学校警備員をしていた頃

 以前、学校警備の仕事をしてた頃のことについて振り返って思い出せることを書きます。

 なんで警備員になったんだろう?
 まず、なんで警備員になることになったのか、というについてごく簡単に書く。
 と言うか、もちろん人生についての「なんで~」という問いの答えなど、いろいろなレベルの答えが考えられて、どういう答えがいいのかなかなか難しいのだけど、警備士になるまでのあれこれについてごく簡単に振り返ってみる。
 私は、大学院を出てから数年間は、予備校及び塾の講師をしていた。当時は、受験産業が栄えていた時代で、非常勤でも予備校講師や塾の講師でそれなりに収入(年収600万くらい)を得ることができた。でも、身分が不安定なので、教員採用試験を受けて学校の先生になることにした。うまいこと合格でき、高校及び養護学校の教員をしていた。
 しかし、10年くらい働いていて、強迫性障害という病気になって授業をするのがつらくなったのが主な原因で、結局退職してしまった。強迫性障害については『ぼくは強迫性障害』という本に書いたので、興味がある方はそちらを読むといいかもしれない。
 退職後は、書店を開き自営業者になった。
 本を読むのが好きで、「本を読むことが仕事に関係があることして認められていそうな職業は、教師と本屋ぐらいのものじゃあないでしょうか」と思っていたので、教師以外では本屋をやりたかった。というのが書店を始めた主な理由である。
 私のやっていた書店は、ブックオフを(かなり)小さくしたような店で、古本屋というよりも新古書店という感じだった。最初の頃は、「一般のお客さんから買った本を店頭及びネットで売る」というビジネスモデルがうまくいっていて、わりあい儲かっていた(1か月の利益が50~60万円くらい)。
 でも、そのうち大手が書籍のネット販売業にも進出してきて、ネットでの売り上げが落ちてきたことなどが原因で、思うように利益が上がらなくなり、あっさり書店は廃業した。
 次に何かの商売を始めるまで、とりあえず何かアルバイトをして貯金を減らさないようにしないといおけない。ということで仕事を探した。
 「年をとって(私はこの時ちょうど50歳だった)からでもできるアルバイトは、飲食店の店員か警備員くらいだ」ということが、週刊誌の記事かなにかに書いてあったのを読んだことがあった。なんとなく「そういうものなのかな」と妙に納得し、それを参考にした。というか、その情報をかなりうのみにして仕事探しを始めた。でも、今考えてみても、これはそれなりに常識的・現実的な考え方だったと思う。「飲食店より警備員の方が、基本的には暇な仕事で、ぼんやり考え事をしたりしていても大丈夫そうだ」という理由で警備員になることにした。我ながら、なんだか安易な考えだが、後になってこの見込みはわりあい正しかったことがわかる。
 今までの経験を生かすならば、学習塾講師なども考えられる。しかし、書店を経営している時期にも塾講師のアルバイトをしていたのだが、この業界は最近あまり景気がよくないことがわかっていて、それで、別の職種にした。
 かなりはしょって書いたが、以上が大ざっぱな流れである。
 「どうしてそんな方向に進んでいったのか」「どうしてあっさり退職してしまったのか」等々、我ながらいろいろと突っ込みを入れたくなるところが多いが、警備士の話が本題なので割愛する。が、だいたいの流れとしては、こんなところだ。
 ここまで書いたことの中では、「学校の教員をしていたことがある」というところが、わりあいこれから書くことと関係が深い。学校警備をやっていて、文章に書き記したくなるようないろいろな感想が出てくるというのは、かつて学校の教員をしていた経験があるということと関係があると思う。内側から見たことがあるものを外側から見ると、結構それなりに気がつくことがあって、面白い。

 どうして最初の面接は落ちたのかな?
 そういうわけで、ネットで求人を見てから、電話をし、履歴書を書いて警備会社の面接にいった。
 面接の様子等は『ぼくは強迫性障害』にも書いたので重複するが、読んでいない方もいると思うので、簡単に紹介する。
 最初に行ったのは、T社だった。
 特に警備会社の面接ということは意識せず、何も対策を立てないで行った。その当時私は、髪の毛を茶髪にしていたが、それもそのままだった。ただし、もちろん当然のことなのだが、一応ネクタイをしてスーツを着て行った。
 面接では、「警備会社では信用を重んずるので前歴確認をしています。履歴書に書いてある過去5年間の経歴が正しいということを証言できる人はいますか」と聞かれた。
 聞かれて困ったが、何にも答えないわけにはいかないので「基本的には自分一人で営業している自営業だったのでそういう人は思いつきません」と正直に答えた。
 「誰かいませんか」と重ねて聞かれたがすぐには思いつかなかったので、重ねて「大変申し訳ないのですが思いつきません」と答えた。
 その警備会社からは、その後連絡がなく、不合格(不合格の場合は連絡しないと言われていた)。前歴のことが原因だったのかもしれない。あるいは、茶髪だったのでそれで印象が悪くなって「どうも外見が気に食わん。怪しいところはないか前歴について聞いてみよう」となり、そこでさえない答えだったので不合格になった。というところなのかもしれない。
 後に警備会社でアルバイトをしている友人にこの話をする機会があった。その時の友人の話だと、「茶髪なんか、『この次までにちゃんとしてこい』ですむ話で、それはやっぱり前歴のことじゃないかな」ということだった。
 そうかもしれないが、やはり茶髪なのをいちいち注意するのも面倒くさいから、できれば最初から茶髪でない人をとりたい。ということもあったのかもしれない。はっきりした原因はわからなかったが、とにかく、そこは不合格だったので次のところを受けることにした。

※ 次の話→学校警備員をしていた頃 その2

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?