためのキャリアとは?」 就活生がゼブラの人に聞いてみた

はじめまして、Tokyo Zebras Uniteでインターンとして記事執筆やイベントの運営をしている三谷です。

私自身海外のNGOでのインターンや、起業家カンファレンスの運営を通じて、ゼブラ企業へ興味関心が高まり、現在、Tokyo Zebras Uniteで働かせてもらっているのですが、
周りの感度高い同世代(10代-20代)と話しても、ゼブラ企業に興味がありますといってくれる方が多いです。

しかし、3月から新卒就職活動が本格化するなか、いざ自分がファーストキャリアを選ぶ立場となると、ゼブラ企業で活躍するために、どのようにキャリアを選択していくべきかとても迷いました。

自分の感じる社会問題を踏まえてNPOなのか、いわゆる成長環境を求めてメガベンチャーやスタートアップ企業?組織の仕組みをしるべく大企業なのでしょうか?いろいろ考えている同世代であればあるほど、選択肢の多さに圧倒されると思います。

そこで、今回はTokyo Zebras Unite共同創設者であり、経産省、VC業界とキャリアを歩んできた陶山さんにゼブラ企業で活躍できる人材になるために必要なキャリアについて伺いました。

ゼブラというコンセプトに共感しつつも、自分の進むべき道に迷いを感じている人の背中を押せたら嬉しいです。

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どっぷり浸かるということと、ルールメイカーとしての役人としてのキャリア

三谷:本日はよろしくお願いします。単刀直入に聴いてしまうのですが、陶山さんは新卒としてどんな会社に入社するべきだと思いますか?

陶山:正直、どこに入るかよりも、入ってからどのように働くかが重要で、その業界、組織の必要性を心の底から信じられるまでどっぷりと深淵まで浸かるのがいいと思います。

三谷:最初から出鼻をくじかれた感じがしますね・・今言ったのはどういう意味でしょうか?

陶山:まず前提として、「ゼブラ企業で活躍できる人材とは」という話から整理しましょうか。
私たちは、(1) 社会課題の解決と事業成長の両立、 (2)株主のみならずステークホルダー全体に対しての貢献、(3)短期的な時価総額向上よりも長期的な価値・利益創出の拡大を目指している会社のことをゼブラ企業と指しています。こうした経営を実現するには、様々な人の立場や思いを理解できる人が必要です。ゼブラ企業で活躍していくには、異なる立場にいる人に配慮し、そういった人たちと、どうやって連携していくかを考える必要があります。
それぞれのポジションにいる人が、相互理解を増やしていくことでゼブラ企業が成長し、そうしたムーブメントが広がっていくと考えています。

そのために個人が働くうえで持っておくべき要素は、

・自分の持つビジョンと今やっている仕事のミッションが重なっていること
・その上で協働する人の感情的な部分を理解できること、
だと思います。

なのでその要素を満たせるようなところであれば、ファーストキャリアはどこでもいいと思っています。

もちろん経産省、役人としてのキャリアはお勧めです。社会全体や、幅広い経済活動をみて、それらをどのように最適化させるかを考えて思考する視座の高さが得られるかと思います。
ミクロ経済学とマクロ経済学でいう、マクロの方ですね。
もちろんそのような社会全体を見据えてルールメイキングする思考は他の民間企業でも得られるかもしれません。そもそも私自身も、ほかのセクターからの視点で見えていないもののほうが多いでのどこが必ず良いということは言いません。
それでも、経産省は、社会全体を見られて、かつ、非常に刺激的な仕事ができるという意味でおすすめしていますけどね。

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3.11を境に変わった経産省での仕事の見方

三谷:なるほど、今話していただいた内容を踏まえると、「どっぷり浸かる」というのは他の企業・業界と連携できる人材になるために、逆に自分がいる業界について深く理解する必要があるというところでしょうか。感覚としてはわかりますが、いまいち腑に落ちませんね。笑
そのどっぷり浸かる感覚は一年目から陶山さん自身はわかったのでしょうか?

陶山:全くそんなことはないです。
入省当時は10-15年くらい勤めるのかなと思っていたんです。
しかし自分自身は経産省に入ってから一年目はメールの転送、資料組みなどの雑務で、いまいち手触り感がなかった。
正直自分には向いていないんじゃないかと思うことも多々ありました。

三谷:なるほど、一年目は陶山さん自身どっぷり浸れていたわけではなかったんですね。
おそらく抱いていたビジョンやミッションが大きく変わったわけではないと思うのですが、仕事に対しての向きあい方が大きく変わった瞬間はいつなんでしょうか?

陶山:やはり大きいのは3.11です。
当時資源エネルギー庁に配属されていたのですが、エネルギー、そしてエネルギー政策が社会の中でどういう位置付けなのかがよくわかりました。
社会や生活の基盤に本当になっているんだなという手触り感とともに、必要性をとても強く実感しました。

当時の働き方を振り返ると、3.11の直後ですから、三交代制で平日の通常業務+余震に備えて深夜も誰かが常にいる状態でした。土日も出勤していましたね。
ですから、私自身も、その時は約300時間の残業をしていました。普通の労働時間が8時間×20日=160時間ほどなので、その約三倍働いていたことになりますね。

三谷:普通の3倍ですか

陶山:でも、不思議と、使命感や自分たちがこれをやりきる必要があると強く感じていたのでやりきれたんだと思います。

三谷:特に仕事の中のどういったポイントで、自分たちの仕事や組織の意義を感じたんでしょうか。

陶山:大きく2つあります。
まず未曾有のエネルギー危機の中の対応と政策の立案です。
震災直後は関東圏内が計画停電、普通の生活ができなくなりました。電気が止まり、交通インフラの信号も一部止まりました。寒い地域に住むオール電化の人は命に関わりますよね。
また裏では、主要金融機関のサーバーのための電力や、病院など命に関わる機関の電力をどうするかといった問題もありました。また電気以外にも東日本全域でガソリンも不足しており、常に生活における必須のエネルギーをどのように供給させるか考えていました。

2つ目が原子力発電の問題を、最前線で思考したことです。
福島県の村役場に2週間ほど派遣してもらって、村役場自身も避難せざるを得なかった状況を目の当たりにしましてゃ。また、一歩間違えたら首都圏全体も住めなくなっていたかもしれないという状況も身に染みて感じました。

日本で資源エネルギー庁ができた契機となったオイルショック。さらにいえば第二次世界大戦以来のエネルギー危機が訪れる中、それにどう対処し、今後の日本のエネルギー政策はどうあるべきなのか、最前線で考える機会をいただきました。

協働に活きてくるのは俯瞰する力より、ある意味主観的な「共感」

三谷:なるほど。自組織、業界の意義が強くわかる最前線で、人の何倍も思考し働いた経験というのがまさに「どっぷり浸かる」ということだったんですね。
一つの業界にどっぷり浸かるというのが大事ということはなんとなくわかります。
それらによってどのような変化が生じて、どう活きてくるのでしょうか?

陶山:大きく2つだと思っていて、
・その業界や、そこにいる人たちが、積み上げてきたもののすごさを実感すること
・そのうえでそのセクターの抱える課題感や、そこにいる人々の葛藤がわかること
この2つかなと思います。

三谷:1つ目についてもう少し詳しくお聞きしてもいいですか?

陶山:ある業界で働くと、そこの業界が積み上げてきた仕組みが、社会においてどのような役割を担っているか、そして、その役割を担うために長い期間をかけて洗練されてきたものの意味合いがよくわかります。
経産省という組織は、常に、一部の人たちから「経産省なんて不要だ」と言われるのですが、よくよく見ていくと、経産省が担っている機能は、やはり社会にとって必須なものです。
どこの会社でも、働いていて、中枢に入れば入るほど、その企業・業界が、どれだけ緻密に設計されているか、それによって社会に貢献しているかということが、よくわかります。

三谷:外からみたら非効率に見えますが、中に入ってみると、それらのものが長年の蓄積によって生まれた産物ということがわかるのですね。

陶山:そうです。
その上で、その企業・業界が抱える課題や葛藤が見えてきます。そこで働く人のやっていることや考えていることが、具体的に、どんな生活をしているかというレベルで見えてきて、働く人の葛藤がわかるということですね。

どんなスケジュールでどういう仕事をこなしていて、日々を過ごす中で、どんな思いを感じているのか。その中で、葛藤を抱えながらも、なぜその葛藤を解決、解消できないのかといったところも、企業・業界の中に入ると見えてきます。

組織は異なるのですが、自分自身が経済産業省ということもあって、霞ヶ関の他省庁の人たちの状況や思いに関しては、一般の人よりわかると思いますし、自分自身も、霞ヶ関の人と会うと、なぜだか自然とシンパシー(共感)を感じてしまいます。笑

三谷:業界の歴史、必要性を深く理解したからこそ、今陶山さん自身どのような立ち位置にいても、同じバックグラウンドを持つ方と深く共感しながらお仕事をしていけるのですね。

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常に全体を見ておくことが大切。ビジョンから始める。

三谷:キャリアを考えるにあたってなにか大切にしている観点はありますか?

陶山:まず最初から完璧なものを求めず、何度もキャリアを描き直すということですね。
考えることはもちろん大切ですが、一度考えたこと、キャリアプランみたいなものに縛られる必要はない。

もちろん、自分がやっていること、やってきたことについて振り返ることは必要です。
そのとき大事なのは、自分自身が作りたい世界を、「改めて」描きなおして、それに照らして、自分が今やっていることを見つめ直すことです。

独立している今も、経産省時代やVC時代と目指している世界はあまり変わっていなくて、もしかしたらいつか経産省に戻るかもしれないし、世界と戦えるユニコーンをつくるべきだと思ってVCの世界に戻るかもしれません。

ただ、今この瞬間、社会を俯瞰してみた時に、自分がやるべき、取り組むべきと本気で思っているのが、このゼブラ企業・ゼブラ経営を広げていく活動なのです。

三谷:自分のキャリアプランに縛られないようにしつつ、一方で、自分が目指したいところと照らして、自分が何をすべきか考える機会を設けることも大切ですね。
自分も、そもそもゼブラ的成長とはなにかを見つめ直す機会としても、今後もイベントやコンテンツを作っていきたいと感じました。
本日はありがとうございました!

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