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障がい者採用~個々の障がいを見極める~

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3月4日から13日までパラリンピックが開催され、総勢254名の日本代表選手が熱戦を繰り広げました。新型コロナウィルスの新規感染者が大幅な減少をみせず不安な状況が続いていましたが、選手の戦う姿に胸が熱くなりましたね。

パラアスリートは身体障がいの方が大多数を占めており、選手の活躍を目にすると、身体障がいの方を雇用するのが楽ではないか、というイメージを持たれる方もいるかもしれません。

障がいがあるのは身体だけ。スポーツができる程の人もいるし、設備面さえ整えれば仕事でも活躍できるだろう、と。

本当にそうでしょうか。


そこで今回のテーマは「障がい種別は採用基準となるか~個々の障がいを見極める~」

これまでにもメルマガでお伝えしてきたことではありますが、現在の障がい者雇用の求職者市場は、多くが精神障がいや発達障がい、知的障がいの方が占めています。身体障がいの方の多くはすでに就労しており、引く手数多の状態ですね。

当社では、障がい者雇用のコンサルティングを行っています。そのサービスの中の採用支援で、多くの企業にお話を聞く機会があるのですが、「身体障がいの方を採用したい」「○○障がいの人は大変なので採用しない」「精神障がい手帳の等級が2級だと重いので軽い人が良い」というようなご希望を度々耳にします。

そのようなときに説明させていただくのが以下の点なのですが、皆さんはどうお考えになりますか?

身体障がいの方に対する配慮は、設備面だけで良いものではありません。肉体的に不自由な面がある場合、それが精神面にも影響することが多くみられます。

例えば、皆さんがケガや病気をして思うように行動できないとき、ストレスを感じないでしょうか。身体障がいの方は、言わばその状態がずっと続いているわけです。とりわけ後天的な障がいの方は、以前できていたことができなくなる、といった状況が継続されますので、精神面への負担も大きいはずです。ですから、身体障がいから生じるメンタル不調を抱えている方も少なくなく、その点にも配慮が必要であることを考えなければなりません。

”身体障がいだから雇用が楽”とは、一概に言えないのです。


また以前○○障がいの方を採用したが、とても対応が大変だったので、もうこの障がいのある方は採用しない、というのはどうでしょう。

メルマガでも「障がい名が同じでも、個々によって特性はさまざま」ということをお伝えしました。このケースはたまたま対応が難しい方を採用されて、その方の障がい名が○○障がいだった、ということにすぎません。

障がいはその方の一要素にすぎず、性格や経歴など個別の要素が積み重なってその方を形成しているのですから、障がい名だけで判断するのは良い人材を採用するチャンスを逃している可能性があります。

障がい名だけで判断せずに、個々の特性を見極める必要があることを、多くの方に理解いただきたいと思います。


精神障がいの手帳については、等級は参考程度で考えた方が良いのでは、と思っています。精神の障がいは診断が難しいので、通院の経過で診断名が変わることも珍しくありません。その方の調子の良し悪しと診断のタイミングによっては、等級が変わることも考えられます。

また、当然通院を継続して安定されている方もたくさんいらっしゃいます。となると、等級の数字だけで就労の可否を判断するのは難しいのではないでしょうか。


障がいの種別によって特性や配慮事項に傾向はあるものの、それだけで採否を判断するのは、企業にも応募者にもデメリットではないかと思います。これから雇用活動に注力される企業も多いことでしょう。改めて自社の採用基準が良いのかどうか、考えてみることも大切なポイントではないでしょうか。


最後までお読みいただきましてありがとうございました。障がい者雇用に関する企業向けの記事はメルマガでも配信していますので、無料購読のご登録をよろしくお願いします。

今後もこのnoteでは、障がい者雇用に関する情報を発信していきます。



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