学校警備員をしていた頃 その40

 以前、学校警備の仕事をしてた頃のことについて振り返って思い出せることを書いています。
※ 最初から読みたい方は、学校警備員をしていた頃から読むことをおすすめします。
※ ひとつ前の話→学校警備員をしていた頃 その39

 内勤の月収は多くて30万円?
 隊員は、実績報告書と呼ばれる、日にち・現場名・勤務時間等を書いた簡単なメモ用紙くらいの大きさの紙を週に一度支社に行って提出する。その時、交通費の請求書とか、学校警備の場合だと日報も一緒に提出する。
 その時に提出する相手を内勤と言う。内勤は、支社で隊員の配置を仕切りながら、人が足りない時には現場で警備も行う。名前は内勤だが、実際には現場に出ることもあり、大きなイベント警備の時には、現場である程度の人数を仕切って指示を出したりもする。
 内勤には、正社員の人とそうでない人がいて、そうでない人のことは、準社員と呼ばれることもある。社会保険はつくが給料は日給制で、隊員の中には、「我々と変わらないアルバイトなんだ」と言っている人もいる。多少手当がついたり社会保険がついたりするようだし、仕事がない時期というものがなく、なんらかの仕事(内勤か現場)はいつの時期にもある。だから、内勤以外の隊員とはそれなりに待遇は違うが、日給制だからアルバイトと言えないこともない。内勤は、最初から内勤として採用されることは少なく、アルバイトの隊員の中から会社側が目をつけた人が昇格してなることが多い。正社員も、正社員でない内勤から昇格してなるらしいが、私は1年半しかいなかったこともあり、そういう人は見なかった。
 勤務実績書のことに戻るけど、ファックスや郵送等ではなく、わざわざ支社まで持って行かなければいけないので少し面倒だ。でも、行けば内勤や現場等で知り合った隊員などに会いいろいろな情報を聞けることもあるので、面倒なばかりではない。行くと、だいたい隊員同士で、「どこどこの現場は大変だった」「楽だった」「いくら貰った」等々情報交換に励んでいる。
 行くべき日は火曜または水曜だけど、水曜にいった方が土日の仕事をもらえる可能性が高かった。火曜日だと、まだ内勤が週末のことについて、まだあまり考えていないからで、1日の違いが意外と大きいようだ。
 水曜日に行くと、「筒美さん、こんどの日曜は仕事できる」などと内勤者に聞かれ、土日の仕事が決まることが多い。内勤からするとわざわざ電話するよりは、そこにいる人に声をかける方が楽だ。だから、「火曜ではなく水曜日に行く」というのも、これはこれでちょっとした営業のコツのようなことである。
 ところで、ある時、この実績報告書の提出のために支社に行った時、内勤同士でその頃辞めたRさんという人のことを話していた。
 支社長が「あいつは、家族がいて金がいるのかもしれないけど、『休んでもいい』と言っても出勤していた。社会保険料を除いて月30万くらい稼いでいた」と言っていた。それに対し、他の内勤は「そんなにもらっていたんですか」と驚いていた。
 このやりとりから推測すると、内勤は、1ヵ月間休みがほとんどないくらいに働いて30万程度もらえる、というところだと思う。まずまずだと思うか、たいしたことないと思うかは、人それぞれだろうが、正社員以外の内勤はよく辞める。理由を考えてみると、隊員の中から若くて仕事がちゃんとできそうな人が選ばれてなる場合が多いので、次の仕事が見つかりやすいのだと思う。もちろん、その背景として、「給料がそんなによくない」という一番大切な問題点がある。
 S支社では、私が最初に入った時に正社員が2人とそれ以外の内勤が5人いたが、1年半ぐらいで5人中4人が辞めて別の人に入れ替わった。S支社だけのことなのか、この警備会社が全体的にそうなのかはわからない。が、おそらく全体的に正社員以外の内勤の退職はそれなりに多く、その中でもこの時期のS支社が特に多かったのではないか。
 内勤になる時に、正社員がしっかりと面接をして、すぐにやめそうな人なのかどうかよく確かめた方がいいようにも思う。が、もしかしたら、正社員以外の内勤にベテランがたくさんいる必要性はなく、短期間で辞められても会社側としては痛くもかゆくもないのかもしれない。そういうところは、ブラック企業的なのだけど、実際に内勤が働いている様子を見るとそんな雰囲気ではなく、明るい笑顔がよく見られる。
 繰り返しになるが、やはり、辞める内勤が多い最大の理由は、他の会社に行った方が給料が高くなるようなちゃんとした人たちが内勤になる場合が多いからだと思う。

※ 次の話→学校警備員をしていた頃 その41

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