見出し画像

ボーズの食べ方 ベビースターをかけて食べる子どもたち


遊牧民ナガさんと、モンゴルの蒸し餃子ボーズを作った。その工程、約3時間。念願の実食の時間だ。

ボーズを作っている様子はこちら↓



ボーズ実食

15分ほどして、ボーズが蒸しあがった。
蓋をぱかっと開けると、湯気がもわわわーっと立ち上り、何ともいい香りがゲルいっぱいに広がった。

ナガさんは素早く布巾をパタパタ。
ぱっぱっぱっと布巾が風を切る音が心地よい。

高速布巾パタパタ。

お皿に取り分けてもらい、ついに実食。
3時間かけて作ったボーズは、なんだか感慨深い。
あれほど歪だった形も、蒸したらそんなに分からない気がする。

フォークをプスリと刺すと、脂がじゅわっと滲み出てきた。調理用の油は全く入れなかったので、紛れもなく羊肉の肉汁である。

かなり薄く伸ばしたが、皮はしっかり弾力があり、気合を入れてミンチした肉も、意外に噛みごたえがあった。

ぎゅっぎゅっと肉を噛み締めながら、ナガさんと一緒にボーズを作れた嬉しさにしばらく浸った。

この日の夕食はボーズのみ。
一つ一つが大きいので、結構ボリュームがある。
余った生地で作った餃子ドッグは、輪切りにして食べる。

ボーズにつける調味料

ボーズはそのままでも十分美味しいが、醤油をつけるとさらに豊かな味わいになる。

モンゴルの醤油は、マギーシーズニングソースだ。
調べてみたら結構国際的なブランドで、モンゴル固有のものではなかった。
ただ、味は紛れもなく醤油で、羊肉とよく合った。

左がマギーシーズニングソース。
右はチリソース。

子供たちの食べ方


さて、大人たちはみんな醤油でボーズを食べていたのだが、子供たちは違った。

9歳のトゥルくん、なんとボーズの上にベビースターをまぶし、さらにチリソースをかけて食べ始めたのである。
その様子をみた2歳のネンダちゃん、すかさず真似したいとナガさんにかけより、ベビースターをかけてもらっていた。
ちなみにこのチリソース、全く辛くなく、梅のような味がする。ただ、ベビースターとボーズと合わせるとどんな感じになるのかは想像がつかなかった。


ボーズのチリソースがけ、ベビースター添え。
どんな味がするのだろう。

モンゴルの正月とボーズ

ボーズは、モンゴルでは正月に食べる料理でもある。
モンゴルのお正月については、ウランバートルに住む同い年の男の子、アディヤくんが詳しく教えてくれた。

モンゴルの正月は、ツァガーンサルという。
モンゴル語で、白い月という意味だ。

日付は、モンゴル暦に基づくため毎年異なるが、大体2月中旬で、1週間ほど祝う

ちなみに、白い月という名前から、正月は満月なのかと思ったのだが、モンゴル暦は、新月から1ヶ月が始まる太陰太陽暦に基づく。
すなわち、1月1日は必ず新月であった。

モンゴルで見た月。まるで、朝日のようである。

モンゴルでも日本と同様、正月は、家族で集まる。
ただし、年少者が年長者の家を訪ねる決まりだ。
アディヤくんの家庭では、ひいおばあちゃんの家に、親戚一同が集まる。

家に着いたら、若い者から年長者に挨拶をしに行く。年少者は年長者にお土産を渡し、年長者も答礼をする。クリスマスのプレゼント交換みたいだ。

挨拶が終われば、祝いの食事が始まる。
ここで、登場するのがボーズだ。

家主は、来客に手作りのボーズを振る舞う。
その数が尋常ではない。
アディヤくんの家庭では、500個作るそうだ。
私とナガさんが、3時間かかってやっと40個作ったことを考えると、とんでもない数である。

さらに、年長であるほど沢山の人が訪ねてくるので、おばあちゃん、おじいちゃんに至ってはなんと1000個以上も作る。

正月が始まる前に疲れてしまいそうだ。まさに家族総出の一大イベントである。

こうして最初の1週間は、ボーズを振る舞い振る舞われ、ボーズでお腹をいっぱいにして、新年が始まるのである。

24個のボーズ。これを41回作ると考えると震える。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?